都心風景

さんセンタープラザの部分改装進行中

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三宮センター街の中心部分を担う巨大再開発複合ビル「さんプラザ・センタープラザ・センタープラザ西館」。さんプラザの1970年の竣工を皮切りに、1972年にセンタープラザ、1978年にセンタープラザ西館が開業しました。三棟の延床面積は127,000㎡を越え、500店舗が入居する国内でも最大級の複合商業施設の一つです。建設当時は都心部複合再開発のさきがけ的存在として、低層部に商業テナント、高層部にはオフィスといった最先端の再開発ビルでした。阪神大震災ではさんプラザの高層部が屈折倒壊し、上層部を撤去。多くのエリアで被害を受け、復旧には建替え案と補修案が検討されたようです。最終的には補修案が選択され、センター街と共に復興を遂げました。しかしながらすでに築40年、震災からも16年を経て、建物の老朽化が目に付きます。

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しかしながら数年前より同建物は少しずつ改装を進めていることにお気づきでしょうか。まず改装に着手されたのがさんプラザのエントランスエリアです。センター街に面した人通りの多い場所ですが、数段階に分けて手が入れられてきました。外装やサイン、柱等のリノベーションとロゴのリニューアルが施されいます。またエントランスの上空にあるぺデストリアンデッキにも化粧直しが施されました。

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エントランスの床も電飾が入れられており、色とりどりに変化します。しかし残念ながら化粧直しは床材や天井には施されてはいないので、完全に新装した感じはなく、その辺りが正直興醒め感があるのは否めません。

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これら一連の改装により、施設内のサインや柱等はシンボル色である紺色、そして新しいロゴデザインとフォントで統一されています。

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改装はエントランス付近に留まっている思いきや、さんプラザ内の2-3階中央付近にある吹き抜け空間にも手が加えられていました。以前より、建物の内部にこうした吹き抜けの空間があるあたりは、70年代に建設された建物にしては非常に洗練された設計だと感心していましたが、手摺等の装飾等にやはり時代を感じさせていました。しかし今回のリニューアルによりより現代的なショッピングモール風に変化を遂げました。

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改装によって雰囲気も明るくなりました。同プラザも地下1階から地上2階まではセンター街から多くの人が流れ込みますが、3階を越える辺りから人通りがまばらになり、一部エリアでは薄暗くシャッターが目立つ区画もあります。これだけ巨大で迷路のような建物ですので、いかに三宮随一の繁華街でも人の回遊性を立体的に取り込むことの難しさの表れでしょう。惜しいことにここでも床材には手が施されませんでした。

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センタープラザのエントランスも大幅に手が加えられています。さんプラザ同様にエントランスサインや上部デッキの電飾及びパネルの美装化も行われました。

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また近年、このエントランスに「三宮HATENA」が設置されました。いわゆるインフォメーションセンターですが、人通りの多い場所だけに活用されている姿をよく目にします。

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最近はだいぶ定着してきた感があります。観光客にとっても駅前のみでなく中心街にもこうしたセンターがあることは心強いかと思われます。

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センタープラザエントランスエリアの美装化はさんプラザよりも一歩進んでいるようです。

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エスカレーター周りの様子は特に顕著です。但しエスカレーターの手摺ベルトは交換されておらず赤いままでした。これもプラザの統一色である紺色に変更するべきですね。

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このエリアは唯一、床材の美装が施されています。この違いは一体何が要因なのでしょうかね。区分所有の再開発ビルということで棟毎に方針が異なるのでしょうか。運営主体は一社に統一されているかと思うのですが。

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内部付近の床材も光沢を持った真新しい物へと変更されており、照明を含めて非常に明るい空間へと変貌しました。しかしこうした美装化はあくまでもエントランス付近にのみ留まっています。

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センタープラザのシンボル的存在と言える大階段とアトリウム空間です。立体的な吹き抜け構造はスタイルの古さは否めませんが、構造的には5月に開業したばかりのJR大阪駅新ビルをも彷彿とさせます。時計のある空間ということでもセンタープラザはすでに時代を先取っていたと言えるでしょう。

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70年代の建築物としてはかなり凝った造りです。竣工当時はかなりお洒落な空間だったのだと思われます。

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一連の改装は限られた予算内での精一杯のテコ入れとして施されている感が否めません。外装を含めて建物の傷みは巨大な建物全体に現れています。やはりこれは将来的な建替えを見据えたあくまでも暫定的で短中期的な方策といった見方が妥当かと思われます。建替えには区分所有区域の交渉、地下エリアを含めた巨大施設解体から建設工事着手等、長期戦になることは無論のこと、投資額も数百億から一千億円が必要とされるはずです。費用の圧縮を優先したとしても外装のリニューアルを含めた大規模改装には段階的に店舗の部分一時閉鎖実施し避けられません。

再開発ビルの再々開発は困難を極めます。ここはやはり大型投資を厭わない核テナントの選定が最もてっとり早く、大手民間デベロッパーが中心となり、市がバックアップする形でこの巨大複合ビルの再生を担っていく方向が最善でしょう。難易度は高いですが、神戸一の商業地区を手中に収められるとあっては投資企業にとっても大きな魅力を感じられるはずです。今はそういった議論も出難い状況かと思われますが、梅田地区では更にヨドバシカメラが商業ビルを新たに建設することが明らかになり、もう手に負えない状況な程、集積が集積を呼ぶ状態となっています。少なくとも将来像を模索できるような勉強会や議論は開始して欲しいと思っています。



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