ホテルシェレナ跡地

ホテルシェレナ本館跡地計画

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震災で被災し、長年に渡って幽霊ビルとなっていたホテルシェレナ。三棟から構成された建物は競売に掛けられてそれぞれ売却されました。本館と東館は解体されて更地に。西館はホテルとしての復活を検討しつつも断念、今秋には賃貸住宅として再稼動します。本館の一部は神戸学生会館となってすでに再開発が完了。残る本館の土地と東館跡はコインパーキングとして暫定利用されてきました。2007年には一度、再開発計画が始動し、地上28階建ての超高層住宅の建設が予定されていましたが、リーマンショック以降の不動産市況の悪化で頓挫。

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しかし今春、本館跡敷地内でボーリング地質調査が行われていたので、再度何らかの動きがあるものと予測していましたが、ようやく数年間の沈黙を破ってプロジェクトが再始動することが判明しました。事業主は近鉄不動産と住友商事。地上24階 高さ75.65m 総戸数137のタワーマンションが建設されます。以前の計画が高さ約100mであったのに対し、高さが約76m(軒高の可能性有)へ縮小されていることは残念ですが、凍結されたプロジェクトの再始動を素直に喜びたいと思います。

近鉄不は阪神なんば線の開通によって、阪神線もグループ親会社である近畿鉄道の沿線となったことで、阪神間及び神戸市内での不動産事業に積極的に進出しています。最近でも同社では神戸都心初となる分譲マンション「ローレルコート神戸元町」を近接する栄町通に建設。神戸北野ホテルも同グループが所有している他、ホテル近鉄の神戸進出も視野に入れているようです(個人的にはニューオータニ跡を継承して欲しかったです)。

シェレナ跡地の物件も同社のタワーマンションブランドである「ローレルタワー」の冠を授けられ得ることになるのでしょうか。

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周辺の栄町通では老朽化したオフィスビルや駐車場等が猛烈な勢いで分譲もしくは賃貸マンションへと変貌しています。通り沿いに建設されている建物が存在しない時期はほぼここ何年もの間、皆無だと思われます。都心エリア内では布引交差点以北のフラワーロード沿いと栄町通程、近年、大きくその姿を変貌させた地域はないでしょう。

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再開発地区は元はと言えば三越があった由緒ある商業エリアです。現在も官公庁・オフィス街の役割を担いつつ成熟して落ち着いた雰囲気を持ち、各線神戸駅や西元町駅にも近く、ハーバーも徒歩圏と利便性は高いです。

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計画地からハーバーロードを挟んで向かいに鎮座するのが明治33年築の旧三菱神戸支店。現在は日本の子供服の草分け的存在であるファミリアが所有し、同社の本社兼ホールとして活用されています。エリアの重厚性を最も高めている建物の一つです。

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栄町通を挟んだ向かいには神戸中央郵便局がどっしりと構えています。同郵便局は昭和4年に東京、大阪に次ぐ日本で三番目に中央局となりました。震災によって被災し、平成11年に現在のガラス張りの姿に再建されました。

郵政民営化に伴い、現在、三大都市の中央郵便局はそのあまりにも恵まれた立地条件を活用すべく大規模再開発による建替えが検討されています。すでに東京・丸ノ内の中央郵便局は高さ200mの超高層ビルへと変貌を遂げつつあり、大阪駅前の中央郵便局も再開発に伴って旧建物は閉鎖して一時移転中(再開発は一時凍結中)。名古屋も超高層ビルへと建替えられる計画です。これらの建替えが完了した後、その他の大都市でもこうした動きが波及する可能性は高いと思われますが、なまじっか早期に中央局化した神戸の場合、都心の中心軸がすでに三宮へと移ってしまった今、同局を同様に建替えるメリットは、残念ながらないように思われます。

活用法があるとすれば、既存の建物と土地を売却し、その売却益を利用しつつ、三宮のしかるべきエリアに土地を購入。大手デベロッパー等に参画を打診し共同で複合再開発ビルを建設して運用する。そんなシナリオはどうでしょうか。

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中央郵便局裏はビルの谷間化しつつあります。後方奥のタワークレーンは神戸ハーバータワー(地上35階 高さ118m)の建設現場です。南側の海岸通沿いに高層建築が並ぶことになります。ウォーターフロントの象徴であるポートタワーやメリケンパークは残念ながら、シェレナ跡地のタワーマンションからは見えなさそうですね。花火はエスタシオンより高い階層からは見えるかもしれません。ただ眼前に広がるハーバーから海岸通の高層ビル群は迫力ある景色や美しい夜景を見せてくれることでしょう。

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東西に広がる長方形の敷地です。気になる建物のデザインですが、スペック的に1,300㎡の敷地と建物の延床面積が14,000㎡であることから、現在、下山手通で建設中のプラウドタワー神戸県庁前と肉薄しています。単純に14,000㎡を24フロアで割ると、約1フロア580㎡。細身のタワーになることが予想されます。

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ちなみに今回、開発が進められるのはシェレナ本館跡地(約2,700㎡)の南側半分の1,300㎡です。北側半分の1,300㎡には神戸学生会館(建築面積984㎡)が建設されました。恐らくこの敷地では建ぺい率が80%、容積率は1,000%近くまで引き上げられているようです。西館、本館の跡地利用にようやく目処が立ったので、必然的に気になるのは東館跡地の利用です。跡地としては本館の敷地面積が最大でしたが、区画が分割されて開発されることとなったので、実質的に最も大きな敷地を持った東館跡地(約1,820㎡)が残されることになります。売却先は大阪のビル管理会社、売却額は3億1,200万円だったようです。今後どのような投資が行われるのでしょうか。近鉄タワーの建設状況を取材しながら同時に東館の行方も見守っていきたいと思います。



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