こべるん ~変化していく神戸~
企画物

再建過程 ?長年の切望マイナー編?

今回は震災後、被害を受けた建物が解体され暫定利用や再建の目途が立たず、長年、敷地が放置されてきたもののようやく再建が果たされた都心の建物特集です。その代表格はミント神戸や神戸旧居留地25番館などが挙げられるかと思いますが、今回は逢えてメディアでは取り上げられなかった、しかし都心の重要エリアを担う建物の再建にスポットを当ててみたいと思います(一部古い写真を採用している為、画質の粗さについてはご了承ください)。

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まずは三宮町1丁目。中央大通りと一本南の通りに挟まれた都心の一等地で第百四十銀行に隣接した敷地。ここにはかつて兵庫銀行本店ビルがありました。被災により建物は解体され、銀行自体も経営破綻。その後、業務を引き継いだみなと銀行は近接地区に本店を構えました。巨大な跡地はその後、時間貸パーキングとして長期に渡り暫定利用が続けられてきました。

ある意味、良い開放感が広がっていたと思います。中央大通りを歩いていると旧居留地のビル街が広がるように見えていたのですから。

西側の敷地は解体後、早い段階からフェンスで仕切られ、敷地内になぜか外灯や花壇が設けられある種の広場へと転進。しかしフェンスに囲まれていた為に中に入ることもままならず、一体何の目的で作られた広場かと思いきや、「播州信用金庫神戸本部ビル建設予定地」の石標が設置されたのです。しかし・・・何年経っても建設の気配はありませんでした。

central00当時、建物建設中に現地に掲載された看板 (2003年)

2003年秋、駐車場だった敷地の東側が突然閉鎖され、駐車場の周囲を囲っていたフェンスの解体が始まりました。どうせフェンスの付け替えだろうと思っていると、看板が掲示され「(仮称)尼崎製罐三宮ビル建設予定地」と書かれていました。

やっとこの空白地にビルが建設される!

何の前触れもなかったので当時の私には衝撃的でした。

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今では恐らく建築計画のお知らせが掲示され、少なくともそれから数ヶ月は着工に至りませんが、この建物はいきなり防護壁で敷地が囲われ、建設が即、開始されました。

タワークレーンが建ち、S造であることを象徴する鉄骨が次々と組まれていく様には興奮を覚えたものです。

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上棟すると、テナント募集看板(上記)が掲載され、完成予想パースやビルの名称が「三宮セントラルビル(当時はまだ仮称)」となる予定であることが判明。パースや鉄骨の躯体から地上12階建であることも分かりました。

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かつてあった兵庫銀行本店をも凌ぐ重厚且つモダンなオフィスビルが着々と完成に向けて近付いています。ご覧の通り、完全に塔屋まで組まれるまではカーテンウォールの取り付けは開始されませんでした。

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そして待望の2004年3月、三宮セントラルビルが正式に竣工、稼動を開始。旧居留地と三宮を連携する重要な位置付けであり、居留地の雰囲気をそのまま取り込んできたような建物です。1階にはセレクトショップが入居し、オフィスフロアも満室稼動ではありませんでしたが、証券会社や企業の支店、クリニック等が入居。

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その後、職業訓練スクール等も入居し、好立地も手伝って人気テナントビルとなりました。広いガラス開口部が採用され、シンプルながら飽きの来ないデザインになっています。

三宮セントラルビルが完成する一方、姫路市に本店を置く播州信用金庫が買い取った西側の敷地はお花畑を維持していました。当時の報道では2007年を目途に電算機能を備えた神戸本部ビルを建設とありました。その時点から更に4年後という長い話でした。

そして2006年春、お花畑の撤収が開始されました。いよいよ待望の着工です。建設は2007年を目途ということだったので、少しスケジュールが早まったのかと期待しました。

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建設現場に掲示された完成予想パース

気になったのはデザイン。三宮セントラルビルとは異なり、西側はオープンになっているので三方向が表面になるものと期待していました。しかし現地に掲載されたパースを見ると、西側はほぼ一面壁・・・。周囲への景観を考慮すると、もうひと工夫欲しかったと思います。金融機関なだけに質実剛健なのは理解できますが。

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この建物もタワークレーンが立つまでにあまり時間は掛からなかったと思います。街中にこのサイズのクレーンが聳えるとかなり迫力があります。この後の建設過程を捉えた写真のファイルが見つからず、残念ながら皆さんにお見せすることができませんが、この建物は三宮セントラルビルのように鋼材を積み上げていくS造ではなく、SRC造でした。

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三宮セントラルビルとほぼ高さを揃え、同様にガラスと石造を採用したファサード。重厚で一体感のある街区が誕生しました。西側1階にカフェでも併設したら賑わい作りにも貢献し、面白かったかもしれないですね。前にも述べましたが、何らかしらのランドマーク的な建物ができると、次に周囲に建てられる建築物はその建物を指標とする傾向があります。

神戸都心で他に例を挙げれば、三井住友銀行神戸本部ビルと朝日ビルの外観には統一感がありますし、鯉川筋と栄町通のリンクする栄町通1丁目付近は読売神戸ビル、三井住友海上神戸ビル、ライオンズ栄町通等の重厚な建物が同様に集っています。

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同信用金庫三宮支店は元々、大和銀行三宮支店だった所です。移転による支店閉鎖から早3年。一等地にあるこの建物の今後の行方が気になります。再び地下上昇まで塩漬けになるのでしょうか。

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所変わって旧明治生命ビル跡地です。重厚な地上12階建てのビルの5階部分が屈折倒壊し、解体を余儀なくされました。その後、暫定利用されるでもなく防護壁に囲まれた状態で放置されていました。国際会館前交差点に隣接した一等地であり、フラワーロード上ということもあって景観的にも早期の再建が望まれていました。

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2004年に明治生命と安田生命が経営統合し、明治安田生命に生まれ変わった頃、ついに防護壁が建設用に一新されて建築計画のお知らせが掲示されました。待ちに待った同ビルの再建がスタートしたのです。地上14階、高さ63.95mという掲示内容に胸躍ったものです。震災復興再建がひと段落して以来、最大の面積を誇るオフィスビルの誕生となります。

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しかしこの建物の既存建物の地下躯体の解体工事はかなり長期化しました。待てども待てども姿を現さない地上部。重機の消えた一時期は工事が進んでいるのかいないのかも分からず、もしや工事中断かとやきもきした覚えがあります。背後にはD’グラフォート神戸三宮タワーも建設中でした。旧神戸新聞会館跡地の再開発計画もスタートし、神戸の都心も再び建設ブームの到来といった雰囲気で活気がありました。

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これまた同ビルの建設経過を撮影したファイルが行方不明で、唯一見つかったのがこの竣工間近の写真です。西に面したファサードはガラスカーテンウォールに包まれており、斬新で最新鋭なオフィスビルの代表的な姿です。低層部には大型の支柱が二本設置され、ピロティが備わるため、その工事が着々と進められてしました。

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2006年3月、明治安田生命神戸ビルが竣工を迎え、ほぼ満室で稼動開始しました。

同ビルの簡単な概要です。

用途:事務所・店舗
規模:地上14階・地下1階
最高高さ:68.5m
敷地面積:1,179.31平米
建築面積:876平米
延床面積:12,395.34平米
構造:鉄筋鉄骨コンクリート造・一部鉄骨造

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非常に存在感の大きな建物であることが分かります。

今回、ご紹介した建物はおよそ10年も再建がままならなかったオフィスビルです。復興再建によるオフィスビルの供給過多と景気後退が重なり、高空室率が続いていた神戸の都心部。その中で再建されてきた貴重な存在であったのは、やはりその立地条件の良さが評価されたのでしょう。

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再建過程ではありませんが、長年の放置後に近年、建物が再建された土地のひとつが、現在、ホテルトラスティ神戸旧居留地のあるフィリピン共和国政府所有地です。こちらも都心の一等地がようやく活用された一例です。

先日、2010年の路線価が発表されました。多くの商業地で下落幅が上昇し下げ止まる様子が見えません。都心開発と地価には深い関係があるだけに今後の動向が注目されます。ちなみに兵庫県内一の路線価はこれまで通り、センター街で近畿圏内では七番目の価格でした。鉄人効果のあった長田エリアでは近畿圏内で唯一の横ばいだったそうです。

まだ再建が実現されていない阪急会館、三宮ビル北館などこれからを期待したい建物が存在しています。どうにか早期の実現を祈るばかりですね。





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POSTED COMMENT

  1. 文京移民 より:

    三宮中央通沿いはこの数年で随分と良くなりました。

    兵銀跡が更地だったときは都心部にふさわしくない、がらんとした雰囲気で、地下鉄工事と相まってかなり見苦しい状態でしたし。



    個人的にはかつての東京銀行ビル(村野藤吾設計)は大好きでした。銀行再編の波に飲み込まれて取り壊されてしまったことは残念ですが。播州信用金庫のビルは規模的には悪くはないのですが、やはりデザイン的に昔には及ばないかなと思ってしまいます。



    明治生命ビルは震災前、地下のインド料理店に何度か行った記憶があります。今のビルは随分さらっとした爽快な建物ですね。1Fのエントランス周りの開放感が好きです。

    http://www.flickr.com/photos/lmadcap/4767374127/



    以上雑記でしたが。

  2. こべるん より:

    都心の一等地が空白であることほど惨めな状態はないかと思います。三宮中央大通り沿いにはまだ旧ダイエーリビング館跡を初め、複数の未開発地が取り残されています。これらの早期の有効活用を望んでいます。



    フラワーロードの開放的な良い雰囲気が出ている写真ですね?。文京移民さんが撮られたんですか?

  3. 文京移民 より:

    ダイエーリビング館も駐車場にしてはまあ良いデザインですけど、本格的な建物が欲しい場所ですよね。トアロードの西側あたりも少し寂しい感じですし。

    写真は僕のものです。神戸の風景を含めFlickrに色々アップしてますのでご興味があればどうぞご覧下さい。

  4. こべるん より:

    確かに洒落たパーキングではありますが・・・。あの土地の売却額を考えると、所有者が延々と駐車場経営を行っていくとは思えないので、ゆくゆくは何らかの形で再開発されるのだと思いますが、現状の需要に対してはオフィスにしろ、商業施設にしろ、ホテルにしろ、過剰な状態なのでそのままの状態が続きそうですね。立地柄、マンションだけは止めて欲しいと思います。Flickr拝見しましたが、素敵な写真ですね。

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