前篇に引き続き、シティタワー神戸三宮のマンションギャラリー訪問レポートの後編です。ギャラリー2階に設置された2種類のタイプのモデルルームですが、前編では74㎡のお部屋をご紹介しました。今回は46階相当に設定をおいた90㎡のモデルルームからスタートしたいと思います。このタイプは余裕のある90㎡の居住面積に2LDKの間取りを採用した贅沢な造りになっています。
設定は南西方向の角部屋です。都心・ウォーターフロントを正面に捉えた恐らく最も人気のある方角でしょう。大きく採られた開口部とガラス手摺によって、広々としたリビングから昼夜を問わず素晴らしい眺望が眼前に開けます。
まさに三宮を手中に収めているような感覚を味わえるはずです。LDKの広さは25畳に設定されています。
キッチンは3.9畳。カウンターの幅は余裕のサイズ(写真のフラットカウンター及び天然石はオプション仕様)。出来上がった料理を盛り付けてすぐにダイニングテーブルへ出したり、食後に使い終わった食器類を下げたりするのにも非常に重宝することでしょう。
キッチンには以下の装備が標準で備わっています(全戸標準装備)。
・ビルドイン食洗乾燥機
・シングルレバーシャワー水栓+浄水器
・生ごみディスポーザー
・静音シンク
・ガラストップセンサーコンロ(写真の仕様はオプション)
シンクやコンロ周りも作業スペースが豊富なので、使い勝手は良好でしょう。一面フラットで掃除もし易そうです。
キッチン越しに見る眺望も素晴らしいですね。こんなキッチンで料理を作ってみたいものです(ワインなんか飲みながらだったら最高ですね!)
二面に広がるバルコニーはリビングからバリアフリーのフラットなフロアで一続きになっています。バルコニー幅は1.7m。ガラスは複層ガラスになっており、外部からの騒音を遮断します。個人的に休日はバルコニーで過ごす時間も多いのですが、秋のこの時期は最高の空間となることでしょう。みなと神戸海上花火大会の際は特等席ですね。
寝室です。これまた贅沢な空間です。寝室からも余すところ無く眺望を堪能できます。まさに眺望が日常になる毎日になることでしょう。
寝室が角部屋という間取りは珍しいのではないかと思います。まさにシティホテルのようです。
このタイプも主寝室に大容量のウォークインクローゼットが備え付けられています。ベッドの上から神戸の夜景を眺めつつ眠りに付く・・・。そんな夢のような生活がこの間取りでは実現します。でも高層階の窓は汚れやすいんです。この景色を常に維持するには窓やガラス手摺内側を綺麗に保っておく必要があります。
ちなみに手摺外側は定期的に業者が清掃を行います。オフィスビルと同様にルーフにはゴンドラを設置するレールが備えられています。シティタワーの透明感のある外観を維持するには、ガラスを美しく保っておかなくてはなりません。神戸一のランドマークとしての責務ですね。
90㎡の間取りはあらゆる点でゆとりが生まれます。バスルームも1620(1.6mx2.0m)のサイズが採用されています。このサイズだとバスタブ内でも完全に足を伸ばすことが出来ます。洗い場にも余裕があります。低床の浴槽で出入りが楽です。
部屋の配色は3パターンから選択することができます。1番人気はモデルルームにも選択されている中央のノーブルコントラストのようです。
気になる共用施設部分概要は以下の通りです。
共用廊下: 完全内廊下 – ホテルライクです。
クリーンステーション: 各階に設置 – 便利ですね。
屋内階段: 2ヶ所 – 640戸を担うには必要でしょう。
駐輪場: 1-6階(駐輪場エレベーター有) – 自転車用エレベーターとは驚きですね。
タワーパーキング: 建物中央部拭抜内(地下1階より入出庫) – スペースが有効活用されています。
1階: エントランスホール/グランドロビー/メールコーナー – コンシェルジュサービス完備。
39階: スカイラウンジ+パーティールーム – 居住者のみの特権です。
エレベーター: 低層階用2基(1-17階) 中層階用3基(17-38階) 高層階用3基(38-54階) – オフィスビルのようですね。
私がある意味、同ギャラリー訪問において最も楽しみにしていたのが、この1/100スケールの模型です。前編でご紹介したジオラマタイプよりも遥かに精巧に製作されています。この模型は特別なシアタールーム内に設置されています。
同ルーム内では付設されているモニターと連動して照明が切り替わり、シティタワー神戸三宮の概要や特徴が上映されます。
住宅棟と商業施設棟のホテル階はデザインや色を統一して街の一体感を高めています。ダークグリーンはシティタワーシリーズの共通色の一つです。
南側グランドエントランス付近の接写です。サウスガーデンのある低層の建物は一部、集会所や憩いの場として整備されます。メインゲートからエントランスまでは結構な距離があります。居住者の利便性を考慮して北側にもサブエントランスが整備されます。
商業施設棟の接写です。5-10階のホテル階に設置されている全周バルコニーですが、あくまでも非常時の避難経路であり、通常は室外機置場の役割を果たし、客室からの利用はできません。またホテル階の東側には客室がありますが、住宅棟西側の中央部は13階までをタワーパーキングが占めることで宿泊客及び居住者のプライバシーに配慮がなされています。この他、住宅棟低層部は手摺に不透明ガラスが採用されています。
街区内のほぼ主要施設は屋上緑化が施され、ヒートアイランド対策に貢献します。神戸市の条例で屋上や壁面緑化は容積率緩和の対象となっています。
模型を使ったシアター内のプレゼンテーションは夜間のシティタワー神戸三宮の様子をも表現します。照明が消えると、日中とは全く異なった光のタワーへとその表情に大きな変化を遂げます。
設置される航空障害灯は塔屋の四隅と45階の壁面四隅の合計8灯器で、ヘリポート上の2つは明滅式の中高度灯、残りは全て常時点灯している低高度灯です。高さ150m以上の建には最高高さから52.5m間隔で低高度灯を設置する義務がありますが、このタワーの場合、190mから52.5mを引くと150m未満になる為、設置位置の45階で150m付近と思われます。
気になるライトアップです。同タワーは非常に大きな塔屋を持っていますが、塔屋には照明は当てず、軒となるせり出した庇的装飾部の北面を除く三面にLED照明を設置。日没後にこの部分が幻想的に闇に浮かび上がる仕組みです。ここ最近、建築物のLEDによる照明演出が盛んになっています。直近ではポートタワーやモザイクの観覧車がリニューアルによって照明をLEDに変更して、より鮮やかで消費電力を抑えた目にも環境にも優れたライトアップを行っています。LEDのもう一つの特徴は、照明の演出方法を容易に変更できることです。瞬時に色を変えたり、文字を浮かび上がらせたりすることもできます。シティタワー神戸三宮のライトアップも最終的にどう演出されるのか乞うご期待!
この他、北面中央のエレベーターホールが整備される部分の縦格子にも各階にLED照明が設置されます。これは布引の滝をイメージした照明演出だそうです。50個以上のライトが縦列する様は恐らく圧巻でしょう。ヴィーナスブリッジ等、山側から見た都心の夜景にも大きなインパクトを与えそうです。
まさに壮観です。実際は模型のように全館点灯することはないでしょうし、各住戸で照明の色やカーテン、ブラインドの開閉状況は変わってくるので、こうした光り方はしないでしょうが、竣工後の様子を見るのがかなり楽しみになってきました。
各色のコントラストが非常に綺麗です。
さて、ここからは、同マンションギャラリー所長のO氏との同プロジェクトに関する質疑応答をQ&A方式でご覧頂きたいと思います。
Q1. 同再開発プロジェクトの実現には相当時間が掛かり、今回の計画が決定した時点からも、デザイン案の変遷が繰り返されたが、最終案に決定した経緯は?
A1. 住友不動産はプロジェクトを進める再開発組合の一組合員として参加しているので、住友不動産はプロジェクトを進める再開発組合の一組合員として参加しているので、住宅棟のデザインに関して権限を持っている訳ではないが、シティタワーとして相応しい外観となるよう要望を取り入れて貰い、最終案に決定した。
こべるん的感想: 組合施工の再開発として、一企業単独で行うわけではないので、各権利者の意見の集約は困難を極めたものと思われます。最終的にはシティタワーシリーズ最高峰として十分に存在感とランドマーク性を兼ねたデザインになったと思われる。
Q2. シティタワーシリーズはガラスを多用した外観が特徴だが、特に都心物件にはガラスカーテンウォールを採用したり、少なくともコーナーにはバルコニーを設置せず、ダイレクトビューを売りにしている物件が多い。今回、シティタワー神戸三宮に全周バルコニーを採用した理由は?
A2. 消防法及び神戸市の火災予防条例によって、二方向避難経路を確保する必要がある為に、全周バルコニーの設置を採用せざるを得なかった。神戸市の条例は高層建築に対して非常に厳しい安全管理義務を課している。
こべるん的感想: これにはビックリ!長年の疑問が一気に解決。反面、神戸のタワーマンションはデザインの自由度がかなり制約されてしまい、ガラスカーテンウォールを多用したオフィスビルのような外観を持つタワマンの建設は(工夫次第もあるが)、事実上、不可能な状況。これは少し残念。
Q3. 神戸市の景観条例でポーアイしおさい公園から眺めた六甲連山の稜線が遮られないよう高さ制限が設けられたが、同タワーが190mの高さを実現できた理由は?
A3. 旭通4丁目地区の同事業区域は高度利用地区に位置付けられ、「ポーアイしおさい公園から市街地と背後の山並みを眺める眺望景観形成のための誘導基準」の高さ規制の適用外を認められた。
こべるん的感想: 高度利用地区の指定によって免除されるという制度は、一定の規制効果を期待しつつ、民間投資意欲の抑制を避けることが出来るように配慮した制度とも捉えられる。何はともあれ100%不可ではないことは歓迎したい。
Q4. 商業施設棟の低層部の店舗構成や方向性は?
開業まではまだ時間がある為、現段階では具体化はされていない。
こべるん的感想: 地域の活性化とエリアの雰囲気に変化を与える施設として整備されることを願う。
Q5. シティタワー神戸三宮の魅力は?
これまで都心エリアで発売されたタワーマンションの中で最も三宮駅前に近接し、その利便性と建物の持つランドマーク性を踏まえる上で、資産的価値も非常に高い。同エリアにこれだけの規模の再開発事業用地は他に存在せず、ある意味、最後の一等地の再開発として注目度も高い。
こべるん的感想: 神戸一の高さは話題性十分。しかも同物件を越える高さを持つ建物が建設される可能性は現状、極めて低い。従ってステータス性は非常に高いはず。
Q6. ギャラリーの来訪者層は?
どちらかと言えば、高齢の方が多い。特に西神や鈴蘭台等の郊外エリアに在住している方々が、子供もすでに巣立ち、戸建ての手入れや車の運転等も難しくなりつつあり、利便性の高い都心エリアに集中する所謂「都心回帰」が続いている。
こべるん的感想: 都心域のマンション供給ラッシュは留まることを知らない状況。市内間の移動だけでなく、市外からの転入者増加にも貢献し、将来、懸念される人口減少を最小限にとどめる
Q7. 地震や災害対策は?
免震装置や耐久性の高いコンクリート、非常用発電機による電源確保、エレベーター安全停止装置、緊急地震速報配信、耐震ドア等の他、雨水の貯水槽を非常用の排水として活用できる。食料備蓄も検討中。
Q8. エレベーターの速度は?
低層用エレベーター: 105m/毎分
中層用エレベーター: 150m/毎分
高層用エレベーター: 210m/毎分
Q9. 新聞朝刊の宅配はされる?
朝刊は宅配が可能になる予定。
Q10. 大規模修繕はどのように計画されている?
大規模な建築物である事から、全てを一斉に行うのではなく、部分を修繕していく形を採る予定。日頃からのメンテナンスも重要。
Q10. 今後もシティタワーブランドのマンションが神戸に建つ予定は?
現在の所は具体的な計画があるわけではないが、神戸は魅力的な街であり、機会があれば新たなプロジェクトを手掛けたい。
Q2、Q3に関しては以前より疑問に思っていた点でしたが、市の条例に要因があったとは意外でした。この点に関しては市担当者の方にヒアリングを行い、より詳細な情報を得ることが出来ましたので、機会を設けて詳しく掘り下げたいと思います。
最後はおまけで全国のシティタワーシリーズ(建設中を含む)について調べてみました。
(こべるん調べ:データは正確でない可能性があります)
量的にはやはり東京がダントツでした。以外に東北・関越エリアにも点在しています。
高さ的に比較してみると・・・
(こべるん調べ:データは正確でない可能性があります)
トップ3をはじめとして関西勢が上位を占めています。
今回、マンションギャラリーを訪問させて頂き、非常に多くの事を学ぶことが出来ました。今後も竣工そして夜間のライトアップ開始に至るまで、このランドマークタワーと同再開発事業の行方をお伝えしていきたいと思います。
すごい気合の入れ方ですね!
都市開発系のブログは数あれど
マンションギャラリー訪問してヒアリングしてるサイトは初めて見ました。
神戸の都市開発系のブログは少ないんで、応援してますよ!
がんばって下さいね。
トォーリさん
ありがとうございます。今回は同タワーギャラリーの方に暖かく取材に応じて頂け、貴重な体験や話を伺うことができました。
今後とも応援よろしくお願いします。
ホント、すばらしいですね。
頭が下がります。
いろんな疑問点が判ってすっきりしました。
今回はブログ掲載のことを話されて、取材されたんでしょうか?
私はマンションのモデルルームに行くだけでも億劫です。
いろいろ聞かれて、書かされて・・。
次回は是非、JR三ノ宮駅長に取材お願いします!(笑)
夢想家さん
今回は取材を申し込む形で訪問の依頼をさせて頂きました。MGの担当者の方も当ブログの事は存じて頂いていたので、とても気持ちの良い取材をさせて頂きました。
う~ん・・・駅の方はマスコミにも公開していない情報は教えてくれないでしょうねえ~。いつか挑戦してみたい気もしますが・・・。