回る十国展望台跡に今年7月にオープンした六甲山の新ランドマーク「六甲枝垂れ」に行って参りました。その外観はおよそ展望台に似つかず何する物ぞ的な不思議な建物です。
六甲ガーデンテラスを完成させた阪神総合レジャー株式会社が閉鎖していたもう一方の展望台に新しいコンセプトを元とした展望台の開発に乗り出し、コンペを開催。103作品の中から三分一博志氏の案が最優秀賞として選ばれ六甲枝垂れが完成しました。
「いかにして建築が地球の一部になるか」をテーマとしている同氏の作品だけあり、随所に工夫が見られます。まず展望台を覆うフレームは檜でできていて、「枝葉」が木漏れ陽を作り出したり、冬には樹氷が観察できるそうです。
展望台の内部の空間は中央に塔があり、ここを伝って空気が建物内から外へと流れ、空気の循環が行われます。
内部には冬に凍結した氷を保存する氷室があり、六甲山に吹く風を取り込んで冷却し、室内を自然の冷房で冷やしています。実際、椅子に腰掛けると、両側の通気穴からひんやりとした風を感じることができます。従って真夏でも自然の力を借りることで室温を快適に保ちます。逆に冬はどうなるんでしょう?
他にガラスに仕切られ、日光浴をしながら展望を楽しむ空間や切り取られた絵のように裏六甲の自然を満喫できる空間が備えられており、いわゆる展望台の概念とはまったく別物の不思議な施設です。ただ、展望そのものを楽しみたい場合は、位置的にガーデンテラスの方がGOODです。
眼下には住吉駅周辺と六甲アイランドが広がります。
六甲ガーデンテラスは六甲枝垂れから目と鼻の先の距離です。
ガーデンテラスのシンボルは見晴らしの塔。西欧のお城のような建物です。11mの塔は六甲山では最も眺めの良いスポットです。
テラス内の建物群を見下ろします。レストランやカフェ、雑貨屋等があり、どのお店からも展望を楽しみながらくつろぐことができます。六甲山のアイスクリームも楽しめますよ!
この高度から見下ろすと、現状、神戸一の高さを誇る御影タワーレジデンスもちっぽけな塔にしか見えませんが、逆に周囲の建物の高さからは突出しています。
手前に西宮の高層マンション群、後方に大阪都心の巨大な超高層ビル群が連なります。他に印象的なのは両岸の緑地帯がグリーンベルトを作っている武庫川と巨大な川幅がビル群との境を成しているような淀川です。阪神間から大阪都心、生駒山までの大パノラマ。1800万人が暮らす日本第二の都市圏の大きさを肌で感じることができます。
六甲山に鎮座する二つの観光展望名所。外国人を含めて観光客の増加する神戸ですが、一時期は六甲山を訪れる観光客数も減少していたと言います。単なる展望施設ではなく、雰囲気作りを大事に六甲山をブランド化する方法が功を奏しているようで、着々と集客効果が表れています。一方で眺望としては六甲山以上でありながら、六甲山程の盛り上がりのない摩耶山・掬星台との連携も図って貰いたいです。立地的に少し不便ではありますが、その分、神戸都心方面が遮られる六甲山と違い、180度のパノラマが広がる絶景は長崎・稲佐山、函館・函館山と共に日本三台夜景に称されています。神戸を訪れる方にはぜひとも見て貰いたいものです。
個人的に長崎、函館を訪れて際に感じるのは神戸以上に夜景が観光資源として活用されているということです。都心から夜景スポットへのアクセスが確立されており、観光客にとって夜景鑑賞が身近な存在となっています。従って夜景鑑賞は観光コースから外せない目玉です。
長崎・稲佐山からの夜景
函館
・函館山からの夜景
摩耶山・掬星台からの夜景
神戸では観光客が都心からダイレクトで山頂からの夜景を見に行く場合、公共交通機関の複雑な経路を乗り継ぐ必要があります。週末や観光シーズンだけでも各主要ホテルを回ってヴィーナスブリッジや摩耶ケーブル駅まで運行する夜景シャトルバスを運行させる等、神戸の夜景観光をもっと身近な存在にする為の仕掛けが必要ではないでしょうか。
自然体感展望台 六甲枝垂れ
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