ウォーターフロント

「神戸ウォーターフロントビジョン」が公開される 向こう約10年の変化をビジュアル化 ゾーン分けでコンセプトを策定



10月に神戸港中期計画について市民の意見募集が行われていましたが、その中でウォーターフロントエリアの将来像イメージ図が公開されていました。これらに基づき、神戸市は「神戸港将来構想」を策定し、神戸港中期計画と、今後10年で目指すウォーターフロントエリアの姿を示す「神戸ウォーターフロントビジョン」を作成・公開しました。対象エリアは高浜岸壁からポートターミナルの都心隣接親水ゾーンです。



ウォーターフロントエリアの再整備に取り組むテーマとして6つの項目が挙げられました。これらに伴い、新港突堤西地区水辺空間、新港突堤西地区都市空間、中突堤周辺地区、京橋地区にゾーン分けを行い、それぞれにテーマとコンセプトを与えて整備を行っていくとしています。



まずは新港突堤西地区水辺ゾーン。エリアに与えられたコンセプトは『 リゾート気分をあじわえる空間へ 』。第1突堤と第2突堤の間の水域にはマリーナを整備する事が基本方針です。この理由として、多くの国でマリーナは、プレ ジャーボートの保管場所にとどまらず、地域の憩いの場や 観光拠点としての役割を果たし、水面の利用だけではなく、陸上と一体で開発することで、ウォーターフロントの 付加価値を高め、都市の価値をも高めるとしています。

マリーナを取り囲み、水と緑の空間をレイアウトする計画で、第1突堤の東側緑地もプロムナード整備と植栽化を進めるようです。

また「ブルーカーボン生態系の取り入れ」を検討。ブルーカーボンとは海草藻場、海藻藻場、湿地・干潟、マングローブ林等を指します。



イメージの手前に曲線を描く海上プロムナードと岸壁の間にある水辺空間がこのブルーカーボンの対象になっているものと思われます。



新港突堤西地区都市空間のコンセプトは、『賑わい×非日常×高揚感を感じられる空間へ』。既に再開発が先行していますが、既存の施設に加えて、倉庫群の跡地に新たなにぎわい拠点施設を配置して、より上質で、ここでしか味わえない雰囲気や盛り上がりを楽しめる空間を目指します。



インバウンドもターゲットとしたリゾートホテルやライフスタイルホテルの開発を用途に分けて進め、ミクストユースの賑わい空間創出を目指す模様です。

イメージには敢えて高層の建物は描かれていませんが、高度利用を考慮して、民間デベロッパーからは高層ビルの提案も出てくるものと思われます。



24年度に完成を予定するアリーナの周りの緑地空間も緑の豊かな親水ゾーンになる予定です。水域には浮遊式の海上レストランの整備も候補として挙げられています。

一点気になったのは第1突堤とメリケンパーク間に設けられる構想のあった連絡橋が描かれていない事です。ウォーターフロントの東西動線と回遊性の向上にはこの連絡橋の存在は不可欠かと思います。



その代案という事になるのか、京橋エリアには『様々な交通モードが繋がる空間へ』というコンセプトが与えられ、歩行者空間とLRTや次世代モビリティを活用した動線を検討しているようです。

またイメージでは岸壁位置が浜手バイパスの南側にまで南伸しており、港湾内の埋立を構想している事が伺えます。



中突堤周辺エリアには『みなとまち神戸を感じる開放感な空間へ』のコンセプト。観光や商業機能をプラスしながら、緑あふれる空間へとさらに進化させ 、様々な人が集う空間 を目指すとの事。現在進行中のポートタワーのリニューアルの後には今後解体を進める中突堤中央ビルの跡地に新たな商業ビルを建設する他、LRTの停車場や、メリケンパーク内の駐車場及びロータリーを活用した緑地化で緑豊かなオープンスペースのあるより洗練されたウォーターフロントゾーンへと生まれ変わります。

これらの施策はあくまでも今後10年で進められるもので、新港突堤は東地区への発展拡大の余地を残しています。国際化した神戸空港と大阪湾岸道路西伸部の開通する頃、神戸のウォーターフロントは東西に渡って大きく魅力を増す事になります。

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POSTED COMMENT

  1. S.Y. Kobe より:

    エリアの中核施設となる神戸アリーナの図書縦覧が12月2日より始まったようです。建築面積・延床面積・高さ共スペックアップされましたね。特に延床面積は当初計画の約25,000㎡から約33,000㎡に拡大されました。非常に楽しみです。

  2. より:

    この様なイメージ図を見てるとワクワクして本当にテンションあがります。京橋エリアの埋め立てもいいですね。連絡橋はこべるんさんも仰る様に歩行者の回遊性を考えて作ったほうがいいと思いますが、歩行者の動線を確認しながらということでしょうか。

    あとは三宮駅からウォーターフロントまで楽しくランブリングできる様な仕掛けに期待したいです。

    散策が楽しくて一日ではとても回りきれない、どこを歩いていても楽しい。そういう街になりつつある。期待しかない。

    人が集まる街には自然とオフィスや商業施設も集積すると勝手に思っています。

  3. 神戸太郎 より:

    情報、有難うございます。楽しく拝読しています。

    このプランが実現して、ハーバーランド辺りから、フラワーロード辺りまで、水際をブラブラと歩いて楽しめると、新しい神戸の楽しみ方が出来てきますね。本当に楽しみです。そして、それを国内外にアピールしなければなりません。

    新しい交通システムとかバスなどがどう補完できるか。また商業施設がどう発展するか。その辺りが、センター街の今後にも絡んでくると思います。10年くらいで良い波及効果が見られると良いと思います。福岡ビッグバンみたいに、何かそういうフレーズをぶち上げて、県庁+元町+メリケンパークといった軸も一気に計画してほしいです。

  4. sirokuma より:

    一番上の写真、突堤から出る矢印は各方面へ船でアクセスできるようになるのかな?空港や須磨シーワールド、淡路島島へクルージングを楽しみながらアクセスできると観光の足としてとても面白いですね。明石海峡大橋のサンセットクルーズや早朝の大阪湾に上るサンライズクルーズも綺麗だけどなぁ。
    住友倉庫の跡地利用のボリュームが気になりますね。
    もっとも今どでかい建物の計画が出てきたらこれから販売開始のマンションの売上に触るかな?
    神戸都心部で最も規模の大きな再開発エリアだけにこれの倍くらいの規模の開発を望んでいたのでそこは残念ですが、須磨シーワールドとこのエリアは観光資源としても非常に楽しみなその効果を期待したい再開発ですね。

  5. Shiro より:

    海洋国である日本にも関わらず、海洋交通が発展しないのは何故なのでしょうか?
    何処も、船着き乗り場とそれに繋がる鉄道等のターミナルとのアクセスが悪い事が一因かと思っています。
    また、そのアクセスはバスが効率的ですが、都市の魅力としては物足りません。
    サンフランシスコのケーブル、ヨーロッパ各地の路面電車は、交通手段としてだけでなく、立派な観光資産です。
    県庁付近や新神戸、異人館あたりの坂を登る手段としても、山側と海側を南北につなぐ便利で楽しいアクセス手段が欲しいです。

  6. いかなごん より:

    イメージ図でさえ高層ビルは描かない神戸市。実現するかはともかく、あくまでも想像図なんですからもっと夢のあるような姿を描いて欲しいですね。既に存在する横浜みなとみらいと比べても見劣りすると言うかインパクトに欠けます。ウォーターフロントは神戸の強みなんで、これがまた規制やら傲慢な神戸らしさの押し付けで中途半端なことにならないか、現在の神戸市では不安なのが正直なところです。

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