福岡

地域探訪: 福岡・天神IMSイムズ跡地 (仮称)天神 1-7 計画が来年7月始動 20階建ての複合ビルに再開発へ



福岡の繁華街・天神の渡辺通りに面する商業施設「IMSイムズ」。三菱地所・明治生命の保有するファッションビルで、1989年に開業した地上14階 地下4階 延床面積44,863平方メートルの大型複合ビルでした。正式名は天神MMビル。天神ビッグバンの再開発に加わる為、昨年8月末に閉館しています。



三菱地所は、この商業施設の建て替えを進める事を決定。新たに計画されている建物は地上20階 地下4階 延床面積74,020平方メートル 高さ91mの規模で、天神ビックバンの容積率アップのボーナスを得て、規模を拡大した建物になります。



建物の用途は、地下4-3階は駐車場、地下1階から地上2階の一部までを商業施設、2-3階の一部をホテル、3-15階をオフィス(6階は機械室)、16-20階をホテルという構成としています。



建物の外装には九州産の木材を使ったひき板を並べた後、繊維方向が直交するように積層接着した木質系材料CLT(はCross Laminated Timber)の使用と緑化によって、サステナビリティを強く意識した複合高層ビルとして開発されます。また建物の使用電力を全て再生可能エネルギーで賄います。



残念ながら、イムズと外観を統一した左の天神愛眼ビルは再開発には加わらないようです。



建物低層部にはV字柱と吹き抜け空間をつくり、シンボリックかつランドマーク性の高いデザインを実現しています。地上から地下に掛けて広場空間も整備します。

これまでとは異なり、商業を核とした施設からオフィスを主体とした複合ビル化は時代の要請です。



しかしどの都市にも言える事ですが、ポストコロナに働き方の変容によって、大量のオフィス床供給はリスクも伴います。ただ福岡のオフィス需要は底堅く、空室率も低く抑えられています。

再開発の目白押しな福岡は2年連続で公示地価の上昇率が全国一を記録し、飛ぶ鳥を落とす勢いです。この快走は紛れもなく規制緩和によって進行する数々の大型再開発が牽引しています。



先週の土曜夜のニュース番組「情報7DAYSニュースキャスター」でも福岡の快進撃について特集が組まれていました。福岡は他都市から移住してしまうと、その居心地の良さにもう戻れないそうです。食べ物の美味しさ、家賃の低さ、街のコンパクトさが、ワークライフバランスを結実するのに丁度良い街であり、これにコロナ前には訪日観光客に沸く九州のブロック中枢都市としての役割が更に強まりつつある事が、この街を活気づけているのでしょう。神戸が学ぶべきところは数多くあるのではないでしょうか。


事業名称 (仮称)天神 1-7 計画
所在地 福岡県福岡市中央区天神一丁目 326 番 1 他(地番)
敷地面積 約 4,640 ㎡(約 1,400 坪)
建築面積 約 3,930 ㎡(約 1,190 坪)
延床面積 約 74,020 ㎡(約 22,390 坪)
建物高さ 約 91m
階数 地上 20 階、地下 4 階、塔屋 1 階
構造 地上:鉄骨造、地下:鉄骨鉄筋コンクリート造
用途 事務所、ホテル、店舗、駐車場
着工 2023 年 7 月(予定)
竣工 2026 年 3 月(予定)
事業主 三菱地所株式会社
設計 株式会社三菱地所設計

関連記事
福岡

地域探訪: 福岡・天神ビジネスセンター 天神ビッグバン認定第一号プロジェクトは2期計画と合わせて12万平方メートル規模へと拡大予定

2023年5月16日
こべるん ~変化していく神戸~
福岡市一の繫華街・天神エリアの明治通りにて2021年9月に完成した大型オフィスビルが「天神ビジネスセンター」です。 福岡市が「 …
福岡

地域探訪: 福岡・天神ビッグバンにおける最大級プロジェクト 福ビル街区建替プロジェクト14.7万平方メートルの再開発ビルが24年に誕生

2023年6月7日
こべるん ~変化していく神戸~
福ビル街区建替プロジェクトは天神ビッグバンで進められている開発計画の中では最大級の規模を誇ります。明治通りと渡辺通りという天神を東西 …
福岡

地域探訪: 福岡・天神ビッグバンの目玉プロジェクト 福岡大名ガーデンシティが完成 Part1 福岡大名ガーデンシティ・タワー編

2023年5月5日
こべるん ~変化していく神戸~
このGW前半を使って4年ぶりに九州主要都市行脚を行なってきました。3泊4日で4都市を巡る強行スケジュールで体力的にかなりきつかったの …

POSTED COMMENT

  1. sirokuma より:

    現状と完成後の新ビルと天神愛眼ビルを比較すると天神ビックバーンによる規制緩和の破壊力の大きさを実感します。
    そして、半世紀に一度訪れるか否かの都心部再開発事業を行うに際し許容上限まで使い切る福岡と抑制的な神戸とに勢いの差を感じてしまいます。1400坪の敷地に22,390坪容積率1600%のビルを建ててしまう福岡。2490坪の土地に29,817坪容積率1200%のビルを建てる神戸。福岡は高さ制限を大きく受けますがその分フロア当たりの面積を最大限に確保し大企業のニーズに対応できる高規格の事務所を供給しています。
    神戸は高さ制限まで高さを伸ばしますが、その他の規制もあり(東西幅40mなど)フロア当たりの面積が稼ぎにくい神戸。このビルの並びでは天神ビジネスセンタービルが一足先に竣工し、延床44,467坪・基準階面積1300坪の福ビルを始め数棟の大型ビルが建設中です。これらは、完成後の同エリアの就業人口など経済波及効果を提示しながら事業を推進しており最初から地元財界・民間事業者の意見・要望を最大限に取り組み産官の思惑が一致したところからスタートしているところが最大の違いでスタート後も時代の要求に柔軟に対応し変化を受け入れていると思います。この取り組みは既に博多コネクティッドへと進化しています。
    街づくりのお手本のような行政だと思います。
    https://www.kenbiya.com/ar/ns/region/kyusyu/4224.html

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です