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地域探訪: 福岡・天神ビッグバンにおける最大級プロジェクト 福ビル街区建替プロジェクト14.7万平方メートルの再開発ビルが24年に誕生



福ビル街区建替プロジェクトは天神ビッグバンで進められている開発計画の中では最大級の規模を誇ります。明治通りと渡辺通りという天神を東西南北に縦横する大動脈の交差点に位置していたかつての福岡ビルと天神コアの2棟の建物の土地を集約し、敷地面積約8,600平方メートルの開発用地を生み出した事で進められているプロジェクトです。



福岡ビルは、通称「福ビル」と呼ばれ、天神エリアにおける最大地権者であり、デベロッパーの西鉄こと西日本鉄道の本社ビルでした。西鉄は天神ビッグバンの制度を活用して、福ビル及び街区内の全てのビルを建て替える計画を進めています。



渡辺通りに面した仮囲いに掲示された新福ビルをカラフルなモザイクで表した広告。「創造交差点」をキャッチフレーズにしており、来年度の完成を目指して建設工事が進行中です。



巨大な再開発が至る所で行われている天神地区。行き交う人々もその光景にはもう慣れっこのようです。

プロジェクト概要



事業名称:(仮称)天神一丁目11番街区開発プロジェクト
所在地: 福岡市中央区天神一丁目11番
敷地面積: 約8,600㎡
延床面積: 約147,000㎡
階数: 地上19階、塔屋1階、地下4階
建物高さ: 約97m
設計: 基本設計 日建設計 実施設計 鹿島建設
外装デザイン: Kohn Pedersen Fox Associates(KPF)
用途: 商業、オフィス、ホテル、カンファレンス他



建設されているビルは地上19階 地下4階 延床面積145,000平方メートルの巨大複合ビルです。地下2~地上4階までの6フロアが商業ゾーンに充てられます。商業ゾーンの床面積は約16,000平方メートル。



この場所のかつての風景です。ファッションビルとして天神の若者文化を牽引していた天神コアが営業していました。



鉄骨建方の規模も非常に大きく、タワークレーン4基を投入しての躯体工事が行われています。タワークレーンを4基使用する現場はそう多くはなく、その開発規模の大きさを表しています。



6-7階には・オフィスエントランスのあるスカイロビーを設ける予定です。その規模も九州最大と謡われています。入居企業が活用できるラウンジ空間やコワーキング、カンファレンス等が配置される予定です。



8-17階の10フロアを占めるオフィスはこのビルの用途の1/3強の割合を占める49,000平方メートルとなり、基準階面積は約1,400坪、天井高3mの西日本最大規模となる大規模無柱空間を実現します。



最上層の2フロアはホテルとなり客室数は41室・5,000平方メートルを予定しています。ホテルの運営については、西鉄がPlan・Do・Seeとの業務提携を締結した事を発表しており、同社の運営ホテルが開業する事になります。同社は神戸でもORIENTAL HOTEL KOBEの運営を三井不動産より委託されています。



明治通り沿いにはこの福ビルをはじめ、前月にレポートしたザ・リッツ・カールトン福岡が間もなく開業する大名ガーデンシティ等、複数の大規模プロジェクトが目白押しであり、これらに付随する魅力的なホテルが数多くオープンする事になります。



交差点から見渡したかつての福ビルと天神コア。都心一等地の大型ビルを一挙に建て替えるという再開発を進めさせるに至った天神ビッグバンという規制緩和策は福岡市における歴史的なファインプレイとして長く語られる事になるでしょう。



ここまで都心部が劇的且つ広範囲、更に短期間で変化を遂げる例は国内でもあまり例がないのではないかと思われます。日本の都市は強制的に変わる事を求められており、変われない街は置き去りにされる危機を迎えざるを得ません。変わる事が自体が既にデフォルトであり、その変化の度合いや内容によって競争の優劣が決まってくるという時代です。
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POSTED COMMENT

  1. sirokuma より:

    天神ビジネスセンターも大きなビルでしたが、このビルが完成すると街の景観が一変しますね。天神界隈では、街の格を押し上げてくれるようなビルが次々に生まれています。そして、3年後には、イムズ再開発ビルが誕生予定ですがこれも三菱地所の社長がプレスリリースしてアピールするほど力を入れたビルで外装にCLTパネルなど木質素材と植栽を利用したランドマーク性の高いビルになりそうです。
    ここにもホテルが入居予定です。
    同じ政令指定都市なのに神戸市と福岡市の進出ホテルのクオリティに随分開きがあるように感じますが、これは、都心部機能更新誘導方策の中で定められた福岡市独自のハイクオリティホテル建設促進制度の効果だと思います。

    福岡市の制度を見ていると如何にして民間企業の積極投資を引き出すか?そのためには何が必要か?その目的と手段が極めて明確に表現されています。
    現在、エモーショナルな都市開発を行っているように思えますが、これはかつての神戸市の基本姿勢じゃなかったでしょうか?

    https://www.city.fukuoka.lg.jp/jutaku-toshi/kaihatsu/toshi/003.html#a01

    https://www.city.fukuoka.lg.jp/data/open/cnt/3/31191/1/high_quality_hotel_release.pdf?20210930142053#:~:text=

  2. 通りすがり より:

    こべるんさんの考察は当たっているようですね。狭いエリアに絞り期間限定で再開発しているケースは、前列がないようです。

    しかも、その結果、都市中心部の地価が一気に跳ね上がることで、都市中心部の価格帯について行けない層が周辺需要として周辺部の地価まで押し上げているようです。

    それが中心部および周辺部の商業地区や住宅地区の地価にまで波及しているようですね。

    いま、福岡はバブル期の最高地価に迫る水準まで不動産価格が高騰していますが、バブルと違って計画的に作られた実需に支えられていることを考えると、この戦略を考え実行にうつした福岡市の凄さを感じざるを得ないですね。

    https://www.homes.co.jp/cont/press/buy/buy_01501/

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