こべるん ~変化していく神戸~
JR三ノ宮駅改修構想

三宮ターミナルビル計画

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昭和53年9月21日の神戸新聞に掲載された記事です。37年前に現在の三宮ターミナルビルの建設プロジェクトの概要を公にした内容です。地上11階の規模で「高層ビル」とうたった記事が微笑ましいですね。読みにくいかと思いますので、下記に記事内容を掲載します。

『神戸の表玄関国鉄三ノ宮駅の改造計画がまとまり二十日大鉄局から発表された。地下二階地上十一階延べ一万七千平方メートルの三宮ターミナルビルを建設。神戸市が工事を進めている新交通ポートライナー線とドッキング。さらに駅前広場も大改造し地下に駐車場を設ける計画で早ければ来年二月に着工、神戸ポートアイランド博覧会が開かれる五十六年三月に完成させる予定。ビルのデザインについてはまだ決まっておらず神戸市と共に検討を続けているがモダンでかつクラシックな「神戸らしさ」を前面に出したものになるもよう。

現在の三ノ宮駅は昭和五年に建設されたものだが、近年駅前周辺に高層ビル群が建ち並び、周囲との調和が取れなくなってきた。このため神戸市、神戸商工会議所などが中心となって四十七年に「駅ビルを建設してほしい」との要望書を国鉄に提出していた。これを受けた国鉄では地元の意向をくむとともに、新たな収益源として検討を続け、九月十九日に本社理事会で議決、二十一日に国鉄総裁の諮問部門である 管理等公正委員会に諮問することになった。現在、内定しているスケジュールによると、十月二日に 大臣に建設を申請。同月中の認可を見越して同月二十二日に国鉄総裁、宮崎神戸市長、外島神戸商工会議所会頭ら七人による新会社「三宮ターミナルビル株式会社」の設立発起人会を開き、十一月二二日に設立総会を開くことになっている。同社の資本金は五億円。うち国鉄が50%、残りは神戸市、神戸商工会議所、地元企業など十三社が負担する。駅ビルの概要は地下二階、地上十一階、延床面積一万六千八百平方メートル、地下一、二階が物販店、地上一階が駅の中央コンコースと一部物販店、二階は物販店と事務所、三階は飲食街、四階がホテルのフロントロビー、五階が機械室、六階から十一階までがホテルになる。このうち三階の飲食街約千平方メートルはテナントを一般公募するが、物販店舗約三千平方メートルは阪急百貨店がキーテナントとして入居する。またホテルは二百五十室、三百人収容のもので、シングルベットが全体の80%の純然たるビジネスホテルで、駅ビル会社が直営することになる。また駅前広場は現在、百台収容の駐車場になっているが、地上部分は四十台程度のものに縮小、ビルの正面にタクシー乗り場を新設、地下に四十台収容の駐車場を新たに建設する予定。総工費は約四十六億円。早ければ来年二月からみどりの窓口などの移転作業に着手、五十六年三月の新交通ポーアイ線の営業開始に合わせて完成させるが、駅ビルのデザインについては、第一案として提示されたイギリスのデパート「リバティハウス」を模した異人館風のデザインに賛否両論が出たため、改めて神戸市と協議を進めており、約半年後に確定するもよう。これら一連の改造計画で国鉄に入る収入は完成後十年間は年間一億八千万円、それ以降は同二億円を見込んでいる。』

読んでみると非常に面白い内容です。

①ビルを運営する「三宮ターミナルビル株式会社」の出資金の旧国鉄のシェアは50%のみで残りの半分は市、神商議、地元企業の13社が負担
⇒現在の出資比率も当時のままでしょうか。国鉄分はすべてJR西日本が引き継いだと考えて良いでしょう。ターミナルビルの建替えとなった場合、同社は解散されることになるのでしょうか。

②物販店舗約三千平方メートルは阪急百貨店がキーテナントとして入居。
⇒隣接した阪急三宮ビル内が手狭だったのか増床を試みたのでしょうね。当時の国鉄も競合他社だったとは言え、今日程、競争は激しくなかったのでしょうか。国鉄の駅ビルに阪急が進出予定だったという事実は非常に興味深いです。ただ福岡市のJR博多駅ビル「JR博多シティ」では実際にJRの駅ビル内に阪急百貨店が中核テナントとして出店する実例もあります。ただ関西ではやはり実現しないでしょうね。結局はこのプランは実現せず、プランタン三宮(現オーパ)が開業することになります。

③ビルのデザインについてはまだ決まっておらず神戸市と共に検討を続けているがモダンでかつクラシックな「神戸らしさ」を前面に出したもの。

駅ビルのデザインについては、第一案として提示されたイギリスのデパート「リバティハウス」を模した異人館風のデザインに賛否両論が出たため、改めて神戸市と協議を進めており、約半年後に確定。

⇒最終的に出た結論が今のターミナルビルということはモダンかつクラシックな神戸らしさや異人館風デザインは採用されなかったということになります。リバティハウスのような駅ビルだったら今回の建替え計画に対しては反対保存運動が起きていたかもしれません。

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実際に着工した三宮ターミナルビル。三点式パイルドライバ二機が稼働しています。掘削工事が開始されたばかりのようです。竹中工務店の旗が見えますね。手前にはポートライナー三宮駅の建設や連結されるデッキの構築、駅前広場の整備も合わせて同時進行で進められており、大々的に駅前の改造事業が進行中です。三宮東地区ではサンパルやサンシティ等の再開発も進められ、ポートアイランドも造成+中核施設を建設中でした。まさに血沸き肉躍る高揚感に溢れた状況だったことは想像に難くありません。

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前の写真から1年後辺りに撮影された空撮でしょうか。2基のタワークレーンで鉄骨建方が進められており、すでに上棟しているようです。ポートライナー三宮駅も外観は出来上がっているように見えます。そごうと駅前を結ぶ歩道橋も完成しています。さんぱるも鉄骨建方が進められています。この数年前に勤労会館や中央区役所も竣工したばかりです。この時期に駅周辺がどんどん変貌を遂げていった訳ですが、この当時に竣工した建物は皆一斉に老朽化が進み、現在ではどのビルも更新時期を迎えてくたびれた様相を呈してしまっています。

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残念ながら今の神戸に当時の熱気や勢いはありません。しかし予定されている新駅ビルは当時計画された現在のターミナルビルよりも遥かに規模の大きな超高層駅ビルになる可能性が高いです。一日も早く神戸新聞の紙面に新ターミナルビルの概要を伝える記事が掲載される日を待ち望んでいます。その記事は永久保存版として残していきたいですね。



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POSTED COMMENT

  1. tet より:

    いつもありがとうございます。
    1960~70~80年代、神戸は話題に事欠きませんでしたね。トピックスニュースで神戸の記事をよく見かけました。
    西日本で初の超高層神戸貿易センタービル、完成当時日本一の地下街「さんちかタウン」当時の通行量は1日20万人~40万人でセンター街、そごうと共に三宮トリオを形成、三宮エリアの大躍進により大丸との増築合戦の末にそごうは売上で大丸を抜きました。市街地改造でさんプラザの出現、日本初のコンテナ埠頭・摩耶埠頭、ユニバーシアード神戸大会、ポートピア81、山、海へ行く、完成当時世界一の人工島ポートアイランド (順不同)・・・・この記事を拝見してコメントをしたくなりました。

  2. sirokuma より:

    こんにちは。
    37年前も同じような事でディスカッションしていたのですね。”神戸らしさ”を当時はモダンかつクラッシックと捉えていたんでしょうか?三宮会議の提言を読むと、今でも異国情緒とかレトロモダンな街並みを想像する人が多いのかなと思うのですが?一度意識調査をしてほしいものです。
    私は、この”神戸らしさ”と言う定義の曖昧なものが神戸の都市開発の足枷になっているのではないかと思えてなりません。
    私が思う、”神戸らしさ”とは、まさにtet #MAABAltA さんに書い戴いたようなものです。
    言葉で表すなら”進取の気性”…勇気をもって新しい事に挑戦し続ける姿、これこそが神戸らしさだと思います。

  3. 匿名 より:

    神戸らしさとは、異人館、ハイカラ、ジャズ等が決まり文句となっていますが、それらは神戸の歴史の一側面であるとしても、永久不変のものなのでしょうか。今日、ポートタワー、海洋博物館は神戸を代表する景観と認められていますが、異人館とは何の関係もないデザインです。しかし、これらが今や神戸を代表する建築物であることに異議をとなえる人はいないでしょう。私は、神戸の地形、自然、気候、風土の条件下で美しく感じられるものこそが神戸らしさなのだと思います。異人館は、当時の建築技術の下でこそ美しいのであって、現代に異人館を模しても滑稽なだけです。どうしてわざわざ、狭いイメージ(殻)に神戸を押し込めようとしたがるのか常々不思議に思っています。街は生きたものです。過去の特定のイメージにこだわっていては街が死んでしまいます。

  4. masa より:

    戦後焼け跡からスタートして、成長期を得て成熟期になった現在、小売業においても、都市においても、生活圏ならいざしらず、都心中心部では、いかに特化して個性を出すかである。
    阪急梅田店のように10万平米の超大型店でも電気製品はなく、ファッション・食品に特化して、更にファッションなら日本一の海外高級ブランドの集積と、個性を出している。その結果として西日本全域という超広域から集客している。
    神戸は都市間競争でいえば、東京、大阪と違い超大型店とはいかず、大型専門店であり、より特化して勝ち抜くしかない。
    その点から神戸らしさの定義を明確にして、もっと追及していくべきなのだが、地震の影響で中核となるべき地元企業・商店が弱くなり、昭和50年前半より現在は停滞ないし後退してしまったのが今日の三宮・元町の現状では無かろうか。
    ※センター街の中核はベニヤやセリザワ、ワールドの神戸エレガンスファッションで全国一のおしゃれな街として、梅田と五分の勝負をしていた。

    全国企業を中核にするのなら、出店は東京・大阪・福岡の後となり、浮上はしない。地元企業が中核となり、阪急なりJRや大丸がディベロッパーで、行政が後押しするのであれば神戸らしい街ができ、復活する。
    単なる再開発ではもはや梅田に勝てない。
    それは神戸市中央区と大阪市北区の商業統計の小売売上の推移を見ればわかる。私としてはこれが神戸という徹底した神戸らしい街になってほしい。そういう観点からの阪急とJRの再開発を期待する。

  5. 夢想家 より:

    先日井戸知事が神戸市の「特定都市再生緊急整備地域指定」に向けて、市とともに国に働きかけるとの記事が出ておりました。
    これに指定されると、道路の上空利用が可能になることや、税制優遇もあり、民間開発をより促進する効果があるということです。
    当然三宮の再開発を念頭に置いた発言ですが、もしフラワーロードの上空を利用できるようになれば、JR、阪急、交通センターを結んで、何か夢のあるプランを実現させてほしいものです。
    新人市長一人ではなんとも心もとないので、ベテランの知事にも一肌脱いでもらって、後世に誇れる三宮開発を成し遂げてほしいですね。

  6. sirokuma より:

    10月6日付 西日本新聞には、”福岡市人口、神戸市抜き5位へ 国勢調査速報後に判明”と言う見出しが出ていました。毎年2000~3000人の減少傾向の神戸市に対し福岡市は10000人以上の勢いで増加しているそうです。

    都心三宮の整備・三宮構想を見ると、居留地や異人館・港神戸を軸とした観光都市化を目指しているようにしか見えないけど大丈夫?
    医療産業都市構想は順調に見えるけどこれもテコ入れしないと頭打ちだろう。
    震災後、臨海部の多くの工場がマンションや公園に生まれ変わり小奇麗な街になったが代わりに活力と人口も失ってしまった。
    今後大規模な産業誘致が出来るなら別だが、商業でも大阪に太刀打ちできないとなれば、少子高齢化社会に向けて定住者を集めるしかないだろう(笑)。中途半端はやめにして、地下鉄を阪急に譲渡し、神鉄等その他の交通インフラを整備し須磨区・西区・北区も大阪通勤圏として大阪圏の人口を大量に吸収し、神戸がホームタウンとなり、大阪はワークタウンにしてしまえば面白いんじゃないだろうか。湾岸には、超高層マンションを集中させヨットハーバーなどを整備し、ポーアイには中長期滞在型の内外富裕層向けの病院やホテルを建設する。
    スポーツ・文化芸術施設を整備し充実させる。賛否は別として、これくらいやれば神戸も独特の進化を遂げる事が出来るかもしれない。でも、肝心の神戸の行政が何につけ中途半端で物足りない…。

  7. 匿名 より:

     外資系企業の本社の立地場所に関する最近の調査によると、大半は首都圏にあるのですが、神戸は意外に健闘をしており、首都圏を除くと大阪に次ぐ立地数となっています。1990年の調査から大阪が数をほぼ半減させたのに比べ、神戸は5割増と大阪に迫る状況であるとのことです。
     外資系企業が神戸を選ぶ理由は、神戸が西日本の中央部にあって新神戸駅、神戸空港を有していて東京や国内主要都市へのアクセスに優れ関西国際空港にも近く本国との連絡に便利であること、東京に比べ進出・維持コストが格段に安いこと、外国人が生活するためのインフラ(教育施設など)が整っていること、山と海が近くにあって美しく住環境が非常に優れていること等が高く評価されているからのようです。
     外資系企業の眼から見ると、高度の機能性と快適性を兼ね備えているのが神戸なのです。外資系企業だけではなく国内企業に対しても、この点をもっとアピールすれば、神戸市の都市としての優位性が再評価されるようになるのではないかと思います。

  8. 通りすがりの者ですが、 より:

    温泉付きのマンションを探していて、たまたまこちらの記事を目にしました。
    我々京都から見ると神戸は山と海それに温泉のイメージがありますが、意外と温泉付き住宅はないのですね。検索では有馬に数件あるようですが、高齢者向けのようです。
    三ノ宮に温泉が出たそうで、今後しばらく注目していきたいと思っております。

  9. しん@こべるん より:

    通しすがりさん
    アパタワーズ神戸三宮、新長田のアスタイーストは温泉マンションです。

    JR三ノ宮駅駅前広場に湧いた温泉は駅ビル開発に利用されるのでマンションへの活用はないと思いますよ。

  10. 通りすがり より:

    再度こちらを開いてみて良かったです!
    温泉マンションの情報をありがとうございました。ワクワクしながら写真を見入ってしまいました。どちらも戸別に温泉が引かれているようで、お値段も豪華なものでしたが賃貸も出ていたので一度現地を見てこようと思っております。

  11. kenkenbooboo より:

    こんにちは。いつも楽しく拝見しています。

    神戸新聞のかつての三ノ宮駅の改築記事ですが、国鉄(当時)は当初は20階建ての駅ビルを想定していたと思います。

    だから12階建ての現在のターミナルビルに決定したこの記事にガッカリしたことを覚えています。

    ただこの頃の神戸新聞の都市計画の記事には夢があって、ポーアイには50~60階建てのインターナショナルトレードセンター二棟ができるとか、凄かったですね。

    それが今は寂しいものです。株式会社神戸市と呼ばれていた頃が懐かしいです。

  12. 匿名 より:

    JR三ノ宮駅は神戸の中心に相応しい巨大な駅ビルにしてほしい理想としては名古屋駅みたいな
    阪急神戸三宮駅は阪急梅田ビルみたいなビルにしてほしい
    センタープラザも老朽化してるから再開発してほしい

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