神戸市の都市景観審議会によって協議が行われているヴィーナステラスを眺望点とし、大阪湾の水際線を遮る建物に対して導入が検討されている新たな高さ規制条例について読者の皆さんより反対意見コメントを募集してきましたが、6月25日から7月14日までの18日間で有効コメントは150件に達しました!
貴重な時間を割いて、コメントを記載して頂いた方にはとても感謝しています。ありがとうございました。以下が150件のコメントに関する集計です。
男性:134名
女性:16名
10代:13名
20代:37名
30代:39名
40代:30名
50代:26名
60代:5名
老若男女や職業を問わず色々な方から意見を頂けた事は非常に貴重ですが、やはり10~30代の若い世代が特に規制を望まない傾向が表れています。「次代の為に神戸の景観を守る」という大義は成立しません。
http://www.city.kobe.lg.jp/information/committee/urban/scene/index_33.html
第88回 神戸市都市景観審議会
まずは頂いたコメント全てをまとめて市長への手紙、神戸市住宅都市局の計画部まちのデザイン課への提出を介して皆さんの声を市に伝える予定です。
http://www.city.kobe.lg.jp/information/committee/urban/scene/88kaigiroku.pdf
平成21年度 第3回 神戸市都市計画審議会会議録
前回の景観審議会の議事録がようやく公表されました。どのような議論が行われたのかと思いきや、意外にも市側の説明のみで特に何も議論は無かったようです。
今後の条例導入に向けてのスケジュール上には意見の公募の機会があります。この際にも頂いた意見を再提出したいと思います。
【平成 30 年度】
○都市景観審議会(2回)
眺望景観形成誘導基準案(修正案)について
【平成 31 年度】
○地元団体、関係権利者等への説明
○意見公募実施
○都市景観審議会
意見公募結果報告、眺望景観誘導基準の確定
○都市計画審議会
景観計画の変更について(意見聴取)
○決定・告示
○施行
また施行前には都市景観審議会のみでなく、都市計画審議会にも諮られるようです。こちらの議会のメンバーは景観審議会よりはまだバランスが取れている構成と思いますが、前回、2010年にしおさい公園を眺望点とする高さ規制の導入時に開催された都市計画審議会では何の異議も意見もなく承認されてしまっています。
http://www.city.kobe.lg.jp/information/committee/urban/plan/2010.02.inform.html
2009年度第3回神戸市都市計画審議会の審議結果
http://www.city.kobe.lg.jp/information/committee/urban/plan/22.2.8.pdf
平成21年度 第3回 神戸市都市計画審議会会議録(PDF形式:34KB)
議事録の9-12ページ
都市計画審議会のメンバーである市会議員の方々に協力が可能であれば要請をしてみたいと思います。
http://www.city.kobe.lg.jp/information/project/urban/scene/view/img/kuiki_a.pdf
ポーアイしおさい公園から市街地と背後の山並みを眺める「見晴らし型眺望景観」の形成
一点、気になるのはしおさい公園からの高さ規制について上記リンクのPDFファイル最下部に適用除外が示されている事です。
適用除外(眺望景観形成誘導基準 A)
(a)誘導基準の施行日(平成 22 年7月1日)に既に存在している建築物等
(b)都市計画に位置づけている、特定街区、高度利用地区、都市再生特別地区、高さの最高限度を定めて
いる地区計画・景観計画区域の建築物等
(c)神戸市が都市景観審議会の意見を受けて、良好な景観形成を図ることができると認める建築物等
(a)は当然の事なので良しとします。(c)ですが、神戸阪急ビル東館が景観審議会を相手に粘り強く協議を重ねて、建物の高さ60m以上の部分に対して課せられている東西幅40mの規制を55mまで拡大を認めさせた実績があります。
さて、問題は(b)です。特定街区、高度利用地区、都市再生特別地区はこの条例の適用から外されているのです。三宮の主要再開発エリアは現在、国の特定都市再生緊急整備地域 に指定されており、この条例が適用除外とする特定街区に相当すると思われます。バスターミナルビルの建設される雲井通地区、JR駅ビルや阪急駅ビルの建て替えられる三宮駅周辺地区には高さ規制は適用されない事を示唆する事になります。高さ190mのシティタワー神戸三宮を含む旭通4丁目再開発は高度利用地区として条例の適用除外を受けており、バスターミナルビルも高さ165mに留める必要がないと言えます。
ではヴィーナステラスを眺望点とする新たな高さ規制についてはどうでしょうか。読者の方がすでに市長への手紙にて今回の規制について問い合わせを行ったところ、市からの回答として「特定街区、高度利用地区、都市再生特別地区といった、土地の高度利用を図るための都市計画等が別途定められている場合は、建築物の高さと幅の基準については適用除外としており、計画的な土地の高度利用を妨げるような規制誘導施策ではありません」と記述されていたようです。
ではそれなら何故、しおさい公園やヴィーナステラスを眺望点とする都心の建物へ高さ規制を導入するのでしょうか。三宮からウォーターフロント地区は都市再生緊急整備地域にも指定されています。再開発が予定されている新港突堤地区もこの地域に入っています。これらの都心主要地区が適用除外なのであれば、このような条例の存在自体に意味はありません。余計な誤解を招くのみです。全く以て不可解としか言いようがありません。
今の神戸市を見ていると、司馬遼太郎の小説「翔ぶが如く」に描かれている旧薩摩藩の西郷軍のような気がします。鹿児島県の学生が蜂起して起きた西南戦争では、武闘派の「薩摩隼人」という圧倒的に戦闘力の高い軍隊を擁した薩摩軍が素早く進軍して東京に迫れば、同じく明治政府に反感を持つ他旧藩の軍人達も同調して進軍に参加し、東京に着くまでには大軍に膨れ上がって政府転覆を図れる可能性がありました。しかし薩摩軍幹部はおかしな武士のプライドに囚われて、目先の熊本城を落とす事だけに目がくらみ、反対する声も聴かずに、九州内に留まってしまいました。虚を突かれた政府もその間に体制を整えて、数に物を言わせる事で徐々に形勢を逆転させ、最後は薩摩軍を鹿児島に押し戻して戦争を終結させました。薩摩軍は変わる事を拒んだ武士のプライドによって蜂起しましたが、結局はそのプライドが邪魔して自滅の道を自ら歩みました。
神戸が同じような自滅の道を歩まぬように願いたいです。重ねてとはなりますが、今回、沢山の方々からコメントを頂戴し、皆さんからとても様々な意見を聞かせて頂く事ができました。反対意見の中でも更に色々な考え方がある事にも気づかされましたし、とても説得力があり、思わず頷いてしまうコメントも多数ありました。しかし根底にあるのはどれも神戸を愛し、神戸の発展を願う熱く強く清い想いだという事もよく分かりました。また今回のコメント募集によって、当ブログには女性の読者が多くいらっしゃるという事も個人的には新鮮で嬉しい発見となりました。本当にありがとうございました。
ヴィーナステラスからの水際線眺望確保を理由とする高さ規制への反対意見集計
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今回のヴィーナステラスからの眺望景観保護によるビル高さ規制が施行されることの最大の懸念事項は民間大手企業の進出を阻害し、また排除してしまうことです。
大型の都心型開発は行政と民間デベロッパーが共同・参画して行われなければ劇的な改革はありえず、大手のみならず開発に伴うおこぼれ事業で潤うはずの地元企業にも影響必至です。
特定都市再生緊急整備地域に指定されたにも拘らず、活用もせず企業側からの申請もない状況では、今後、国からこのような優遇政策は神戸市に必要なしと判断され規制を受け続ける神戸空港の二の舞になりかねません。
景観審議会によるしおさい高さ規制は。もともと高層マンション対策立法の風合いだったのに、いつの間にか全体の開発事案に規制が及ぶ審議になっているのも是正されるべきです。
久元市長は前々回立候補時も大型開発を打ち出しながら撤回した経緯があるので信用できません。この人は地方自治を打ち出していますが、経済観念に乏しく、どうも神戸を鎖国させてもシャングリラ地方都市にしたい夢想家のような気がします。神戸市民が市の甘言や夢想に躍らせられて、行政に頼り、何も自ら行動を起こさない羊に成り下がることになるのではないかと心配です。
我々はこべるんさんの勇気ある行動に共感と称賛と感謝の念を持って、この後も神戸市民に条例反対運動の草の根活動を続けないといけないと思います。
こべるんさん、今後ともよろしくお願いします。
現代社会では、行政が市民・事業者に出すサインは明確で分かり易い事が重要だと思います。特例や適用除外は行政の批判に対する逃げ道でしかありません。適用除外とは言いつつ、シティタワーもバスタの計画も東西の幅の適用は受けているようですし、条例に基づき指導をするという事でしょうし、こういうものは適用除外とは言えませんし、自由な計画の足枷となれば同じ事です。神戸市は、複層化している都市計画(地区計画・市民協定等)を白紙撤回し新たな都市計画を制定すべきだと思います。
但し、見直しについては、また時間を浪費しますので取敢えずは特例や適用除外エリアを明確に公表しそのエリア内については、その他の規制が適用されない事(高さや東西の幅)、容積の割り増し適用条件などのインセンティブの取り決めなどを設け公表するべきだと思います。
神戸市は行政としてのスタート位置を間違えていると思います。
今問われているのは、都心部再生にあたり、どのような規制をするか?ではなく、どうすれば大型の民間投資を呼び込み質の高い街並みを形成できるか?だと思います。規制強化ではなく規制緩和が必要なのです。
景観審議会のメンバーでさえこの高度利用地区や再開発地区での適用外を認識しているのかどうかも怪しいところですね。ますます誰の何の為の条例なのか分からなくなってきました。規制したいのかしたくないのか全く良くわかりません。
そんなに大それた事をしている訳ではありませんが、こういう皆さんの意見を吸い出せる機会を得る事が出来るのですから、出来る事はしたいと思ったまでです。特定都市は認定を受けたくても受けられるものではないのに、それを自ら放棄するようなおかしな事をするべきてはないと思います。
しんさん。
これ、14日以降のコメントも提出してくださいますよね?
時間の問題もありますが、まだまだ増えそうなので頑張ってください。
こういう景観の問題でいうと、国立市の判例では、市が4億円・市長個人が4500万円の賠償命令を受けましたが、(支払と)正義不正義はともかく、目的論ではなく手続論が重要な行政という正解で、私的財産を上乗せ規制する自主条例というものが役人個人や政治家にとってどれほどのリスクを伴うものかということを分かってやっているでしょうか・・・それ(自主条例)を避けるための景観法ではないのでしょうか?市に負債を生じさせかねないリスクを放置している議会にも問題があると思います。
本当に今回の件は腹が立ちます。
はい。ご心配なく。体裁を整えたりする作業が必要ですのでまだ大丈夫です。
今回の件で反対意見が集まった事はいいですがそれが反映してもらえるかとても心配です。こべるんさんの努力にはとても感謝してます。しかし、今後の神戸の将来を考えると今の市長だと不安感があります。
いっそのこと市長を解職させた方がいいんじゃないかなと思いますがどうでしょうか?
あまり過激過ぎると意見も聞いて貰えなくなります。また次の市長が再整備容認派かは分かりません。諸刃の剣になりかねません。
あまりにも無責任でメルヘンで呑気過ぎますね。本当に嘆かわしいです。