旧居留地

大丸松坂屋が大丸神戸店と旧居留地の開発に意欲

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神戸地区の地域一番店である大丸神戸店。直近の年商は824.5億円と前期比微増となり、インバウンド需要で好調な大丸心斎橋店に大丸の店舗におけるトップの座を譲り渡しました。心斎橋店は本館の建て替えによって北館のみを営業中ですが、旧そごう心斎橋本店を買い取って改装した北館は延床面積58,000平方メートルとそれだけで神戸店本館の規模を上回ります。

震災後の震災による店舗再建以降、神戸店は大丸のトップとして君臨してきた旗艦店でしたが、心斎橋店に北館が加わってからは物量で神戸店を圧倒しました。

インバウンド需要をさほど取り込めていない神戸において、百貨店の売上は大阪や京都程ふるいません。大阪では高島屋も大阪店が東京・日本橋を上回ってトップに立つなど西日本においてインバウンド効果がてきめんです。

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大丸神戸店は店舗再建以降、フロアの改装や同店の飛躍の原動力となった旧居留地内にある保有物件やオフィスビル低層部の活用を積極的に進めてきました。その実績はしっかりと積み上げられており、大丸や他百貨店の成功ビジネスモデルとして模範とされていますが、神戸店のこれ以上の成長にはもっと大規模な投資が必要です。

大丸松坂屋社長の好本氏は以前より神戸店は集中的に投資をする対象としていました。最近のコメントでは「震災以降、大型投資をしてこなかったが、旧居留地の開発を含め、積極的に打って出たい」という方針を示しました。

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旧居留地内での開発とは具体的にどういった案件が考えられるでしょうか。大丸は百貨店の建物以外に居留地内に複数の建物と土地を所有しているものと思われます。中でも最も大きいのが大丸カーポートビル。1階をテナント店舗、上階が駐車場になっています。大丸の公式パーキングとして週末はいつも車列ができる人気駐車場です。

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車での来店にはかなりの需要がある大丸ですが、この建物を建て替えて百貨店の売上に貢献させる大型投資が1つのパターンです。継続してパーキング機能は必須ですが、店舗面積を拡大すると共に、建物の高層化と複合ビル化による不動産収益を上げられる建物へと再開発します。上層階はオフィスやホテルとしての用途が考えられるでしょう。松坂屋上野店の再開発でも店舗の一部高層化でパルコへの転換とオフィスの開設を行なっています。

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私の期待と希望を書くとすると、以前から述べているようにGSパークとなっている大丸の南側斜向かいの用地をJフロントが土地の保有者である銀泉と共同で再開発に乗り出す事です。こちらの方が敷地面積が大きくビルの規模も拡大します。大丸の別館としてだけでなく、Jフロント傘下であるパルコの進出先受け皿としても検討が可能です。

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大丸が神戸店への大型投資を進めたい理由としてその背景にあるのはそごう神戸店の存在と三宮再開発です。大丸は震災後にそごうから地域1番店の座を奪いましたが、昨年、そごうを取得したエイチ・ツー・オーが阪急に建て替える様相が強まっています。またJRによるターミナルビルの建て替え、バスターミナルビルの整備、市役所建て替え、神戸阪急ビル建て替え等、三宮に大型開発が一極集中。大丸が立地する元町の相対的地位の低下と高級感を強みとする阪急への顧客シフトをかなり警戒しているものと思われます。

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大阪の百貨店戦争はJR駅ビルに三越伊勢丹が進出する事で一気に勃発しました。過大投資の消耗戦になると思われていましたが、結果的にはインバウンドの需要を享受する適正で魅力的な受け皿を各店が整備した事になりました。三越伊勢丹という黒船来襲・外圧によって大阪の再開発が大きく動きましたが、神戸でも阪急の三宮進出という言わば外圧に近い形での出店が元町・居留地への再開発を進める事に繋がる可能性が高まりつつあります。

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もう1つおまけとして個人的に大丸に期待したい事があります。それは大丸の北側にある三角地の再開発です。90年代に再開発の機運が高まり、構想が練られたものの地権者合意に至らず、断念された過去があります。Jフロントの力を借りて再度の再開発に挑戦して欲しいですね。船をモチーフとした複合商業ビルとし、1-2階を店舗、3-8階をオフィス、セットバックして9階をレストランとスカイガーデン、ホテルのレセプションホール、10-14階をホテルの構成です。元町交差点の新しいランドマークとする優良再開発として進んでくれたらと思います。

さて、大丸の三宮対抗策がどういう形で表れていくのか今後の動きに要注目です。



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