1月7日付けの読売新聞が「震災で6階部分つぶれた神戸市庁舎、建て替えへ」と題した記事を掲載しました。神戸市庁舎2号館は新開地にあった旧神戸市庁舎を三宮に移転した際の元祖神戸市庁舎本館で1957年築。実に築60年の老朽庁舎です。元々8階建ての建物は震災で6階部分が屈折倒壊し、当時はこの建物を建て替えるだけの予算を取れなかった神戸市は約26億円を投じて、耐震改修を行い、5階以上を撤去・減築した上で、再度5階部分を増築して復旧稼働させました。しかし最近は老朽化した配管やエレベーターの故障も頻発している模様です。
http://www.yomiuri.co.jp/national/20170107-OYT1T50059.html?from=tw
読売新聞記事
記事はあくまで市の複数幹部からの聞き取りによって2号館の建て替え方針が決定したことを確認したと述べる程度に留まっており、具体的な規模や用途、スケジュールについては一切触れられていません。
神戸市はすでに公式に今年度から市役所本庁舎の在り方について検討開始を発表。「本庁舎のあり方に関する懇話会」を立ち上げており、6月にこの第一回懇話会が開かれました。議事録は以下のリンクから参照できます。
http://www.city.kobe.lg.jp/information/committee/finances/arikata/index.html
すでに第二回目の懇話会が昨年末に開かれたようですが、まだこの内容については公開されていません。読売新聞が今回の記事を掲載したということは、かなり具体的な議論があり、方向性が決定づけられたという事でしょうか。
第一回の議事録を見る限りにおいては、単なる行政庁舎の建て替えではなく、街の活性化に繋げるために集客性を付与する事が議論の主旨となりましたが、その方向性について深い論議は行われていません。
現在、2号館に入っている主な部局は、市民参画推進局、建設局、住宅都市局や会計室です。建て替えにはこれらの部局の一時的な移転先が必要となります。また2号館の建て替え議論は同時に隣接し、同じく老朽化の進む3号館の建て替えも視野に入れる必要があります。
3号館は1966年竣工で築51年。こちらも老朽化が激しい状況です。規模は地上9階 地下1階。行財政局、環境局、住宅都市局、交通局、教育委員会が入居しています。
神戸市は中長距離バスターミナルの整備地区として雲井通5丁目の再開発を2020年度に着手予定としており、街区内に存在する中央区役所や勤労会館の移設先も考慮しなれけばなりませんが、最も可能性が高く適切なのは市庁舎2号館もしくは3号館跡地に新設される新たな行政庁舎です。そうなるとスケジュールとしては、少なくともどちらかの跡地に3年以内に新庁舎が完成していなければならないことになります。
敷地面積で考えると、3号館が2,247平方メートル。2号館は1号館と合わせて9,512平方メートル(この内、2号館本館の建築面積は2,674平方メートル)。3号館に建設できる建物の方が小規模になる可能性が高いです。昨年、市庁舎3号館のある敷地も都市再生緊急整備地区及び特定都市再生緊急整備地域に指定されました。
3号館のある東町の建ぺい率は80%、容積率は700%。現状では市庁舎1号館と同程度の建築面積1,800平方メートルで上限となり、この建築面積だと8-9階建てが限度規模です。これでは14,000平方メートル位までしか床を確保できません。ここで特定都市再生緊急整備地域によって適用される容積率の緩和がどこまで許容されるかによって規模が左右されます。
ミント神戸建設時では雲井通7丁目の容積率が800%から1600%に緩和されました。特定都市再生緊急整備地域に指定されているJR大阪駅前の大阪神ビル・新阪急ビルの建て替えには国内最大級となる2000%が認められました。
2号館の低層階は国際会館前交差点以南から東遊園地、更に南下してウォーターフロント周辺地区へ誘う結節点的な役割が求められる為、集客性の中途半端な施設ではその任を果たすには力不足となります。
読売新聞の記事ではやはりまずこの2号館の解体が決定したと報じているので、恐らく2号館跡地に建設される新築建物に中央区役所や勤労会館の機能が移設されるものと思われます。これ以外に2・3号館に入居する部局も集約されることでしょう(これにより2号館の建て替え後に3号館の再開発も可能となります)。
さて更に集客性を高める方策ですが、私個人的には最高層部に中央図書館を移設するのが良いと思っています。カフェスペースもあるゆったりとして眺望が良く、京都国際マンガミュージアムのように漫画のみを蔵書するフロアも設けて、若者から大人まで老若男女が楽しめる空中図書館とします。
いずれにしよ近日中に2号館建て替えについては市からの公式発表や複数メディアも報じるのではないかと思われます。続報が楽しみです。
読売新聞が市庁舎2号館の建て替え方針決定を報じる
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なんなんだろう、この年末からの神戸市の動きは?
あれだけ保守的に立ち回っていた都市再開発の(とくに三宮整備のハコものに関する)急展開に正直、うれしいより困惑しています。市の複数幹部からの聞き取りによるスクープ記事ということなら、この記事が市の公式発表でないのと同時に、市内部において何らかの意図があってリークしたようにも思えます。
秋口から市長のブログ内で市職員の批判記事が載り始め、ずっと市職員に対する市長の愚痴が続いていて、何か市長と職員の間で不協和音があることはわかっていましたがね。仏頂面の市長から、公には何も意見が出ていないのも?です。
もし、わたしも扇動した用途地域等の見直し方針等や神戸市コミュニティフォーラムなどの意見募集の結果がこの変化を生んだなら、ポピュリズムというものがなんと大きい成果を生むものかと感動します。(笑)
ただ、それならこういったパブリックコメント募集には、セレブ層や〇産党系支持者の方が意見をどんどん言うので、意外と一般市民の意見はサイレントマジョリティとなり、ごく一部市民の偏った意見が多数全体意見となってしまう恐ろしさも同時に感じます。
神戸市中心部(特に三宮周辺)には、札幌の大通り公園や、今後整備されるであろう大阪のうめきたのようなシンボリックな公園(緑地帯)が有りません。
ですので、2号館跡地も公園にして、花時計、東遊園地と一体化して市役所1号館を挟んで整備したら面白いと思います。
ただ、現実面で考えると、開発できる都心部の土地の少ない神戸としては、公園等はウォーターフロントに集中し、都心部は高度利用せざる得ないのは仕方ないですね。
2号館敷地は目立つ立地ですので、1号館とツインタワーにするのか、どうか分かりませんが、独創的かつ個性的なデザインにしてほしいですね。
いい話題ですね。こういう大型案件こそぜひオガール型のPPPでやって欲しいところです。土地公有・定期借地権準共有・建物官民区分所有、の上でさらに言えばビークルをTMKで流動化するスキームを神戸市が飲めれば日本の公的再開発のパイオニアになれる規模の案件だと思います。相当な時間がかかりますが、拙速に官有やBTOでやろうとすると中央区役所の規模しか建たないと思います。あとは敷地分割に際して既存の1号館を特区適用できるのか?(2号館側の敷地を大きめに設定できるのか?)など、調整内容は多そうですね。
いずれにしろ、神戸市が正式に発表しない事には
前には進みにくい気がします
地価の高い都心部の開発でそれこそレガシーとなるような建物を建てようと思えば、容積率と高さ規制の大幅緩和が必要となる事は自明のこと。ここ10年程推進してきたばかげた高さ規制の呪縛から一刻も早く抜け出て欲しいですね。
先のウォーターフロント開発の話題など、平成23年策定の「港都 神戸」グランドデザイン~都心・ウォーターフロントの将来構想~がやっと本格的に動き出したと言う感じですね。遅すぎる感もありますがようやく震災による重い財政負担から解放された処ですし、これからスピードアップして頑張って欲しいですね。