ホテル進出ラッシュの報道が吹き荒れた一昨年、神戸都心部のオフィスビル空室率も序々に下がり、三宮の地価も大幅に上昇し、タワマン建設ラッシュも佳境を迎えていました。しかし一転して昨年にはホテル計画の半数が頓挫、凍結、撤退を余儀なくされてしまい、跡地は無残な姿で放置されることとなりました。
ミッドポートプロジェクトと称された中突堤再開発予定地の跡地です。ショッピングモール、ホテル、結婚式場を備える複合商業施設になる予定でした。すでに着工し基礎工事までは完了している状態で、計画が凍結されました。事業者は資金繰り悪化により単独開発を断念し、共同参画者を探すとのことでしたが、その後、民事再生手続きと株式上場廃止を行い、計画の今後は全く道筋が見えません。
こちらは新港第一突堤の再開発用地です。不動産投資ファンドによって大型シティリゾートホテルが建設される予定でした。こちらは着工前に完全撤退となり、計画は全くの白紙へと戻されました。
他にも南京町付近で計画されたホテルも事業者の経営破たんによって頓挫しており、用地の利用にメドは立っていません。
これらの開発用地ですが、暫くの間は新たに計画が浮上することはないでしょう。計画の頓挫は残念ですが、ウォーターフロントにおける貴重な用地の有効的な活用方法を再考できるという面では良い機会を得たとも言えるでしょう。
ウォーターフロントの整備に関しては以前より様々な議論が行われ、構想が検討されています。ハーバーランドからポートターミナルに渡ったエリアは都心に隣接する魅力的な環境が整っていますが、既存の整備地域は一部に限られています。水上警察や地方合同庁舎のある波止場1丁目を建物移転によって、街中から海が見える環境を創造する構想が練られており、水上警察のポーアイ移転はメドが立ったようです。しかし建物移転以上に困難を極めるのは、阪神高速や浜手バイパス等の高架道路です。地下化も検討されていますが、費用と工期は膨大になることでしょう。
さて中突堤と第一突堤の用地ですが、これからウォーターフロントのグランドデザインを考慮した上で具体的な活用法を考える必要性があります。単に似通った商業施設を乱立させても三宮、ハーバーランドと競合し結局は自然淘汰されていくか共倒れになります。都心とウォーターフロントのアクセスを改善し、現在はハーバーランドが成し得ていない回遊性を地域全体に広げる仕掛け作りが必要なのです。
以前にも書きましたが、第一突堤は、メリケンパークオリエンタルホテルやホテルオークラが証明しているようにウォーターフロントに面した素晴らしいロケーションが神戸で最も人気を集めるホテルに成り得るという条件を兼ね揃えています。ここには計画されていたホテル以上の規模のシティリゾートホテルを誘致するべきです。神戸のウォーターフロントの一大ランドマークとなるようなデザインを持つホテルとし、ラスベガスにある豪華ホテル「ベラジオ」が備えているような巨大な噴水広場を併設、ショーを行うことで集客を行う観光名所にします。ウォーターフロントに集まるホテルはラスベガスのように何らかのアトラクションを併設し、ホテル巡りが観光となるようなエンターテイメントシティを構築するというのも面白いと思います。
神戸のウォーターフロントに娯楽施設を備えたホテルを建てると儲かるという環境を作れば、次々とホテルが進出し、それを求めて観光客が集まり、商業施設も潤い、人が集まれば新たなビジネスも生まれていく好循環が出来上がっていくことでしょう。恐らく様々な規制の緩和も必要となるかと思いますが、飛躍的な発展には改革が必要です。
強者共が夢の跡 -ホテル計画頓挫とウォーターフロントの将来像-
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私もハーバーランド・モザイク周辺を歩いていると、計画頓挫地を前に寂しさを感じます。特に第1突堤のダヴィンチアドバイザーズの大型ホテル計画はかなり期待していたので非常にショックです。最近になって神戸市も臨海部の再開発計画を煮詰めはじめましたので、今後に期待したいです。
再開発は第1突堤から第4突堤にかけてが予定されていますので、神戸市には4突堤が一体感を持った再開発計画を立ててほしいと思います。
高速道路の地下化、実現したら臨海部と都心の回遊はもっと盛んになるので個人的には賛成ですが、総工費は何千億とかさむでしょうから、実現するかはわかりませんね…。
enzeru001さん
ウォータフロントの再開発は水辺を今以上に観光資源として人・物を集めることのできる最大の起爆剤です。大きな視点での開発を期待したいところですね。
個人的には高架道路から望む神戸の街並みはお気に入りなのですが、景観を考えると地下化は一つの選択肢として有りかもしれませんね。