鹿児島県地盤の主要地方銀行である鹿児島銀行。鹿児島市中心部の天文館地区にある新本店ビルを2020年5月に完成させました。
新本店ビル本館は地上13階 地下1階 延床面積21,858平方メートルの規模で、高さは67.85m。地方銀行の本店としては異例の大きさを誇る建物です。
同行の総資産額は6兆1,653億円、店舗数は153箇所、従業員数は2,100名。
中心商業地区に立地する銀行本店ビルの建て替えにあたり、同行は新本店ビル内に、にぎわい生む機能を導入する事を決定しました。
これにより地上1-2階部分に商業施設「よかど鹿児島」をオープンさせました。
銀行本店営業部は3-4階に設け、5階より上層階は本部機能を入れています。
本店ビル内には12のテナント区画を設けています。
中央は吹き抜け空間とし、イベントスペースが整備されています。
とても銀行の本店ビル内とは思えない空間です。
本店ビル内のテナントは地場産業の活性化を念頭に置いて誘致されているようです。郷土の名産品や食品の物販店がメインとなっています。
イベントスペースには大型ビジョンが備わり、ステージが設けられています。
ただ大型連休中の昼時という時間帯にも関わらず、施設内全体で、あまり賑わいを感じる事はありませんでした。
鹿児島市内も再開発ラッシュによって次々と新たな大型再開発ビルが誕生する中、ヨカド鹿児島のテナント構成は、集客に力を入れようという意気込みを感じるものではありませんでした。民間施設でありながら、どこか公共施設のような雰囲気がありました。
本店ビルは本館と別館で構成されており、渡り廊下で両館は連絡しています。
本館に先行して竣工した鹿児島銀行本店別館。地上8階 延床面積8,862平方メートルの建物です。
別館の1-2階もヨカド鹿児島の一部となる商業ゾーンです。
別館は飲食ゾーンとして徹底されています。1-2階で合わせて14のテナント区画が設けられています。1階はレストラン街、2階はフードコートとなっています。
別館は観光客も多く本館よりもにぎわいが感じられました。
銀行本店ビルに商業機能を盛り込むというアイディアは非常に良いと思います。銀行ビルや支店は商業地区の一等地に立地する事が多いですが、銀行の休業する休日には無用の長物化してしまい、にぎわいの妨げになっています。ただヨカド鹿児島は、規模が大き過ぎた感があるのと、リーシングに難がある事が否めません。鹿児島の商業地区も開発ラッシュによるオーバーストア状態に陥りつつある気もします。
鹿児島銀行本店ビル前と向かいの老舗百貨店山形屋前とのアーケードを繋ぐ大屋根もリニューアルが完成しました。
天文館のアーケードエントランスとも直結し、シンボリックな商業空間を創出しています。
広島銀行本店ビルも建て替え後には1階にカフェや物販店舗を入れる商業ゾーンを設けて、銀行をより身近な存在にしようという試みを導入しており、銀行本店における賑わい創出と地域貢献がトレンドになりつつあります。神戸でも、旧居留地の三井住友銀行神戸本部ビルもビル前の広場や巨大な低層部の一部を活用して商業空間への転換を図るよう神戸市から申し入れるべきかと思います。
地域探訪: 鹿児島・鹿児島銀行本店ビルは商業施設を含めた複合施設
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