姫路

地域探訪: 姫路・山陽百貨店の南館増床リニューアルオープン 同店の将来の再開発についても考えてみる



姫路駅前のランドマークである山陽百貨店。地域一番店として、姫路駅前のターミナルデパートとして、開店から70年を迎えています。2022年2月期の売上高は165億円。

山陽電気鉄道と神姫バスの共同出資で設立された百貨店ですが、現在は山陽電鉄の100%子会社になっています。



共同出資した神姫バス本社にあった山陽姫路駅ビル1階の神姫バスターミナル跡を活用して同百貨店が南館とした増床を4月末に行いました。



神姫バスはこの建物にまだ本社を置いているものの、建物は山陽電鉄に売却済です。南館のオープンに伴い、外装も化粧直しが施されました、



本館と南館を隔てる通路も美装化されて明るくなりました。



天井、壁、床の全てが改修され、照明はLED化されました。



南館には中核テナントにBEAMSを誘致。ビームス姫路として、複数のレーベルを展開する店舗となっています。他にもラコステやABCマートグランドステージが進出。



開店70年を祝う形での増床オープンとなりました。



同時に本館のエントランス周りもリニューアルが行われました。



この建物は山陽電鉄営業路線の西端に安全最大のターミナル駅ビルです。最近では駅前にある事で駅ビルとする建物も増えていますが、駅舎機能を建物内に組み込んでいるれっきとした駅ビル構造を有しています。



神姫バスがこの建物を売却した理由が気になるところです。売却益を新たな投資に振り向けている事が推測できます。神姫バスは現在、非常に新規事業に積極的であり、特に神戸エリアでは神戸市のバス事業を請け負う形で事業を拡大しています。



また姫路駅前でも駅前再開発で姫路ターミナルスクエアやキュエル等の業務、商業ビルを新たに建設しました。



山陽百貨店と神姫バスは姫路-神戸間の交通インフラを保持しながら親密な関係を構築してきましたが、どちらかと言えば山陽電鉄は保守的な経営路線を歩んでいるように見えます。



山陽百貨店を取り巻く環境は姫路駅前の再開発で激変しました。ただでさえ神戸や大阪との競合が激化している中、駅前の再開発によって誕生したJR駅ビルや高架下施設のピオレ姫路が強力なライバルとして立ちはだかったからです。既に今年で開業から10年。その間に姫路フォーラスやヤマトヤシキ姫路店が淘汰されました。



CASTY21として進められてきた一連の大規模再開発プロジェクトは一通り完成を迎えました。山陽百貨店はその中で更なる存在感を高めていくには、将来的に建て替えという選択肢を採る必要性に迫られるでしょう。しかし再開発には数百億円にのぼる膨大な資金を要し、単なる百貨店から百貨店への建て替えだけでは資金の注入は難しく、複合ビル化が必須と言えます。最も手っ取り早いのは百貨店とタワーマンションの複合開発ですが、大手前通りには景観規制による高さ制限があるかと思うので、高層化は西館をメインに検討されるものと思われますが、ホテルモントレ姫路も当初は100mで計画されていたものを60mに抑えました。なかなか容易ではなさそうです。

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