神戸に先行して駅ビルや駅前広場の整備、駅前ビル群の再開発を実行している姫路。次々に新しい商業ビルが完成し、姫路城のリニューアルと重なって活性化に勢いが増しています。つい数日前にもキュエル姫路が開業し、姫路の玄関口に更に華やかさが加わりました。そんな明るい話題の続く姫路ですが、地域間競争に勝ち残ることができない商業施設も出始めています。
姫路随一のファッションビルであった姫路フォーラスは1月に閉店。ジャスコ時代を合わせた45年の歴史に幕を閉じました。売上はピーク時の半減となり、赤字ではなかったものの今以上の売上増は見込めず、耐震的にも問題な老朽化した建物では改修投資も膨大にのぼるため、撤退となりました。建物と土地は大阪の不動産会社「都市環境開発」に売却され、現在は既存建物の解体撤去工事が始まっています。跡地にはマンションが建設される可能性が高いようです。商業地の一等地でかなりの敷地面積があるので、低層部は店舗、高層部はマンションの複合開発ビルになるのではないかと思いますが、一部はホテルになる可能性もあるかもしれません。
競争激化による淘汰は市街地の新陳代謝を促進します。再開発によって古い建物は新しく生まれ変わり、その場所にその時代に必要な建物が立ちます。
老舗百貨店であるヤマトヤシキもこの競争の中で民事再生の道を選ばざるを得ませんでした。投資ファンドのマイルストーンターンアラウンドマネジメントの力を借りて7億円を投じた改装を実施。4月21日にリニューアルオープンしました。地下1階から地上2階までの3フロアを第一弾として改装。3階以上も順次改装を行っていくそうです。
写真はリニューアル前に撮影しました。大手前通りに面した1階(シャッターの閉まっている部分)にはオープンカフェ「ザ・ファーマーズドーター」が開業。今回の改装の目玉となるカフェです。姫路城と姫路駅の動線上に位置するヤマトヤシキ。駅前に集中する新商業施設に対抗してその立地上のハンデを一連の改装で跳ね返すことができるのか。どうせ改装するのなら大型物流倉庫と見まがう外観にも手を入れるべきではないでしょうか。改装効果によって巻き返しを図れないのであれば次に待つのはフォーラスと同様の閉店の二文字。
観光都市としての姫路は絶好調です。姫路城の年間入城者数は286万人と全国の城郭でダントツの1位。歴代の入城数記録も塗り替える勢いです。昨今の日本観光ブームも手伝って姫路城は近畿圏における最大のアトラクションの一つです。生粋オリジナルの木造天守である為、その貴重性に揺るぎはありません。
しかし姫路の弱点は逆に姫路城が強過ぎて他の観光要素が弱く、姫路を訪れた観光客の大半は姫路城を見て周辺を散策したら日帰りで宿泊拠点である他都市に戻ってしまいます。
2009-10年頃は液晶テレビ用パネルの新工場の稼働に伴ったビジネスホテルの進出が相次いでいましたが、近年は落ち着きを見せ始めています。そのような中、姫路駅前に誕生するホテルモントレは都市型ホテルとしてホテル日航と真っ向勝負することになります。姫路のホテル業界も戦国時代に突入しています。
大手前通りの角地にとてもデザイン性の高いビルが立っています。美樹ビルです。ビルの2-5階は三木美術館となっています。美樹工業株式会社の創業者である故三木茂克氏の50余年の長年にわたるコレクションを文化財として展示しているそうです。
美樹ビルと風格のある大手前通り。
再開発と駅前整備で一歩リードした姫路はこれまで神戸や大阪、あるいは岡山に流出していた買い物人口に一定の歯止めを掛けることに成功しましたが、今後、遅れに遅れていた神戸の再開発のスピードが加速していく可能性が出てきました。都市間競争が更に激化していく中、競争力のない商業施設には容赦なく淘汰の風が吹き荒れます。姫路ではすぐにその影響が現れました。神戸でもJR・阪急の両駅ビルや今後の再開発によって進出する商業ビルの登場により、既存の商業施設の中で競争についていけずに淘汰されてしまう施設も出てくることでしょう。姫路はこれから本格的に再開発が進む神戸で起きてくるであろう現象とその光と影の存在をいち早く示している状況です。
地域間・都市間競争激化の中で ~姫路で起きた淘汰~
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おはようございます やはり百貨店だった建物がマンション等に建て変わると寂しいですね 時代の流れですねー
威厳のある姫路城が鎮座していることもあって大手前通りは風格があるいいメインストリートですね。兵庫県の県庁所在地は本来なら姫路であるべきだと思ってしまいます。城下町として区画整理しやすい利点もあったのでしょう。表通りに高層マンションが目立たない風景は、本来目抜き通りはこうあるべきと思ってしまいます。これからはインバウンドをうまく取り込み、山陰、播州地方の基幹都市として発展してほしいです。
話はちょっとそれますが、こうして姫路駅前を見るとJR三宮駅前にはやっぱり駅前広場が欲しくなってきますし、JR元町駅にだけなぜか駅前広場がないことに気づきます。そのへん都市の風格として神戸はどうなのかなあと思ってしまいますね。
こんにちは。
混雑時に入場待ちをさせられると、もうあとは帰る事しか考えないですよね。様々な制約はあるのかもしれませんが夜間拝観なども実施すると違った顔が見えてくるんじゃないでしょうか?
姫路城しかなくても、集客力が強いので、朝・昼・晩のイベントを充実させ拝観時間を長くして1日のフリーパスを作り毎年行われている薪能などを規模を縮小させて、夕刻から城内で行うと面白いと思う。他にも姫路城に係る寸劇を作り上演したり、居合や弓の実演も行えば良いし、個人的には夜の姫路城の場内に並ぶ甲冑とか見たいと思う。
姫路城に登城するだけでなく、城を中心に堀端を廻り、姫路城を360°から観る散策コースを整備し、要所に茶店・休憩所を作り時間をかけて周遊できる仕掛け作りも必要。
博物館美術館でのイベント開催も質と規模を大きくするなど試みてはどうだろうか。滞留時間を長くするアイデアはたくさんあるんじゃないでしょうか?
黒霧さん
時代の流れは時に情では図り切れない事もありますね。
kenkenboobooさん
確かに風格としては姫路が県庁所在地である方がしっくりくるような気がしますね。神戸にもっと経済的余裕があれば県庁の姫路移転も考えられるのでしょうが・・・。神戸の都心駅に大きな駅前広場の無い事が風格を生み出す事に難しさを与えている要因の一つですね。
sirokumaさん
なるほど。姫路城の強みを更に強化して滞在時間を長くするというアイディアは素晴らしいと思います。姫路と神戸の兵庫二大都市でもっと外国人観光客を引っ張って来れるようにしなければなりませんね。
いいですね!県庁の姫路移転。 もちろん今よりも神戸が繁栄して、米国の首都ワシントンとニューヨークのように兵庫県内で両立できればカッコイイですね。