姫路の目抜き通りである大手前通りに面し、長年の間、山陽百貨店と雌雄を結する百貨店競争を演じてきたヤマトヤシキ姫路店は、キャスティ21の再開発によって誕生したJR駅ビルやテラッソ等の駅前の新しい商業施設との競争に晒され、施設の老朽化もあって苦境に立たされました。
中国・蘇寧電器傘下で免税店大手の「ラオックス」がヤマトヤシキを子会社化し、姫路店を含めた経営の立て直しを図ろうと奮起しましたが、努力実らず、2018年に閉店を余儀なくされました。跡地を巡ってはマンションやホテルへの建て替えも検討されてきましたが、具体化しない中、既存建物の解体が開始されています。
大手前通りのランドマーク的な存在だったヤマトヤシキ。既に半分以下の高さにまで縮小しています。
ヤマトヤシキの閉店は、この商業拠点周辺の商店街にも色濃い影響を与えています。
兵庫県下では「世界遺産・姫路城」というインバウンド効果を享受できる最大の武器を有している姫路ですが、コロナによってこれを活かす事が出来ません。ラオックスがヤマトヤシキの再建に乗り出したのは、姫路城を有する姫路のポテンシャルを評価したからこそかと思いますが、閉店した上に解体を進めているという事は、ポストコロナを睨んで準備体制を整えるといったところでしょうか。
このヤマトヤシキの立地は、ホテルが建設されれば、姫路城に最も近い宿泊施設にもなりますし、高層階北側の客室やラウンジからは城を望むキャッスルビューが確約されます。商店街にも面しており利便性も抜群です。
しかし敷地面積が大きいので、この敷地を単独施設で活用する場合、ホテル日航姫路やホテルモントレ姫路に匹敵する規模のシティホテル・商業施設となる必要があります。姫路に更にもう1施設を賄える受け皿・需要があるのかどうか。姫路でもコロナ前にはホテル建設ラッシュに沸き、客室数は大幅に増加しています。
同様に姫路の商業戦争で淘汰の道を辿った姫路フォーラス跡地は二分されて、ダイワロイネットホテル姫路と分譲マンションという形で再開発されました。最も現実的な再開発手法はやはりホテル・一部商業施設と分譲マンションという敷地の二分化による形でしょうか。
ホテル開発と合わせて、敢えてこれまで姫路には無かったタイプの観光客主体の低層建物の商業施設というのも面白いかもしれません。和モダンをベースにガラスと瓦屋根、緑を組み合わせ、飲食店や土産物ショップを集積させ、ホテルも「星野リゾート」を誘致できれば、訪日客だけでなく、国内客にも人気を得られる施設になります。
ヤマトヤシキが健在していた頃の大手前通りの様子です。
もう魚町通り付近から先に見えていたヤマトヤシキの姿はありません。
驚くべきは来年4月にもJR姫路駅ビル「ピオレ姫路」が開業から10年を迎える事です。駅前広場の再整備についても同様の年月が経過する事になります。
美しく賑わう大手前通り。ヤマトヤシキの再開発は立地柄及びオーバーストアの観点から大規模な商業開発は難しいでしょう。規模は追わずともキラリと光る開発が望ましいでしょう。規模と言えば、駅前の投資にはまだ余力があるかと思います。神姫バスが本社を売却した山陽百貨店の入る再開発ビルは建物の老朽化が進みます。姫路に唯一残る同百貨店が将来戦略を考えた場合、西館を含めて再々開発という選択肢を描くのかどうか。今後、三宮が巻き返しを図り、それに対抗する元町、ハーバーランドが力を付けると、神戸の求心力が再び強まる事で、姫路との綱引き合戦が激化する可能性も出てきます。
地域探訪: 姫路・ヤマトヤシキ姫路店の解体撤去工事が進む 再開発の目処は未だ立たず
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姫路市民です。コロナ禍の先を見据えたとしても、これ以上ホテルだけが増えても仕方がないと思います。街の賑わいの創出にホテルが有益だとは思えません。とはいえ私自身がホテルマンなのですが。
この土地には地元民が楽しめる施設ができることを望みますが、地元資本でそんなことができる企業は見当たりません。結局外から呼ぶしかないんでしょうか…
話題性のあるホテルや旅館であればその街に泊まってみようと思うとキッカケが出来ると思います。普通のビジネスホテルでは難しいですが。地元企業がタイアップして有名リゾートを誘致できればチャンスはあると思います。
この地にゆかりのあるものですが、本当にずさんです。解体しながら、所有者に説明もなく、計画も遅れているようですが、周りへの挨拶もないと聞いています。
いつ、解体され、いつ再開発の予定も、、全て放置。
ラオックスの対応が非常識なのかと感じています