中突堤周辺地区の再整備に関するサウンディング型市場調査の結果発表と開発代替案

少し前の話になりますが、神戸市が行った中突堤周辺地区の再整備に関するサウンディング型市場調査の結果を発表しました。複数の民間デベロッパーからヒアリングを行い、開発のハードルは高いという結論が導き出されました。事業者からは以下の声が挙げられました。

• 導入する施設自体に高い集客性がなければ、事業性は低い
• ハーバーランドとの競合および協調、周辺緑地との一体性を意識

隣接するハーバーランドとの回遊性があり、競合せずに集客性に優れ、相互活性作用が望める体験型施設、宿泊施設、商業施設、スポーツ関連施設等が活用策として考えられるようです。高い集客力というハードルを鑑み、どんなコンテンツなら集客が可能なのか。私も個人的に考え、国内客と訪日客の双方に受け入れられる施設のアイディアを今回の市場調査に参加した某デベロッパーさんに委ねました。最終的に中突堤でなくとも、神戸の都心やウォーターフロント地区でその施設が実現してくれたらと期待しています。



建物の整備方法については市が南館と北館を二期に分けて開発する方向性を示していましたが、事業者からは南館のみでは規模を追えずに事業性に乏しく、南館だけの開発でも現施設を活用する事は非現実的であるという結果になりました。

• 中央ビルの再整備は南館・北館一体的な開発が望ましい（南館単体の事業規模
  では事業性に乏しい）
• 南館単体で開発する場合は、事業性から建替えが望ましい

北館と一体開発が早期に出来ないのはこの建物が区分所有の建物だからです。恐らく所有者との交渉が難航しているものと思われます。

南館だけでは中途半端な事業者による中途半端な施設になりかねず、集客力を見込めずに残念な形になる事は避けたいところですが、北館との一体開発には時間を要し、再整備を進めるに進められないというジレンマが今回の調査で浮かび上がりました。

• タワー機能の一部（トイレ、チケット売り場）を中央ビルに移設し、商業床を
  拡大
• タワーの屋上施設は、低層階は一般開放やイベント利用、展望階では少人数限定の特別なイベント利用等に活用

観光案内施設、飲食施設、展望施設のイベント活用など

ポートタワーについてはひとまず施設としては独立しているので単独でのリニューアルを図る事は出来ますが、それ単体で劇的に中突堤の活性化を実現するのは難しいと言えます。

• ハーバーランド～中突～新港西を回遊する際、歩いて移動するには距離があ
  り、移動時の楽しみやわくわく感も少ない
• 眺望に優れている中突堤旅客ターミナルにつながる２階デッキは、視点場とし
  ても有効活用すべき
• 神戸のまちなみを楽しみながら移動できる施設として、都市型ロープウェイ

他にも周辺施設との連携や整備も必須とされます。都市型ロープウェイの提案はここでも挙げられています。横浜のウォーターフロントでは数年以内に実現する予定です。

今回の結果から、中突堤中央ビルについては無理に再開発を進めずに南館は解体して広場にするか、仮設施設を建築して飲食店等に留め、北館と一体整備ができるタイミングを待つのが良いのかもしれません。


その代わりに個人的な代替案として、かもめりあとその北側の交通広場を含めた敷地を再開発し、ハーバーランド・モザイクとポートタワー・メリケンパークを結ぶ連結中央施設としてこれらを空中回廊で結んで回遊性を生み出し、コンテンツは体験型、宿泊、飲食を中心とした複合施設を民間デベロッパーに建設して貰うべきかと思います。敷地の形状的に南北に細長く、眺望も目の前のポートタワーが邪魔して港の見えにくい中突堤中央ビルを無理に開発するよりも、敷地面積に余裕があって設計も自由にしやすい、かもめりあ周りの方が開発用地としては適しているのではないでしょうか。