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名谷

大丸須磨店が開業40周年 第1期リニューアルオープン 名谷駅周辺の再整備が今後本格化する



3月15日(日)に名谷駅前の大丸須磨店が開業40周年を記念する改装を実施し、その第1期となるリニューアルオープンを果たしました。新ストアコンセプト「須磨の暮らしの真ん中に。『地域共生百貨店』」を掲げ、今回の2020年3月の開業を第1期、そして来年3月を第2期としてリニューアルを図り、地域の中核商業施設として、生き残りを掛けた転換を図ります。



第1期改装として1階食品売場の強化、新ショップの導入し、2階の売場の再編による改修性向上、3階に新たなテナント導入等が大きな柱です。基本的な方向性は都心型の百貨店とは異なり、地域のニーズに寄り添う形に店舗構成を転換し、郊外型百貨店としての新しいモデルの確立を図りたいのが狙いです。



ユニクロを百貨店としていち早く導入した事もこの大丸須磨店の特徴であったと言えますが、1階にはスターバックスも誘致し、地域のニーズを捉えた戦略が基本路線です。



1階を食品売場としたのもこの百貨店の特徴でした。今回のリニューアルでこれを更に強化し、イートインを備えた新規テナントも導入。郊外型百貨店ではターミナル百貨店と異なり、生き残る為にショッピングモールや専門店ビルとの垣根を取り払う事が常識化しています。しかしそれだけでは激化する競争には打ち勝っていけません。小売業はネット通販との競合にも対応しなければならないからです。



改装された中央のエスカレーター周りの吹き抜け空間です。



3階はまだ改装が完了しておらず、今後、順次のリニューアルを実施していく予定で、テナントゾーンを拡大します。



来春の第2期改装では4階に神戸市立名谷図書館を開設。百貨店内に公設図書館を入れる例は全国でも珍しいと言われています。神戸市は各拠点駅前に図書館を開設する事を一つのにぎわい創出手法として水平展開を試みようとしています。大丸にとっても図書館を最上階に入れる事で、集客性に期待ができます。しかし裏を返せば、売場面積を縮小できる大義名分にもなるという事です。

同じ地下鉄西神・山手線沿線では西神中央駅前にそごう西神中央店があります。そごうも大丸も神戸市の外郭団体が保有する建物を賃貸する形で出店しています。郊外型百貨店の苦戦、閉店が全国で相次ぐ中、そごうも6月に西神中央からの撤退を決定しており、その後は大丸須磨店が神戸市内で唯一の郊外店になります。そんな苦しい状況の中、神戸市からの図書館開設のオファーは大丸にとっては渡の船だったのかもしれません。



しかしながら、今回、初めて本格的に名谷の駅前を取材として訪れましたが、その賑わいには思っていた以上にポジティブな印象を受けました。車を一切排除した駅前の緑豊かで広大な広場をデッキで連結した商業施設がグルリと取り囲んでいる構造はまさに三宮で神戸市が取り組もうとしている姿そのものです。



駅前広場内の木々には全てベンチが設置されており、気温の高めだった取材日には多くの人々がこのベンチで思い思いの時間を過ごし、賑わいが感じられました。



この広場は神戸市が数年前に改修工事を実施しており、その際に木々に照明設備を設置しました。



夜間も賑わいが生まれるように木々をライトアップする試みです。このライトアップはフラワーロードやメリケンパークのリニューアルに培われた手法ですが、これを郊外駅で初めて導入したのが名谷です。そして今後、更なる水平展開を図る為、市内の複数の駅前にて同様のリニューアルが実施される予定です。



名谷の駅前商業施設群は大丸須磨店と共に40年前に完成しています。どうしてもハード面には時代を感じてしまいますが、デザインや配置設計が良く考えられていたようで、朱色の屋根を特徴とした南欧調の雰囲気が40年という年月程の古いイメージを与えていません。



開業40周年を記念して専門店街の須磨PATIO内にある時計塔の吹き抜けもリニューアルを実施。



名谷駅前の商業施設にはナショナルチェーンのテナントが多く出店しています。後背人口が多い割には周辺に大型ショッピングモールが存在しないので、格好の出店場所になるのでしょう。



その為、ファミリー層や若者も多く見受けられる環境が整っており、他の郊外拠点以上に活気を感じさせました。



今後、神戸市はこの名谷駅周辺を西神中央、垂水と共に郊外の最重要拠点として位置付け、重点的な再整備を図っていく予定です。前述の大丸須磨店内の図書館開設もその一環ですが、今後6年で様々な施策が実行されます。



その一つが名谷駅ビルのリニューアル。名谷の街開きと歩みを共にしてきたこの駅ビルも40年の歴史を感じさせます。



建物内には駅ナカ店舗も入っており、賑わいと落ち着いた雰囲気の双方を保つ同駅ビルですが、やはり古さは否めず、リニューアルを必要としています。



駅ビルについては向こう3年で随時リニューアルを図っていく方針のようですが、イメージパースから想像すると、大規模な改修が行われる可能性が高いようです。駅ナカという立地優位性をしっかりと押さえたテナント誘致や区画再編が行われるでしょう。



名谷の駅前周辺にはLUCCA名谷やコジマxビックカメラ等、専門店ビルや商業施設の集積も見られます。また民間デベロッパーによるマンション開発も続いています。



駅周辺には多くの分譲マンションが立ち並んでいます。三宮まで直通で18分という立地性も手伝っているのでしょう。大阪の通勤圏としてもギリギリ成り立つエリアです。



駅ビルと周辺広場のリニューアルに加えて、須磨PATIOや買物広場等の駅前商業施設のリニューアル、立体駐車場の新設、そして分譲マンションの建設によっての更なる住宅新設も進められる予定です。これらの開発行為により、更に民間デベロッパーの能動的な住宅建設を促進・誘導する事によって駅周辺の人口増を図る事が狙いとしています。



新築分譲マンションのモデルルームが駅前に設営されています。須磨ニュータウンの老朽化に伴い、計画的開発団地内リノベーション事業第1号として神鋼不動産他が分譲マンション「ジークレフ神戸名谷(206戸)」を建設します。名谷においては7年ぶりの民間マンションの分譲になる予定です。



駅周辺には名谷・落合団地という広大な敷地を持つUR等の住宅団地群が一帯に広がります。これらは駅周辺の商業施設同様に建物の老朽化と住民の高齢化が進んでいます。若返りを図る為の団地再生にはその玄関口となる名谷駅周辺のリニューアルは必須条件と言えます。



名谷駅の1日の乗降客数は約54,000人。沿線では三宮に次ぐ2番目を誇りますが、90年代中盤には7万人を越えていたピーク時からは大きく減少しています。阪急と西神・山手線の相互直通運転が仕切り直しされた今、快速運転の復活は名谷を含めた沿線の拠点駅復権にも大きな期待が寄せられる事になります。今後も名谷の変貌の模様とその効果を定期的に追い続けていきたいと思います。

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  1. 摂津国人 より:

    かなり気合をいれて取材してくださったのがよくわかる記事で、とても印象に残りました。

    >  車を一切排除した駅前の緑豊かで広大な広場をデッキで連結した商業施設がグルリと取り囲んでいる構造はまさに三宮で神戸市が取り組もうとしている姿そのものです。
    そうなんです、この計算された設計・配置・広さは子育て世代にはかなり好まれるはずです。
    公園に行くような感覚で「ちょっとお散歩」が可能な街はありがたいはずですし、街としてもにぎわいができるので好まれるでしょう。
    実際、地下鉄西神・山手線に乗った際にも名谷では子育て世代の住民がたくさん乗降してるのを見かけました。

    >  デザインや配置設計が良く考えられていたようで、朱色の屋根を特徴とした南欧調の雰囲気が40年という年月程の古いイメージを与えていません。
    この点もまさに時代を先取りしていたといっても過言ではないでしょう。
    時計塔の吹き抜けの雰囲気もいいですしね。

    >  三宮まで直通で18分という立地性も手伝っているのでしょう。
    名谷が有する最大のアドバンテージはこれだと思います。
    新興住宅地なのに市街地まで18分というのはそうそうありません。
    本来ニュータウンとは、都市の郊外に住宅と勤務地(オフィス)をセットで構築して「市街地に通勤しなくてもニュータウン内で完結する街」を指しますが、神戸市はあくまで郊外の住宅地と位置付けています。
    このように住宅地としての存在のみを追い求めるのであれば、職住近接の現在ですので名谷の立地が限界点であると考えます。
    これ以上遠いと人気の住宅地となるのは難しいでしょうね。

    個人的な感触ですが、名谷駅の外れ(総合運動公園)に工業団地と布施畑JCTがあるのも名谷の人気に貢献しているように思います。
    布施畑JCTは阪神高速7号北神戸線と神戸淡路鳴門自動車道(山陽自動車道に接続)の結節点になりますので、工業団地の立地としては申し分ありません。
    名谷に住居を構えて、この工業団地に通勤なさる方も多いのではないでしょうか(ある意味職住近接です。「郊外型職住近接」とでも呼びましょうか)。
    同様に神戸淡路鳴門自動車道と山陽自動車道の結節点に当たる西区の見津が丘も工場などが増えて、それに伴って西区では例外的に人口が増加していると聞いた覚えがあります。

    名谷の西の外れには300床程度ですが神戸医療センターがありますので、名谷は子育て世代だけでなく高齢世帯にも好まれるのではないでしょうか。
    ただ、このあたりのバス路線はほぼすべて名谷駅を終点としているので、西落合はともかくとしても東落合、北落合、竜が台の辺りからバスで神戸医療センターに向かおうとすると必ず名谷駅でバスを乗り換える必要が生じます。
    バス路線を名谷駅で止めてしまわないで、例えば「名谷駅経由西落合行き」など名谷駅の反対側まで路線に含めてしまうなど、ちょっとした工夫(国土交通省への路線変更申請の手間はかかりますが)で居住環境は大幅に改善するのではないでしょうか。
    バスは神戸市営バス、神姫バス、山陽バスと複数の会社が入っているので思いのほか難しい可能性もありますが。

    あと少し先の話になりますが、自動運転車やMaaSが導入されてからが名谷の本領が発揮できるように思います。
    駅から自宅までの距離(いわゆるラストマイル)の解決は、自動運転車の開発の最初のステップでの目標です。

    地下鉄の快速復活も含めて今後の展開が気になりますね。
    続報を楽しみにしております。

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