中突堤中央ターミナル かもめりあの活用について

中突堤中央ターミナル 通称かもめりあは1998年竣工の鉄骨造の建物で地上2階建。日建設計が設計を担当し、ファサードはガラスと鉄骨フレームが手前に覆いかぶさるような構造が特徴的です。高浜岸壁と中突堤間が埋め立てられ、遊覧船・高速船のターミナル整備によって中突堤-ハーバーランド間の回遊が可能になる現在のウォーターフロントの姿が誕生しました。


かもめりあ前には浮桟橋が設けられて、現在は神戸ベイクルーズの保有するロイヤルプリンセス、ロイヤルプリンス、早駒運輸の保有するファンタジーがこのターミナルに就航しています。


この建物は非常に立派ですし、デザインも優れているのですが、神戸港遊覧船のみのターミナルという役割には正直、オーバースペックで、床を持て余しています。


空調の効いた快適な建物内部は夏も冬も神戸港を歩いてきた人々には一息つける休憩場所でもあります。

取材日も冬の少し朝早い時間帯でしたが、多くの高齢者が暖をとっていました。


2階へアクセスする回り階段もコンクリート打ちっ放しの内壁がオシャレです。


建物が優れているのにその利用法が無駄になっている現状にはテコ入れが必要です。近接する中突堤中央ビルの建て替えが検討されていますが、この建物の有効活用も同時に考えられるべきかと思います。


建物の運営は現在、民間事業者に託されており、神戸電鉄が指定管理者です。

2階はサロンスペース「サロン・ド・エルミタージュ」が開業していますが、ファンタジー号でのウェディングが行われる際の待合やその後のパーティスペースという限定的な形での活用が行われています。


かもめりあ全体の俯瞰です。中突堤中央ビルと同ターミナルの2階を結ぶ連絡デッキも整備済ですが、利用者は少なく何の為に両施設が連結されているのか分かりません。


ターミナルビルの北側にはこれまたオーバースペックな駐車場とバス・タクシープールがあります。


神戸市営バスが路線を運行しています。設備は完全に一端の交通ターミナルです。すごく不自然で違和感を覚えます。駐車場は昨年、リニューアル工事が実施されました。この工事も費用対効果を考えると目的がよく分かりません。駐車場の北側はシティループバスの車庫となっています。

この遊覧船ターミナルとしてはオーバースペックなこの建物をそのまま活用しつつ、北側の敷地を開発してウォーターフロントの新たな集客拠点施設を設けるべきかと思います。



神戸港の将来像を示すイメージ図でもこの北側の敷地に新たな建物が建設されている様子が描かれています。


以前にも少し触れましたが、かもめりあの建物と連結して建設される北側の建物は上部をホテルとし、かもめりあと新施設の低層部はフェリーターミナルの機能に加えて商業施設、ホテルのレセプション、みなとの眺望を活かしたガーデンテラス等とします。

隣接するノートルダム神戸の敷地には当初、ミッドポートプロジェクトとして、商業施設とホテルの複合ビルの建設が予定され、基礎工事まで進められたにも関わらず、リーマンショクによる景気後退で頓挫しました。その後、ノートルダムとして開発は継続されましたが、完成した巨大な建物は外構の噴水以外、施設の一般利用は叶わず、ウォーターフロントの一等地の活用方法としては疑問の残る形となりました。

かもめりあとその北側の敷地の活用には勿論、民間事業者による再開発が必須かと思いますが、この公募には必ず広く一般利用を目的とした施設を条件にして欲しいです。個人的にはホテルオークラ並みの高層ホテルが立ってくれると最高です。


かもめりあ、中突堤中央ビルと合わせて忘れてはならないのが神戸海洋博物館。この施設のリニューアルも検討の必要性が叫ばれて久しいですが、続報が聞こえていません。2006年にカワサキワールドが開業後以来、地味な人気を集めてきましたが、A級観光施設には成れていません。これらの施設を包括的にどうウォーターフロントの活性化に繋げていくのか。役割分担を明確にする必要があります。