神戸都心のジオラマ -こうべまちづくり会館-

皆さんはこうべまちづくり会館をご存知でしょうか。元町通4丁目は元町商店街に面した6階建てのビルで、平成5年に開業しました。貸会議室や多目的ホール、ギャラリー等が整備され、街作りに関連した利用が行われています。この1階ギャラリーに「デザイン都市・神戸」推進の取り組みの一環として市の都市計画総局が企画した縮尺1/1000の神戸都心の模型が展示されています。



神戸都心部の東西2.4km×南北4.8kmの範囲を模型化しています。が、大部分はウレタン素材で建物のサイズもそこまで正確に模倣されていません。西は鯉川筋、東はフラワーロード周辺、北はJR神戸線、南は国道2号線に囲まれたエリアのみ細部が再現されています。例外として各エリアのランドマークや高層建築は細部も作りこまれています。



参考とした空撮写真の撮影時期はいつなのかわかりませんが、ミュージアムタワーが制作されているにも関わらず、神戸芸術センターは無く、建物の再現性も精細を欠くものでした。予算の都合もあったのでしょうが、正直、期待はずれでした。



細部の再現された建物の材質は恐らく紙で、CGもしくは写真を印刷し、折り紙のように箱を折った物だと思われます。三宮の雑居ビル等、細かい所も頑張って制作した苦心の跡は見て取れます。遠目にはそれなりに良くできているように思えます。



ポートライナーの軌道、阪神高速や浜手バイパス等の高架道路はうまく再現されていると思います。



保存状態も良くなかったんだと思いますが、紙だけに湿度を含むことで建物が変形したり波打ったり、のり付けがあまいのか、建物の一部剥がれや傾きも各所に見られました。実際の制作には神戸大学大学院工学研究科が関わったようですが、やはりプロの仕事ではないだけに、そこまで期待することは酷だったのかもしれません。



市としてもこういった物を制作するのであればコストは掛かるかもしれませんが、業者に発注すべきだったと思います。都心部全域を細部まで余すところなく再現し尽くし、新規で建物ができる度に模型も定期的に更新し、常に現状の神戸を空中から見ることができる観光資源として市役所ロビーや海洋博物館等の市内の施設で常時展示し、全国での観光フェアに出張展示も行う等、広告塔の働きも与えて活用すべきです。



私が今回の神戸都心の模型を期待外れと思ってしまったのも過去に同様でありながら正確無比な都市模型の展示を見ていたことが原因です。こうした都市模型の走りとなったのは六本木ヒルズの落成記念で開かれた「世界都市展」の巨大模型です。森ビルの制作した東京都心の巨大模型には正直、驚愕させられました。予算も桁違いだとは思いますが、その大きさ、精細性、クオリティの高さ等、どれを取っても完璧で、写真の撮り方次第では本物と見間違う程の素晴らしい都市模型でした。中途半端な模型は作らず、やるならここまでやって欲しいと思います。

世界都市展を見ていなければここまで辛口の批評はしなかったと思いますので(現に観覧されていた他の方々は「良くできてるな?」と言ってました)、もし元町界隈に出向かれた際は、こうべまちづくり会館に立ち寄られてみてはどうでしょうか。



おまけですが、帰り際に近所でオープン準備が進められている「元町映画館」の様子を見てきました。映画ファンの方々が私財を投じて単館系映画を上映する映画館を開業させようと奮闘されているのです。近年、神戸では次々とミニシアターが閉館しました。東横インになってしまったアサヒシネマ、プロメナのシネカノンが消え、朝日ビルのシネ・リーブル神戸のみが残るだけです。元町映画館はそんな状況を打開しようという方々の意志の結晶です。今夏開業予定ですので、一度は足を運びたいと思っています。開業記念の初上映にはどの映画が選ばれるのか興味津々です。