大丸新長田店が撤退したJR新長田駅前の複合ビル「JOYPLAZA」。その後継テナントとして東急不動産が手掛ける商業施設「東急プラザ新長田」が9月20日に開業しました。
開業に伴い、商業フロアである建物低層部は改装により一新。大丸の後継には複数社が名乗りを上げていたそうで、新長田駅前の持つポテンシャルの高さは認められていたようです。
装いを新たにしたエントランス付近の様子です。格子状の壁面に施設名や核テナントの看板が取り付けられいます。東急プラザとしながらも、JOY PLAZAの名前は残されています。これは3-4階の公共施設や24-25階のレストラン街の施設名が据え置きとなっているからです。
フロア構成は地下1階から地上2階までが東急プラザ。地下1階には西友が進出。1-2階にはABCマート、SERIA、ニトリデコホームや喜久屋書店が入る他、物販、飲食等も含めて53店舗をバランス良くテナントの業種を振り分けて配しています。
東急不としては商圏は半径2キロを想定。地元の中核商業施設として広域は狙わずに周辺地域を取り込みたい考えです。
東急プラザの開業と並行して施設全体の改装も進められています。施設全体としての正式名称は「新長田駅前ビル
」。1977年に竣工した高層複合ビルです。神戸市内でも古参の高層建築で高さは82m。5-23階は神戸すまいまちづくり公社の運営する賃貸住宅となっています。
今回の改装で年季の入った外観がようやく一新されます。
建物南側に位置する住宅エントランスも分譲マンションのように改装されました。
東急プラザが開業した新長田の街。道路や街区整備はほぼ完了し、目抜き通りは電柱の地中化も行われてすっきりとした街並みが続きます。
駅北側も区画整理と道路復員の拡大が図られ、南北が統一された街並みへ変貌しつつあります。
当初、市が43棟もの再開発ビルの建設を計画していましたが、再開発の行方に黄色信号が灯った時点で単独開発は断念。今後は特定建築者制度の導入によって、入札やコンペ方式で選んだ企業に敷地を売却。未開発街区は次々と民間業者による分譲マンションが建てられました。特に駅前の東側の開発が盛んです。
駅前地区では現在も建設中の民間分譲マンションがあります。
また一部では街区と道路の整備も進行中です。
二葉地区では再開発エリア初の本格的な医療施設の建設も進められています。新長田駅南第1地区二葉5第2工区として特定建築者募集により、医療法人社団十善会 野瀬病院に落札されました。
同院はここに地上8階建の病院を建設します。来春の完成予定です。
こうして次々と未開発街区が民間業者によって開発が進められていますが、神戸市は今後、更に来年秋以降に残る6つの特定街区進出の事業者募集を計画しています。
中でも最も注目すべき街区の一つがこの腕塚5第3工区。敷地面積が2,380㎡。高度利用地区として容積率が500%。市の当初の計画では隣接する久保5工区とされていた現在のスカイマークタワー・アスタくにづかタワーズコート3番街とデザインを統一した超高層マンションが建設される予定でした。
同じくスカイマークタワーの南側である双葉5第2工区北は敷地面積3,820㎡あり、募集敷地では最大となります。こちらも当初は超高層マンションが計画されていました。
民間事業者がここにタワーマンションを計画することはあるのでしょうか。
これらの規模の大きい開発用地どう活用されるのか要注目です。
2号線の北側に位置する大橋7第2工区は市が当初、分譲マンションを核とした再開発ビルを建設予定でしたが、現在はここの市営住宅の建設を計画しています。隣接するマンションは先行開発によって建てられた同様の再開発ビルですが、市のこの計画変更が周辺住民との間で問題となっています。
市主導で行われてきた全国でも最大級の再開発プロジェクト。震災復興の象徴的存在の大規模再開発事業ですが、18年を経過して、その方向性は迷走しています。巨大で複数の再開発ビル急増により、キャパシティ以上の商業床が供給されており、これが埋まらずに空室率が非常に高い状態が続いています。
民間開発にシフトしたことで空街区は減少しています。利便性や昨今のソフトパワー充実による街のイメージアップも奏功して、マンション開発は好調に推移し、新たな需要を生み出しつつあります。
その原動力に大きく貢献しているのが鉄人28号。
この日はアニメキャラのデカールを貼った車が並べられたイベントが開かれていました。アニメの街・長田を広めるイベントでしょうか。「神戸・長田をサブカルの街に」を合言葉に様々なイベントが開かれているようです。最近ではコスプレのイベント等、こうした取り組みが本格化しています。
どちらかと言えば新長田はエリア居住者の高齢化が目立っていましたが、分譲マンションの建設ラッシュによりファミリー層も急増しています。閉店した大丸とは異なり、東急プラザのテナント構成はこうした高齢層と若い世代の双方を取り込もうとしているようです。同施設の開業は生まれ変わろうとしている新長田に新風を吹き込むきっかけになればと思います。
東急プラザ新長田開業 -新長田特集-
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新長田周辺、きれいになりましたね。
ここを本気で興隆させたいのなら、先ず快速(出来れば新快速)停車駅とする。地下鉄両路線との乗り継ぎがスムースになるし、山陽電鉄へも徒歩圏。西神方面と・湾岸方面への乗り換え地点として乗降客は今でも多い。
市長選の候補者も言ってましたが、市役所機能の移転などは月並みだけど効果はありそう。ここは市役所だけじゃなく県庁へもアクセスが便利なので、ついでに財務局・県民局・土木局も移転すると、これだけでも乗降客は増えそう。銀行も三井住友にはもどって欲しいですね。
毎回の事では有りますが、街の外観の現状だけではなく、丁寧な取材に基づくわかりやすい解説など、本当に頭が下がります。
特に新長田周辺の再開発の進捗はあまり表沙汰にならない事もあり、現状を知るには非常にありがたい情報でもあります。
新長田の再開発は、それ単体での成否はもとより、地下鉄海岸線、JR和田岬線の帰趨など神戸市の再開発事業の縮図かつ集大成といっても過言では有りません。
ここでの最大の問題は、言うまでもありませんが空き店舗問題です。幸いにして空き地はまだまだあり、民間に委譲した部分は好調に推移しているとの事なので、今以上に民間活力を導入しつつ思い切った改革を矢継ぎ早に導入し、出来るだけ早期に決着をつける事が重要です。
そう言う意味でも、上に書かれているような市役所機能の一部移転は非常に効果がありそうです。特にフラワーロードに面した市役所2号館など、市の超一等地にありながら震災により低層5階の築60年を経過した被災建築物となっています。
この部分の床面積を新長田へ移設しながらこの超一等地を民間へ開放するなど、神戸の再活性化策はアイデア次第でいくらでも手を打てそうです。
大切なのは実行に移すスピードと行動力です。今の役所行政にそれが期待出来るかどうか、市長選はその辺りも市民に見られそうですね。
つい先日、神戸ポップカルチャーフェスティバルが新長田界隈で開催されました。鉄人モニュメントを皮切りに、三国志や旧二葉小学校で行われているコスプレイベントのコスメル、本町筋で行われているアニぱ、新長田が活動拠点のアイドルグループコウベリーズなど新長田はサブカルチャーで町おこしを図っているようですが、新長田に住む地元民の立場からみてどうも中途半端な感じがします。サブカルチャー路線の町おこしは他にはない目の付け所かと思いますが、いっその事「新長田を秋葉原にしてしまえ」という位の本気度が必要かと思います。
27日のNHKEテレで新長田再開発特集が24時45分より放送されるように新長田の再開発が相当注目されている。市長選で新長田を焦点にしている候補者もいる。
もともとゴム工場と低家賃に住む従業員、特色のある多くの商店街からなっていた街であったが、ゴム工場は半分くらい移転を強いられ、従業員が住む低家賃の借家はなくなり、商店街は再開発の失敗で廃業か不振。街は高層建築が建ち並び、きれいになったが誰のための再開発だったのか。元の住民のための復興でなく、新規の街づくりだったのか。
やったという行政の姿勢でなく、民間出身の市長候補の公約にある成果を上げたかどうかに行政が転換しないと、こういう結果、街としては成功、一部の元住民には地獄となる。
今度の神戸市長選 行政について考える大事な選挙といえる。
新長田には自宅から近いこともあって東急がオープンして3日目には行ってみました。イベントの開催もあってか、大丸時代よりも活気があって良い印象を持ちました。ポプカルを見る中においては、いずれ小倉のマンガミュージアムのような施設がここにも出来ればいいのにと考えていました。
ところで一候補者の公約でこの地に役所機能を持ってくるとありますが、そうしたところで町が活性化されるのかについて非常に疑問が有ります。ポプカルのような民間の働きで活性化を目指す方が、よっぽど効果があるように思うのですがどうなんでしょう。いずれにせよ、これからの神戸の行方を左右する選挙がある今年に、晴れて有権者になれたことを光栄に思います。
sirokumaさん
やはり快速停車は必須条件ですね。JRはなかなか呑みそうにない条件ですが。兵庫には停まるのに新長田には停まらない。快速停車駅になれば飛躍的に新長田のエリアポテンシャルは伸びることでしょうね。
カンさん
一等地に5階建の低層。ウチの母でさえこんなところに勿体ないと言わしめた市役所二号館。新長田に関係なくこれをどうにか活用しない手はありません。市が再開発を促し、企業誘致をしたいのなら、自らこうした部分に手を付けていくべきだと思いますね。
長田人さん
新長田の秋葉原化。面白いですね。イベントではその都度しか人が集まりません。空き店舗対策にそうした秋葉系テナントの誘致とアニメ街化を更に推し進めるべきかもしれません。
masaさん
新長田での大きな失敗は行政開発の限界を示しています。行政は後押しとトータルコーディネートに徹し、実際の開発は民間が担うという形がやはり理想なのかもしれません。これもうまくコーディネートできないとハーバーの失敗を繰り返すことになるので、舵取りは簡単ではありませんが、やはり失敗と成功の双方からよく学ぶことが肝要です。
須磨っ子さん
役所機能の移転では確実に域内の就業人口が増加するので、周囲の飲食店等には効果があるかと思います。が、やはり抜本的な解決策とはならないでしょう。