神戸新聞は今から約44年前の1978年9月21日付で当時の国鉄三ノ宮駅の改造計画について報じ、三ノ宮駅ビルとなる三宮ターミナルビルについてその概要を明らかにしました。報道時のビルの概要は地上11階 地下2階 延床面積1.7万平方メートルの規模で、地下1~2階が物販店、地上1階が駅の中央コンコースと一部物販店、2階は物販店と事務所、3階はレストラン、4階がホテルのフロントロビー、5階が機械室、6階~11階までが250室のビジネスホテルとし、3階のレストランには一般テナントを誘致、物販店舗約3,000平方メートルには阪急百貨店がキーテナントとして入居するとしていました。しかし最終的には地下階から地上3階までが商業施設、4階がホテルロビー・クリニック、5階が機械室、6階~10階がホテル(190室)、11階をレストランとした構成に変更され、商業施設のキーテナントにはプランタン(後にオーパに転換)が誘致されました。また駅ビル開発と共に駅前広場も再整備し、地上部分に40台、地下に40台収容の駐車場を建設し、駅ビルの正面にタクシー乗り場を新設する事になりました。
翻って44年後の2022年3月20日付で、同紙は解体された三宮ターミナルビルに代わる新JR三ノ宮駅ビルの概要について報じました。
時代は大きく変わり、紙媒体だった新聞は、紙面とネット配信の双方でニュースを報じ、手描きだった予想図は、カラーのCGパースに、そして何よりも駅ビルの規模については床面積で約5倍、高さも約4倍、総事業費は約10倍に拡大する事になりました。
駅前広場も地下駐車場を含めて解体され、三ノ宮ターミナルビル跡地と広場の西側半分が新駅ビルの建設地となり、その分減った広場の機能は残りの広場に人工地盤を設けて立体的に補完します。
44年前は11階建ての駅ビルを「高層ビル」と報じていました。44年後は32階建ての駅ビルを「県内最大級」と書いています。
気になるのは、三宮ターミナルビルを運営していた「三宮ターミナルビル株式会社」の存在です。会社の出資比率は国鉄が50%、残りは神戸市、神戸商工会議所、地元企業など十三社が負担していました。同社は解散されたのでしょうか。新駅ビルの運営会社は再度、JR西日本が最大株主となり、一部を市やUR都市機構他企業が出資する別会社が経営を担う事になるのでしょうか。
三宮ターミナルビルの商業フロアのキーテナントにかつて阪急百貨店の入居が検討されたように、新駅ビルに再び阪急が出店するという可能性はあるでしょうか。
新旧JR三ノ宮駅ビル開発比較
1978年発表計画 | 2022年発表計画 |
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地上11階 地下2階 | 地上32階 地下2階 |
高さ45m? | 高さ160m |
延床面積1.7万㎡ | 延床面積10万㎡ |
商業施設 ホテル | 商業施設 オフィス ホテル |
事業費46億円 | 事業費500億円 |
1981年開業 | 2029年開業予定 |
いつも記事を大変興味深く読ませていただいております。
ありがとうございます。
六甲山と調和のとれたミント神戸のグリーンの外観が、新駅ビルの影に隠れてしまうのはとても残念に思います。
いつもありがとうございます。ミントは新駅ビルとツインタワーに挟まれて、埋もれてしまう存在になりますね。
夜、ミント神戸の7,8Fのレストラン街から、阪急神戸ビルの仄かにライトアップされた夜景を見るのが好きでしたが、かなり視界が遮られそうで残念です。
個人的には高層部はフラワーロード側に寄せたほうが、三宮交差点のゲートタワーぽくなり、より都会的になってたのになと思います。
将来、神戸阪急もそうなっていたら最高でした。
ミントからの視界は完全にJRタワーの壁になりますね。階下の広場の様子はまだ見れますが。フラワーロード側にタワーを立ち上がらせなかったのは神戸市の景観審議会かもしれません。
三宮ターミナルビル株式会社の法人番号を検索したところ(登記上は)残っていますね。
現状は休眠会社ですが、閉館後も清算されずに存続していることを見ると建て替え後再活用されそうな気がします。