姫路

ヤマトヤシキが会社の清算検討 姫路店は解体

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姫路と加古川に店舗を持つ創業112年の老舗地場百貨店ヤマトヤシキが会社の清算を検討しているようです。姫路店が業績不振に陥り、加古川店では支えきれなくなりました。一時はラオックスが出資して、会社の建て直しを図ろうとしていました。老朽化する姫路店の順次改装を行っていた矢先の話だったので、地域での驚きは大きいようです。会社は清算された上で、新会社が従業員を再雇用し、加古川店のみを同屋号名で存続。姫路店は解体し、建て替えによって商業、ホテル、住宅等を選択肢とした新たな活用策を検討するようです。

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姫路店の業績悪化の直接的な原因は2013年に開業した新しい駅ビルであるピオレ姫路です。この駅ビルの集客力は高く、姫路都心部の商業地図を塗り替えました。また駅前再開発によって、テラッソ姫路の開業、地下街グランフェスタの改装等、駅前地区に集中した商業集積によってオーバーストアの傾向が表れてきました。

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それまでに姫路でも郊外モールの出店による競争激化から、中心部商業施設の売上は減少に転じており、地方や都市郊外百貨店の苦しい状況は姫路でも表面化していました。そもそも立地性においても駅前から離れたヤマトヤシキは不利な状況にあり、その上に建物の老朽化が進んで、ハード、ソフト両面で最新の商業施設に対抗する術はありませんでした。同様の環境にあったフォーラス姫路店はイオンの手を持ってしても再起は不可と考えられ、ヤマトヤシキよりも先に閉店しました。

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唯一、地場百貨店の山陽百貨店のみが生き残りを賭けて奮闘しています。

しかし姫路はこれから再開発が本格化する神戸・三宮との競合激化にも晒される事になります。

姫路で起きている競争力を保てない商業施設の淘汰は神戸の都心でも起こり得るでしょうか。三宮駅周辺地区への商業集積が三宮センター街や元町エリア、そしてハーバーランドへどういう影響をもたらすのか。姫路ではヤマトヤシキやフォーラス等、駅から離れた商業施設は老朽化によってピオレの進出前から競争力を落としていましたが、神戸の場合、三宮から離れた大丸神戸店はそごう神戸店の売上を2倍近く引き離して地域1番店の座を守り抜いています。センター街も神戸随一の通行量と集客力を誇ります。またハーバーランドはウミエを中心として都心と一線を画す路線で差別化に成功しています。またこれらの商業施設やエリアは三宮駅前地区への一極集中に対して、対抗措置を図る可能性が高いです。しかし元町より西側は商業地区としては集客に苦戦する展開が考えられます。

姫路は県都でない中核市の中では群を抜いて洗練されて風格のある駅前空間を造り上げました。しかしその光の裏には時代から取り残されてしまい、競争について行くことのできない影も存在し得るのだという事を考えさせられます。神戸でも大なり小なり似たよう出来事が起こる事は不可避なのかもしれません。しかし手をこまねいていれば、神戸全体が沈んでしまいます。兵庫県の転出超過は全国ワースト3位、神戸市からも若者の首都圏への転出に歯止めが掛かりません。都心力=都市力と考え、神戸、姫路共に都心の進化を進めていかなければなりません。



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POSTED COMMENT

  1. ウエストン より:

    樫野県議は「三宮再開発で商業床を増やし過ぎると新長田の二の舞になる」という意見のようです。私はある程度の淘汰がなければ街の新陳代謝もないと思っていますが、光と影の影の面のみに注目する人が多いように感じてしまいます。

    できれば次回ハーバーランドエリアを取り上げられる時に、アンパンマンミュージアム別館の話題もお願いします。

  2. ハコモノ行政 より:

    ファンドが支援再生(2015)

    ラオックスが出資(2017)

    ラオックスが出資した時点で、百貨店としては閉鎖解体が確定してましたよね。
    跡地は路面側1、2階程度が商業施設で、後ろや上はホテルかマンションでしょう。
    一応は一等地と言えるので、中国資本が結局幾らで手に入れたか気になりますね。

    ただ一つ、路面側の高さ(屋号看板部)は今よりも低くして欲しいかなぁ。

  3. ダン より:

    JR姫路駅前は本当にすばらしい都心になりましたね。
    記事に書かれたように新しい施設が増えれば、いつまでも旧来のままでは企業の誘致も集客もやはり限界があることを思い知らされます。
    神戸市も同様に三宮駅前の大開発が始まりますが、市がやる事業については、やはり今までのしがらみがやはり強いようです。

    それは今回建て替えになる神戸市役所3号館ですが、特定都市再生緊急整備地区に指定されたのになぜ10階建て規模なのかということです。
    市職員によると3号館は旧居留地に面しているがため、旧居留地景観条例と照らし合わせ10階程度に建築規制を行政指導しているからとのことです。(条例にはそんなビル規制はないはずですが)
    住宅都市局がいつの間にか企業にビルは10階程度の建築指導を個別にしている手前、当の市役所がせっかくの特権を使わないとのことです。
    このままでは今後、旧居留地、あるいは大型開発計画のない三宮周辺では10階程度、50mほどのビルしか建てられないようになります。
    ぜひ、みなさんによる住宅都市局への問い合わせや抗議をお願いいたします。

  4. 匿名 より:

    建築法規内の行政指導ならいいですが、局員が勝手な判断で民間開発を抑制する行政指導なら条例違反である可能性が高いです。

  5. sirokuma より:

    旧居留地の高さ規制は、接道要件により最高が90mと120m別れますが、3号館の場所はは90m以下だと思います。
    10階建ては残念ですが、オフィスの場合、高さよりもフロアー面積を重視することも考えられますね。再開発手法は解りませんがどの道を選ぼうが容積は大幅緩和(少なくとも1000%位に)するべきでしょうね。

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