特集・シリーズ

2大賃貸タワーマンションを分けた明暗

art_center002.jpg

JR新神戸駅前に聳え立つ地上37階建て 高さ130mの超高層ビル「神戸芸術センター」。2009年に完成した複合ビルで低層部に商業施設や芸術・音楽ホール、高層部に高級賃貸マンションが入ります。ガラスの開口部を大きく取り入れたスタイリッシュな外観はオフィスビルのようです。開業当初は塔屋や壁面をライトアップし、夜も煌々と輝きを放ち、その存在感を発揮していました。

しかしながら個人的には超高層の高級賃貸マンションにどれだけの需要があるのか懐疑的に見ていました。それまで神戸市内には六甲アイランドにRICセントラルタワーがありました。元祖超高層賃貸レジデンスですが、P&Gの外国人幹部やその家族の居住用として重宝されてきましたが、同社の開発機能がシンガポールに移転、最終的には本社機能そのものが三宮に移転した事で、急速に需要が激減しました。

現在の神戸芸術センターは夜になると、高層部居住階の明かりはまばらで、ライトアップも休止されてしまった為、全体的に暗い感じです。地下階で営業していたスーパー「ピーコック」も撤退してしまいました。

museum_t02.jpg

一方で好調稼働を維持しているのが、「三宮ミュージアムタワー」。地上40階建て 高さ142.3m 総戸数125戸の超高層高級賃貸マンションです。2008年に竣工しました。外国人エグゼキュティブのハートをがっしり掴んでいるようで、夜間も煌々と明かりを灯しています。立地が良い事もありますが、こちらは自走式の立体駐車場を低層階に備えています。

museum17.jpg

強いて言えば、シンプルな外観なのでヘリポートの塔屋の縁に電飾を付けて、夜間照明による夜景への貢献を図って欲しいところです。

art_center001.jpg

デザインについては遥かにこちらの方が手が込んでいます。さてこのタワーの活性化策について少し考えてみたいと思います。そもそも高級賃貸マンションの需要というのがどこまであるのか不明瞭です。ここは思い切って、マンションからの脱却と建物内部改修による用途変更で対応するというのはどうでしょうか。

最も有効と思われるのはホテルへのコンバージョンです。新神戸という立地を活かして、外資系ホテルの誘致ができればエリアの活性化にも貢献できます。神戸の都心でもビジネスホテルの建設ラッシュが起きていますが、今後、シングルルームよりもツインをはじめ、よりゆったりとした部屋を備えるホテルの需要が伸びると言われています。上層階の一部はオークウッド等のサービスアパートメントを誘致しても良いかもしれません。新神戸駅と少し距離があるので、市への協力を要請して、直結デッキの整備を図ることも有りかと思います。

art_center03.jpg

新神戸にはスタイリッシュな高層建築が集積しています。神戸芸術センターが大型ホテルとして有効に活用され、ライトアップが再開される日を勝手ながら心待ちにしたいと思っています。



関連記事
特集・シリーズ

神戸はポートランド・シアトルを目指す!?米国西海岸北部の2都市は世界を魅了するオンリーワンのコンパクトシティ

2022年11月17日
こべるん ~変化していく神戸~
10月下旬から約10日間の日程で、久元市長や神戸市会議長等が海外出張を行い、米国西海岸北部のポートランド市、シアトル市を訪問しました …
特集・シリーズ

今後の神戸のオフィスマーケットの展開 大中のプロジェクトが目白押し 今後の新規開発にも期待高まる

2022年12月1日
こべるん ~変化していく神戸~
この10年の神戸都心の不動産マーケットを振り返ってみると、タワーマンションの建設ラッシュがひと段落付いた頃から、訪日客急増に伴うビジ …

POSTED COMMENT

  1. sirokuma より:

    芸術センターは綜合警備の村井一族関連の事業だと思います。芸術文化振興という側面もあり、入居率・収益率云々よりも芸術性の高さやそれこそレガシーとしての建築物を作る事が目的なんじゃないでしょうか?わたしもホテルへの転用が良いように思いますがあまりこだわっていないようにも思えます。詳細はわかりませんが今現在も短期賃貸借利用顧客も結構いるのではないでしょうか?ウィークリー。マンスリーもこなす上質のマンション経営をすれば良いのではなかろうかと思います。間違いだったら申し訳ないがこの土地は熊内のバス操車場あとじゃなかったかなぁ?ここの公売でもいろんな怪情報が飛び交っていたような…。
    こことミュージアムタワーの違いは先ず、交通の便でしょうね。最近の外国人は山手より街中のレジを志向していますね。広さも昔ほど求めていないようだし。
    ミュージアムタワーは賃貸としての割り切り方が潔いと思います。最近の分譲マンションを知っている人がこのマンションの部屋とか設備を見ると安普請に見えちゃうでしょうし、風切り音が中廊下まで響いていたりとかありえないだろうし、建具や床壁の材質だとか…とにかくシンプル必要最低限という感じです。でも外観とかエントランス回り基本設備・自走式駐車場や部屋のサイズや間取り・建具の大きさは外国仕様というか大きくゆったりしています。子のマンションには、必要最低限の設備がしっかりと付いていれば良いじゃないかと言う潔さがあります。合理的ですね。最近の分譲マンションは、カンファンタブルな仕様というか設備に拘り過ぎているような気もします。あったら良いなは必ずしも無くても不便ではないという事です。なんというかその部分に住む人の個性が表れてくるそんな気もします。無印みたいなものかな?選択肢として分譲にもこんなマンション増えると面白いと思います。型に嵌っていないのが良いそんなマンションです。

  2. ジョー より:

    神戸芸術センターはレジデンス部の含め神戸市の開発ではなかったですか?

sirokuma へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です