ハーバーランド

umie(ウミエ)開業3周年 集客・売上好調を維持

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本日4月18日で神戸ハーバーランドのumie(ウミエ)が開業3周年を迎えました。阪急百貨店神戸店が2012年3月を以て撤退・閉店後、1年を掛けてイオンモールと日本生命、三菱倉庫がハーバーランドセンタービルの商業棟とモザイクを一体的に再開発。回遊性を高めた改修を施し、ファストファッションの集積をメインとした集客力の高いテナント構成とファミリー向けへのターゲット層の絞り込み、大容量で長時間無料の駐車場提供等、各種工夫が講じられての船出となって早3年が経過しました。

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ゴールデンウィークまで3周年セールを開催中です。取材時の土曜日も多くの人々で安定した賑わいを見せていました。

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神戸新聞が伝えたところによると、umie(ウミエ)へのこの3年間の来場者の推移は以下の通り。

初年度: 1,793万人
14年度: 1,822万人
15年度: 1,934万人
3年間の合計: 5,549万人

また年度毎の売上高は毎年目標の360億円をクリアしており、集客、売上共に好調をキープ。開業時のみで後が続かないといったこれまでの施設にありがちだった傾向を不安視する声もありましたが、そんな懸念は払拭されています。

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イオンモールはumie(ウミエ)の開業によって神戸ハーバーランドの再生を見事に成功させました。これでダメだったのならもう打つ手は無かったでしょうし、万が一、失敗していたら六甲アイランドのファッションプラザのようになっていたでしょう。オフィス階のみが運営を続け、低層部の商業施設は閉鎖されて閑散とし、海側で唯一、モザイクのみが営業しているような状態になっていたかもしれません。しかしこの成功は決して偶然やまぐれによって導かれたのではなく、緻密に計算された成功への戦略が功を奏したことは言うまでもありません。

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ファミリー層をメインのターゲットとして明確に舵を切り、競合する三宮・元町との差別化を図った事が一番の成功の要因です。この軸がしっかりと定まったことで、テナント構成や駐車場の長時間無料サービス、新たなシネコンやフードコートの整備等、思い切りの良い試みが図られたと共にそれら全て同じ方向を向いて相互に補完し合う環境ができました。元々、スペースに余裕のあったハーバーランドではベビーカーや車での来場を許容する環境が整っており、まさに郊外型ショッピングモールに相応しい条件がすでに備わっていました。それを無理矢理、百貨店を中心とする都心型施設にしていた事がそもそもの間違いだったのです。

神戸阪急も一時はファミリー路線に切り替えを試みましたが、対応が中途半端だった事で失敗に終わりました。私自身、子供が生まれてからは家族での買い物はumie(ウミエ)が中心になりました。子育て世代には非常に強い味方です。必要な物は必要な条件下でほとんど揃っています。

都心地区であったが故に、現代型ショッピングモール空白地域であったこともumie(ウミエ)への追い風となりました。阪神地区には次々にショッピングモールが開業して成功していましたが、神戸の中心部周辺にできる新たな商業施設はどれも中途半端な規模ばかりでした。umie(ウミエ)はそんな環境下で新たな需要を掘り起こしたと言えます。いいえ、寧ろそもそもあった潜在需要をうまく吸収したと言った方が正解かもしれません。

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しかしながら100%地域密着型のモールではない事もumie(ウミエ)の強みです。神戸アンパンマンこどもミュージアム&モールは近畿・中四国地区で唯一無二の存在。この施設を誘致した事はumie(ウミエ)にとって大きな武器となりました。広域圏からの集客に抜群な力を発揮しています。この施設を目指すのは勿論、ファミリー層。ミュージアムを楽しんだ後もumie(ウミエ)は最高の時間と環境を提供します。

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イオンモールはフットサルフィールドだった場所を大型観光バスの駐車場に用途変更しました。これにより海外からの団体旅行客を受け入れる体制を整え、あまりインバウンド効果を享受できていない神戸においては観光客の割合も多く、集客や売上にも貢献しているようです。

umie(ウミエ)周辺には近年、次々とタワーマンションが林立するように建設されています。周辺人口も急増しており、近接地区からの来街者も増えている事でしょう。好環境が更に新たなマンション建設の需要を喚起し、JR神戸駅周辺は都心立地における恵まれた居住ゾーンとして注目を浴びています。

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しかし何といってもウミエ(umie)の魅力はやはり眼前に海を眺められる事とその開放感。これだけの施設がウォーターフロントに充実している場所は西日本にはありません。これはファミリー層だけでなく老若男女をも惹きつける元来、ハーバーランドが持っていた武器ですが、新たに創出された魅力とうまく融合して集客の力となっています。

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この景観を越える眺望を持つ都市は国内においてはそうは存在しません。街、空、山、海が絶妙なバランスで組み合わされています。この魅力は何年経とうとも消える事はないでしょう。

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しかしこの3年間の光の中に全く影が無かった訳ではありません。光があれば必ず影の部分ができるのも事実です。South MallやMosaicを中心にちらほらと退店が見られました。この抜群の集客力をうまく売上に転換できなかった一部の店舗はかなり早い段階から撤退しました。

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最近では大型店の集積するNorth Mallでも退店が見られた程です(後継テナントはすぐに見つかったようなのでひと安心しましたが)。デフレが浸透した後、プチ贅沢がもてはやされ、景気回復傾向と反動が交差する昨今、うまく消費者ニーズを捉えきれないとビジネスはうまく行かないという難しさを改めて感じます。絶好調の企業もいつ坂を転げ落ちるのか分からない時代です。

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umie(ウミエ)もひとまずこの3年間は大成功を収めました。そしてちょっとやそっとでは揺るがない安定感を得る事にも成功しました。umie(ウミエ)開業後も関西、西日本エリアでは新たな大型商業施設が相次いでオープンしましたが、それらの影響は全く受けていないようです。しかし来年、延期に延期を重ねてきた中央卸市場跡地に計画されているイオンモール神戸南が開業する予定です。umie(ウミエ)から2kmも離れていない場所に同じくイオンモールの運営する最新型ショッピングモールができると、地域密着型モールの側面は両施設が奪い合う格好になります。少なからずとも重複するテナントは出てくるでしょうし、umie(ウミエ)がこの3年で作り上げた絶妙なバランスが崩れてしまう可能性があります。しかしうまく運用すれば相乗効果を見出すこともできるでしょう。しっかりと二つのモールの境界線を明確にし、補完し合える状態となれば、2モール間の回遊といった新たな効果も出てくるかもしれません。umie(ウミエ)には現状に甘んじず、魅力に更なる磨きをかけて欲しいと思います。



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POSTED COMMENT

  1. 匿名 より:

    イオンモールが本当に近くに建設されるのは少し不安でもあり、神戸になかったテナントなどが入るならば嬉しくもあります。
    モザイクから見る神戸の景色はあそこでしか見ることのできない特別な地形が生み出した産物ですよね。
    あそこに行くと、神戸に来たんだと実感できます。
    しかし近年、関電やその他のライトアップがなくなってしまい夜のモザイクから見る神戸の夜景がさみしくなりましたね。
    週末だけでも何とかなればいいんですが

  2. 黒霧 より:

    こんにちは ハーバーランドの活気 嬉しいです

  3. MSA より:

    umieは想像以上に効果を挙げましたね。嬉しい限りです。
    さて、5周年に向けては何かマイナーチェンジが必要な期間に入ると思います。
    そこで気になるのがイズミヤの存在です。
    umie開業時にイズミヤエリアだけ未改修だったため古さも際立ち浮いてますね。
    (1)イズミヤがリニューアル改装
    (2)イズミヤ撤退→新テナント
    近々いずれかがありそうな気がします。

    また、ハーバーランド全体を考えると問題は多いですね。
    (1)センタービルがハーバーランド表玄関 の体を成していない
    (2)カルメニのやる気がない
    (3)パークハウスタワーができ、低層に商 業を入れなかったたせいで、アンパン マン周辺と煉瓦倉庫エリアが分断。
    煉瓦倉庫は相変わらずのさびれよう

    以上のような問題点がumie好調により際立ってしまい、地域の価値を下げています。周囲がもっと頑張らなくてはumieに限界が来たとき、ハーバーランドはいよいよ終わりそうです

  4. sirokuma より:

    umieの盛業は喜ばしいですね。域内で大規模マンションが相次いで竣工し定住者が増えたのも強みですね。今後もしばらくこのエリアではマンション供給が続きますので、これらを定住者を取り込めば更に安定していくでしょうね。ハーバーにも業務スーパーなど定住者向けの施設も進出を始めています。非日常の中に日常生活施設をうまく溶け込ませてほしいと思います。

  5. ハーバーファン より:

    イズミヤは本当に見直しが必要だと思います。
    食料品フロアはわりと混み合っていますし、今のまま反対側のフードエリアと合わせてデパ地下のようになるといいと思いますが、一階の衣料品は週末すらただの通路と化していて、一番アクセスしやすいフロアがもったいない!
    集客力のあるテナントを入れてumieの印象アップにつなげてほしいです。

  6. カン より:

    来客数伸びていたんですね。
    中々アナウンスされないのと、西宮ガーデンズなどと違って広域新聞各社も取り上げないので中々好調さが伝わらないですね。
    確かに行けば人は居るんですが。
    好調なところがうるさいだけに、黙ってると逆に不安になります。

    ところでumieですが、ここらでもう一段のステップアップを図ってほしいところです。百貨店は過剰としても、どうしてもガーデンズなどと比べると入店テナントの格差が目に付きます。小さい子供がいるウチでも、気分的にはumieに行きたくとも、どうしてもあの店であの買い物がしたいとなるとガーデンズに足が向かざるをえません。もしくは歩車分離がショッピングモール並に徹底している大阪駅になります。飲食も同様です。

    神戸特有の事情というよりは、三宮元町には大阪に負けない一級店が揃っていることから、古参テナントのイズミヤやインテリアハーツが足を引っ張る改装主体のumie特有の事情のようにも思えます。

    そう言った意味で言えば、逆に新規建築の中央市場跡イオンにその辺りの機能を担ってもらう期待も多少あります。テナントの被りを避ける意味でも、真新しいショッピングモールに相応しいテナントを揃える意味でも、明石/神戸西部の需要を取り込む意味でも、中央市場跡イオンには阪急阪神に負けない有力テナントを誘致してほしいと思います。

    いずれumie自身が大規模建て替え、再開発に入る時期も来るでしょうから、その時にしっかりとumieの代わりを務められる時位を、中央市場跡イオンには今から固めておいてほしいと思います。

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