阪神高速湾岸線西伸

国土交通省が阪神高速5号湾岸線の西伸部事業化決定

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関西の政済界が長年に渡って切望していた阪神高速5号湾岸線の西伸部(六甲アイランド-駒栄間の14.5km)の事業化を国土交通省が正式に事業化を決定したと発表しました。関西の物流における最大のミッシングリンクがようやく解決に向かって前進することになります。最終的には駒栄から更に延伸されて名谷JCTに繋がり、関西空港から垂水JCTまでが一本の道路で結ばれる構想ですが、渋滞の激しい阪神高速3号神戸線や国道43号線、更には中国道の迂回ルートとしても期待されるだけにこれらの混雑解消が大いに期待できます。またこの道路は神戸港を横断するコースが計画されています。摩耶埠頭沖となる六甲アイランド-ポートアイランド間、和田防波堤と平行するポートアイランド-和田岬間の二区間は完全に沖合海上を通ることになり、巨大な吊り橋や高架道路の建設・誕生によって神戸港の景観も大きく変貌する予定です。

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現在、六甲アイランド北ランプで途切れてしまっている湾岸線。六甲アイランド北部を東西に真っすぐ横断した後、そのままほぼ直線上にポートアイランドの北部へ伸びていきます。この海上移動には2本の吊り橋が架橋される予定です。海上から吊り橋の橋桁までの高さは65.7mと設定されました。これは昨今、巨大クルーズ客船が多くの港に寄港するようになりましたが、これらの航行に支障を来さないように配慮された結果です。東京や横浜等の大都市の港にはレインボーブリッジやベイブリッジ等の吊り橋が掛かっていますが、設計規格がこれらの巨大化する客船に対応しておらず、世界最大級のクルーズ船はメインの客船ターミナルには寄港できないという状況に陥っています。皮肉にも西伸部の着工実現が遅れた事が奏功して、神戸港ではこの問題を回避することができます。ここに白亜の2本の吊り橋が掛かっている事を想像するだけでもワクワクしますね。夜にはライトアップされて神戸の夜景は更にグレードアップすることでしょう。

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ポートアイランドに到達した湾岸線はそのまま西伸し(写真左の緑の見える大通り)、ポートライナーの北埠頭駅付近から鉄道高架と交差した後、カーブを描いて南下します。

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湾岸線の建設予定地となっているこの場所は南北数キロに渡って長年、駐車場等、暫定利用されきました。

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そしてこの辺りから再度、方向を西に変えて再び海上に出ます。東西1キロに渡って伸びる神戸第1防波堤、通称「和田防」の東端とクロスした後、平行して和田岬へ向かって直進。写真右奥に見える消波ブロックに沿って西へ向かいます。ここにも大きな吊り橋が建設される予定です。こちらの橋桁までの高さは59.4mと設定。こちらの橋は神戸のウォーターフロント各所からもよく遠望できる位置となる為、神戸港の新たなシンボルになることが期待されます。

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橋を吊る主塔は200m近い高さにになるものと思われます。神戸ベイブリッジなんて名称が付けられるかもしれませんね。こちらも夜景の美しい橋になる予感がします。またこの高架道路自体も眺望の非常に良い場所を常に通ることになるので観光名所やドライブコースとしても非常にダイナミックで人気を博しそうです。

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和田防から見た神戸都心部。海上から60mの高さであれば更に見晴らしは良いことでしょう。昼も夜も美しい景色が広がります。

阪神高速神戸線は東行き、西行きは共に生田・摩耶付近を中心に朝晩長い渋滞が起きます。週末は湊川や月見山、曳いては須磨料金所まで繋がってしまう事も。平行して走る2号線・43号線もこれを避けようとする車で混雑し、大気汚染や騒音も問題となっています。片側3車線が基本の湾岸線の輸送量はこれらの解消に大きな力を発揮することでしょう。また湾岸線が名神高速と連結されると、近畿圏西側の高速道路ネットワークは飛躍的に向上します。中四国・淡路方面からの物流・アクセスもよりスムーズになり、ランプが二箇所設置される予定のポートアイランドの拠点性もより高まることでしょう。

完成が待ち遠しい国家級ビッグプロジェクトですが、総事業費5000億円の負担割合等の課題の解決も必要です。来年度以降の工事着手後、完成までには10年を要する気の長い計画です。でも最近は月日の経過が早く感じるのであっという間にできてしまうような気もします(歳のせいでしょうか・・・)。思えば阪急が神戸市営地下鉄への乗り入れ希望を示唆したのが2005年。当時は2015年を目安にという話でしたが、その2015年はもう昨年の話。同じ調子で湾岸線も開通するのではないかと思います。10年追いかけるプロジェクトとなれば過去最長ですね。



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POSTED COMMENT

  1. masa より:

    神戸再生の最大のビックプロジェクトで、この完成年に合わせて、三宮ブロジェクトを完成させるだけでなく、夜景世界一の都市として世界にアピールできるよう官民挙げて推進してもらいたい。
    振り返れば、重厚長大都市の神戸をファッション都市、アーバンリゾート都市、再生医療都市として官民挙げて神戸の変革に取り組み、それなりの成果を挙げたが、世界にアピールするには全く力不足で、それが大阪・京都に比べインバウンドで完全に劣勢となった原因と思う。
    アピール不足でなく、街に魅力がないのだろう。
    仮称神戸ベイブリッジを背景に、中突堤とハーバーの間の海面で毎晩ショーを開催し、かつて構想にあった水上レストランから、あるいは船上から神戸牛を食べながら眺めれば、神戸の夜は世界最高クラスとなるので。IRを誘致すれば更に一気にブレークするのだが。
    私はハード面よりもソフト面に期待している。
    少々の負担はあってもぜひ進めてほしいものである。

  2. 夢想家 より:

    幻の計画かと思っておりましたが、現実になるんですね。素直にうれしいです。
    10年は長く感じますが、六アイとポーアイ間だけでも6年ぐらいで先行開業してくれればと思います。
    それと、東京湾アクアラインの海ほたるではないですが、国内初の橋上SAができないかと思います。眼下に大型客船が通り過ぎるのを見下ろせたら最高の観光スポットになりそうです。
    交通政策という視点だけでなく、観光政策としてこのビッグプロジェクトを神戸活性化に結び付けてほしいですね。

  3. sirokuma より:

    楽しみなプロジェクトですね。
    観光路線としての活用も踏まえ、LRTかBRTを最初から通してほしいですね。
    PIも竣工後35年近く経つ訳ですが、神戸市は未だに当時の都市計画に固執しています。棟内の主要住宅の殆どが老朽化しつつあり早期の対策が必要な状態です。この湾岸線を契機にその辺りも新都市計画として大幅見直しして欲しい。

    また、和田坊やPI・空港島からの写真を見ると、都心部のビルの高さ規制・神戸都心部から六甲山とか海を臨める街づくりと言う施策が空虚なものに思えます。
    神戸市も”木を見て森を見ない”かの高さ規制(居留地内の規制も含む)を総合的に見直す時期じゃないでしょうか?
    いや部分的見直しじゃダメ。神戸市が、都市施策の大転換をする時期に差し掛かっているのは明らかですね。

  4. いたちごっこ より:

    大型客船は橋の南に限定して、思いっきり低い橋にする方がいいんじゃないでしょうか?
    神戸大橋から東も、権利関係を整理して順次埋め立てていくとか・・・
    やってることが増築を重ねた温泉旅館みたいで見苦しいです

  5. 黒霧 より:

    アイランドとアイランドが結ばれるとは たのしみなビックプロジェクトですね

  6. MSA より:

    久々にコメントさせて頂きます。
    このプロジェクトについて私は、六甲アイランドからポーアイまでの間についてはハーバーウェイと港島トンネルを使用するのが一番現実的と考えてました。
    摩耶大橋を渡ったとこで地上に降りるランプを作り、港島大橋をわたる。そこから先は新たな高架道路をつくる。
    ハーバーウェイの阪神高速化は、規格的に問題ないと個人的には考えます。
    六甲アイランドからポーアイ間に新たな高架道路をつくると、2キロ弱の間に有料道路が3本平行するというなんとも贅沢で無意味な状況が生まれます。
    コスト的なことも含め発表された計画には疑問を感じます。
    けっきょく国主導の後先考えない新しもの作りとしか思えないですね

  7. ひろチャソ より:

    神戸市の高さ規制に関しては、ここにいる規制反対派の皆様たちと声をあげていけたらいいですね。
    今の市長には期待できませんが、声をあげないと始まりません。

  8. カン より:

    ハーバーハイウェイは、将来的に国道へ譲渡して無償化するか、阪神高速と一体化しても良いかもしれませんね。

    この湾岸線西伸事業は、書いてある通り3号神戸線のバイパスですから
    月見山手前で接続してもその先で大渋滞が起きてしまうので意味がありません。
    とりあえずは31号神戸山手線と新長田で接続しますが、最終的に第二神明も経由せず、5号湾岸線が
    直接垂水JCTへダイレクトに接続するという壮大なプロジェクトです。

    全線開通はさらにその先となりますが、早くその日を見てみたいものです。

  9. sirokuma より:

    ハーバーハイウェイの代用は私も当初考えましたが、RICの出入り口でもあり今でも渋滞がひどいですから。結局別路線が必要になるんじゃないでしょうか。
    それよりも二つの大橋が架かると関西の新名所になるんじゃないでしょうか?高速道路も時短の為だけではなく、車線を増やしLRTを通すとか、観光用の超低速走行車線を作り景色を堪能できるような仕掛けづくりをして生活用道路・観光レクレーション用道路としての機能を持たせればいいと思います。

  10. 宇宙黒騎士 より:

    人工島を結ぶ橋に高速道路と一般道路を並走させることができれば、
    ポーアイもロードサイド店舗が増えてきて活気が戻るんじゃないでしょうか?

  11. its・・・ より:

    むっちゃ楽しみです!

    夜にモザイク方面に行くと海によるの途方も無い暗さに閉塞感を感じておりましたが、一つ景色が加わることで空間が広く感じる効果も期待したです。

    大阪には海を活かした商業施設と言う物があまり無いので、競合する大阪との差別化になれば本望です。

  12. 夢想家 より:

    LRTは三宮まで繋がないと難しいと思いますが、新交通システムの六甲ライナーを分岐し、橋を渡らせ、ポートライナーに乗り入れることができれば、現在のポートライナーの混雑を緩和できるのでは?
    JR住吉、阪神魚崎からポーアイに直接行けるし、神戸空港への神戸東部からのアクセスが改善されます。また六アイからポーアイ経由で乗り換えなしで三宮までいけるようになれば、六アイの価値も飛躍的に上がるでしょうね。

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