2016年より4年半の工期を費やして関西エアポートが進めてきた大阪国際空港の全面改修が完了し、グランドオープンを果たしました。18年には南北のターミナルに別れていた到着口を中央に集約した先行部分を完成させていましたが、それに加えて、各ターミナルの出発ロビーや保安検査場の刷新・配置変更、展望デッキの改修等を進め、最後には保安検査後の搭乗待合エリアに商業ゾーンを設けるリニューアルによって改修を完了させました。
天井パネルや照明設備の刷新を行った北ターミナルの出発ロビーの様子です。
出発・到着便の時刻や便名を示す時刻表示がパタパタと変わる反転フラップ表示機は遂にLEDデジタル式へと切り替わりました。
保安検査場や出発エリアとアクセスするカウンター中央のエスカレーター・階段は天井を木製のパネルにし、水平にLED照明を配列したデザイン性の高いシンボリックな空間へと生まれ変わりました。
位置と向きを変えた保安検査場。ターミナルの2階は天井、床、壁、レイアウトも含めてほぼ全面的なリニューアルが図られました。保安検査の混雑を解消するスマートレーンも導入されています。
そして保安検査を抜けると明るく広がるのが今回、オープンしたウォークスルー型の商業ゾーンです。正直、その明るさや華やかさに面喰らいました。
これまでの大阪空港は搭乗待合エリア内にショップや飲食店が少なく検査前に買い物や食事を済ませる必要がありましたが、今回の刷新によってこの点が解消されました。
土産物ショップや飲食店が充実する新エリアは海外の国際空港を彷彿とさせ、まるでショッピングモールのようです。
円型の商業ゾーンは通路を回遊しながらの通行となります。このウォークスルー型のブース導入は全国の空港で初の試みです。
中央はショッピングモールのフードコートのようにイートインコーナーとなっています。
大きめのソファーや椅子が配置され、出発までの時間を快適に寛いで過ごす事が可能となりました。
中央エリアの到着口の供用開始時もその変わり様には驚きましたが、今回のリニューアルにはそれ以上の驚きを覚えました。
本格的に国際空港化した羽田空港とは対照的に廃港も視野に縮小傾向にあった伊丹空港がここまで大胆且つ大規模にリニューアルされる事になったのはひとえに民営化という方向転換の賜物に他なりません。
今回の一連のリニューアルにより関西の国内の空の玄関口としてようやくそれに相応しい機能、利便性、風格を有したと言えるでしょう。
「グラン・ブルー」はホテル ラ・スイート神戸ハーバーランドのラウンジ&バーが伊丹空港にも出店。離着陸する飛行機を眺めながらホテルラウンジの空間を楽しむ事ができます。
天然本まぐろにこだわりを持ち羽田空港に二店舗を展開する「ありそ鮪し」が羽田以外の空港に初出店。
土産物店以外の物販店の出店は限られていますが、旅行鞄やビジネスグッズを販売する「TABITUS+」はJALグループの運営。
梅田阪急等にも出店しているカフェの「&COFFEE MAISON KAYSER」が伊丹空港にも進出。
今回のグランドオープンによって開業した新店舗数は36店(南保安検査後商業エリア17、北保安検査後商業エリア14、南保安検査前商業エリア1、北保安検査前商業エリア4)。内訳は飲食店が17、物販店が18、そしてサービス店が1となっています。
保安検査前エリアのリニューアルも完了しており、どこも真新しくピカピカです。
美しい格子が目を引くファーストクラスカウンターとJGCカウンター。個室型、半個室型で専用保安検査場も備えています。
HMV&BOOKS SPOTや上島珈琲も新規オープン。
中央エリア周辺にも物販やサービス店舗が開業し、テナントの充実化が図られました。
搭乗待合エリアにはまだ一部仮囲いの残された場所も存在します。
ただこのタイミングにグランドオープンをせざるを得なかった事は関西エアポートにとっては大きな誤算でしょう。到着エリアのターンテーブルは閑散としていました。
関西エアは神戸空港ターミナルビルの改修も計画していますが、着手済で事業完了目前だった伊丹とは異なる為、神戸については投資時期を再検討する必要があるのかもしれません。しかし今回の大阪空港のリニューアルの内容は今後の神戸の改修の方向性も示していると言えるでしょう。現在の状況は一時的であり、関西三空港の整備の重要性に変わりはありません。
関西エアポートが大阪国際空港をリニューアルグランドオープン 日本初導入となるウォークスルー型商業エリアを展開
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関西エアポートにとって、神戸空港改修優先順位は大幅に下がったと言っていいでしょう。国際線需要が低迷する中、関空のキャパがいっぱいになるというのもだいぶ先になるでしょうし、神戸空港国際化は遠のきましたね。無くなったと言ってもいいかもしれません。