神戸駅前広場再整備

神戸駅前広場再整備が始動!地下空間を覆うドーム型屋根をシンボル性の高い木材の大屋根に置き換える計画

harbor03.jpg

神戸市はかねてから再整備を検討し、再整備基本計画を策定していた神戸駅北側の駅前広場リニューアルについて、その再整備デザインを発表しました。

大屋根をシンボルとした駅前広場空間



現在、駅前広場に西側の大半を占めている市バスターミナルは、DUOこうべ山の手の中間地点となる吹き抜け地下空間「サンポルタ広場」の上に、ドーム型の屋根を設け、これを中心としたバスロータリーを形成しています。整備当時の設計としては非常に画期的なデザインかと思いますが、駅前広場とバスロータリーの中央の空間は遮断されています。

duokobe12.jpg

新たに公開された計画によると、この地下空間をそのまま活用しつつも、現在のドーム屋根は取払い、代わりに新たな大屋根を設けて、駅前広場のシンボル的な存在に仕立てる計画です。



これまでの駅前広場は広大な面積を保持しつつも、人の滞留する空間は少なく、単なる通過空間の要素が高い場所でした。この大屋根の前の中央には緑豊かな広場が設けられ、バスターミナルは現在の位置から南側に移設し、新たなバスロータリーを設けた上で、リング型の上屋を設置します。また東側のタクシープールも縮小して人の為の空間を拡大。



大屋根やロータリー上屋の軒下には天然木材を多用し、落ち着きがあり、温かみのある空間を創出するとしています。地下から地上へはこれまでのエスカレーターに加えて、エレベーターも新設されます。



大屋根は二層分の高さがあるようですが、屋根のみの吹きさらしの空間ではなく、外気を隔てるガラスウォールで囲うようです。

軒下が木材の大屋根は間違いなく暖かみのある印象を与える事は確実ですが、一方、屋根の下が暗くならないかどうかは気になるところです。



大屋根の形状は東西に反り上がっており、光を採り込みやすくなっているのでしょうか。和をイメージする木材の大屋根は、北側に位置する湊川神社との調和を意識しています。



駅前広場の再整備概要です。これまでの神戸市の駅前広場整備では開放感の高さを重視して何も無い大きな空間を作る傾向にありましたが、神戸駅前では、広場内に多くの街路樹を植えて、緑豊かな空間へと仕上げるようです。バスロータリーやタクシープールは駅前広場内の歩行者動線を妨げないように設計されています。



再整備の完了後、神戸駅中央口から駅舎を出た際に覆われる現在の場末感は払拭され、新たな息吹とにぎわいを感じられる空間への変貌が期待されるでしょう。

他都市の駅前ドーム空間や木材を多用した大屋根例

kanazawa18.jpg

駅前広場に大屋根・ドーム空間を整備したのはJR金沢駅前の「もてなしドーム」です。トラス構造とガラスの大屋根で駅前広場の中央を覆っており、訪れる者に驚きと感動を与える非常にシンボリックな空間となっています。



奈良市の奈良県立コンベンションセンターには軒下を木材の格子で覆った大屋根を有する天平広場があります。屋根の一部はガラスになっており、自然光を採り入れる事で、空間に明るさを保っています。

神戸駅前の大屋根もこれらの事例を参考にシンボル性、デザイン性、実用性の高いものに仕上げて欲しいですね。

地下空間を活用した大収容の地下タワー式駐輪場



駅前広場リニューアルの皮切りとして開始されるのが、駐輪場の整備です。神戸市は今後、市内の主要JR駅前を中心に、地下空間を活用した大収容の駐輪場を整備していく方針です。



その中でも神戸駅前の規模は群を抜く大きさで、地下タワー式と地下平面式の駐輪場整備によって、約1700台分の駐輪スペースを確保する予定です。年内に整備事業者を決定し、2026年春に地下タワー式駐輪場の供用を開始します。この際、東側のタクシープールの一部についても再整備に着手する予定です。



バスロータリーや駅前広場の本格的な再整備は2026年度から開始され、大屋根の構築は2027年から始まる予定とし、全体の完成は7年後の2030年度を予定しています。

デザインコンペ時の提案では、「広場に帆をかけたような港町神戸らしい大屋根(セイリングルーフ)」とされいていましたので、膜素材の屋根かと予想していましたが、軒下に木材を採用する形に切り替えられた事で、シンボル性が高まるのではないかと思います。事業期間が長い事がネックですが、当初の計画案よりも可能性に期待が持てる内容になったのではないでしょうか。広場の再整備効果で駅前の再開発や老朽ビルの建て替えも促進される事にも期待したい次第です。
関連記事
神戸駅前広場再整備

JR神戸駅前広場再整備に向けた社会実験を実施 駅周辺に歩行者専用空間を増やす試み 駅前広場の新イメージも公開

2024年5月13日
こべるん ~変化していく神戸~
JR大阪-神戸駅間の「神戸~大阪鉄道開業150周年イベント」がJR神戸駅周辺にて開催された先週末。このイベントと合わせて、神戸市は機 …
神戸駅前広場再整備

JR神戸駅南側駅前広場再整備 ポートループ乗り入れの改造工事が進む HDC神戸も30周年リニューアル

2024年8月18日
こべるん ~変化していく神戸~
JR神戸駅前北側広場の大規模な再整備が計画されており、現在は広場内の地中埋設物移設等の事前準備が進められていますが、ひと足先に南側駅 …
神戸駅前広場再整備

JR神戸駅前広場再整備・地下タワー式駐輪場の整備が本格的に開始される 広場整備は未だ地下インフラ設備移設中

2024年11月20日
こべるん ~変化していく神戸~
JR神戸駅前北側広場の本格的な再整備工事が遂に開始されました。2030年頃の完成予定と、まだ5年以上先となるプロジェクトではあります …

POSTED COMMENT

  1. 神戸太郎 より:

    興味深く拝見しました。
    2030年か…。もう少し早くできないかと思いますが、気長に待つしかないですね。
    これによって周りの雑居ビルなどの再開発を誘発してほしいです。大阪IRも決まりましたし、神戸駅がひとつの拠点となって、そこから船で大阪や瀬戸内に出ても良いと思います。

    あとは、神戸駅→湊川神社→体育館→図書館の軸をもっと発展させてほしいです。

    最後の夢は、神鉄の高速神戸乗り入れ…。JRと繋がると価値が増すのではないかと思うのですが。

  2. 区民g より:

    JR西との駅再整備における連携がないのが残念ですね。
    いつもどちらかが単独で整備をしているような気がします。
    なんとかならないものでしょうか.

  3. べーやん より:

    神戸駅前の鳩対策も考慮してもらいたいですね。
    餌を撒いてるおじさんをなんとかしてほしいです。
    条例とかで禁止にしてはと思います。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です