外観完成の足音が聞こえている神戸阪急ビル東館の建て替えプロジェクト。建設開始前の暫定東館の立っていた敷地に超高層ビルを建てられる事については半信半疑の部分もありましたが、見事に立ち上がりました。そして予想以上のランドマーク性を有する建物になりつつあります。
オフィス階からホテル階へと繋がるマリオンは26階までの取付を完了。残るは27-29階の3フロアと塔屋のみとなります。
このマリオン式の外観デザインの採用の要因は神戸市の消防条例です。一定の床面積を有する就寝を伴う建築物には2方向の避難経路確保を義務付けており、ホテルやマンション、病院等がこの規制の対象とされています。故に神戸のホテルやタワマンの殆どには全周にバルコニーが設置されています。
全周バルコニーの設置は建物のデザインに大きな制約を与え、没個性化を受け強め、その用途に関わらず共同住宅のような印象を与えてしまいます。
マリオンの取付は壁面から飛び出しているバルコニーの水平ラインに対して垂直ラインを付与する事でファサードの住宅外観感を抑制する効果があります。
神戸阪急ビルの場合、オフィスフロアとホテルフロアのマリオンデザインを統一し、連結する事で建物の一体性を実現しています。
竹中工務店が設計を手掛けた神戸旧居留地25番館のORIENTAL HOTELで採用されたのが最初ですが、神戸阪急ビルを設計した久米設計はマリオンの表面に凹凸を設ける等、質感のディテールにも配慮しています。
神戸駅近くで鴻池組の設計で建設されている神戸駅前プロジェクトも上層階のホテルフロアにはマリオンを採用。
そして大和ハウス工業が設計・施工を担当する三宮中央通りの神戸市中央区三宮町プロジェクトも同様です。
このデザイン処理法が神戸のホテルに定着しつつありますが、正直、そろそろ食傷気味です。これから開発されるJR三ノ宮駅ターミナルビル、雲井通のバスターミナルビル、市役所2号館跡の新庁舎ビル、兵庫県庁開発の集客施設の上層階もホテルの誘致が想定されています。これらのランドマーク性の高い高層ビルの上部のデザインが皆、この形になってしまう事については警鐘を鳴らしておきたいです。
街路樹の伐採のみで終わっていたサンキタ通りの再整備準備についても歩道の舗装ブロック撤去が開始されました。取り外し方が丁寧です。何らか形での再利用を考えているのでしょうか。
現在、アスファルトの車道も舗装ブロックが敷設されて完全なバリアフリーの歩行者専用道路に改良されます。
南側は外壁のPCカーテンウォール取り付けも28階までが完了しているようです。上部のデザインに締まりを与える塔屋の外壁の色調や質感がどう仕上がってくるのか。今後の工事で明らかになっていくでしょう。
神戸阪急ビル増築工事 マリオン取付は26階までを完了 サンキタ通り再整備準備も開始 神戸のホテルはマリオン式デザインが主流に?
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南側から見た時の低層部分は裏側感が凄くありますが、向かいの交通センタービルの建て替えが実現すると丁度隠れそうですね
今後オフィス需要が堅調に推移するなら、南側は当初の計画通り線路を跨ぐ形で増床するかもしれません。その日に備え簡素な壁面にしたと思われます。ただ眼下の鉄道の防音対策で増床しても代わり映えの無いデザインの可能性も。
それと阪急も地下鉄の相互乗り入れは、もうあきらめたでしょうから、増床は意外と早い時期に計画されるかもしれませんね。またアフターコロナでは長距離通勤は敬遠されると思いますので、西神を大阪のベッドタウンにするための税金投入は市民に支持されないでしょう。
以前、南面にはサイネージ看板とか設置して欲しいとかコメントしましたが、壁面が見える場所は限定されるし、離れないと見えないので無理ですね(笑)