スポンサーリンク
解体工事が進む神戸市役所本庁舎2号館。10月末までに地上躯体の撤去が完了する予定です。しかしながらまだ跡地の新庁舎について具体的な計画は確定していません。
基本計画は一旦は固まったものの、コロナ禍に突入後、内容の見直しを目的として、再度、有識者での協議の場となった神戸市役所本庁舎2号館再整備事業者選定委員会を昨年7月の第1回から先月までの1年間で計5回を開催。
第1-4回の内容は「アフターコロナ社会を見据えた庁舎や市民利用空間のあり方について」を議題としていたようですが、議事概略を見る限りにおいては然程、中身のある議論がなされていたとは思えず、5回目にようやく議題となった委員会開催の本来の目的である「事業者の公募・選定に関する審査の進め方及び評価について」のみを追求すれば、5回も協議を重ねる必要はなかったのではないかと思います。
5回の協議が終わった事で、今週、神戸市から「神戸市役所本庁舎2号館再整備基本計画(改定案)」が示され、市民からの意見募集を開始しました。
スポンサーリンク
改訂後の計画案
既に神戸市から方針が示されていた新庁舎内に文化創造・発信機能として整備する予定だった音楽専用中ホールの計画撤回と中止。代替機能はそのままにぎわい・集客機能へと置き換わる予定です。
床面積としては、音楽専用中ホールがメインの文化創造・発信機能の7,000平方メートルがそのままにぎわい・集客機能にスライドして、以前の14,000平方メートルから21,000平方メートルへと増床しました。トータルの延床面積60,000平方メートルに変更はありません。
計画の事業手法は土地は神戸市が継続保有し、建物については民間事業者が建設。同事業者には50年以上の定期借地権を与え、市の活用する建物内の庁舎・公共機能の床については民間事業者から買取もしくは賃貸をする方針です。
改訂案における想定スケジュールは改定前の26年度の完成予定から27年度に後退しています。
第一段階は連絡ロビー・エネルギーセンターを建設
現2号館の解体完了直後にシームレスに建設を開始する連絡ロビー・エネルギーセンター棟。23年度に完成予定です。
建物内地下1-地上2階が連絡ロビー機能を有します。地下1階は三宮地下通路とも連絡予定です。2階は新庁舎・にぎわい施設、市役所1号館、新中央区総合庁舎と接続するハブとなります。
集客・にぎわい施設・商業施設の延床面積が28,000平方メートルに拡大した事はプロポーザルを提案する民間事業者にはより収益利益を高める事が可能になります。
新2号館の空間構成イメージ
[上層部・中層部]
・世界に情報を発信できるような集客機能を検討
・市政運営の拠点として、必要な機能を整備した本庁機能を検討
[低層部]
・人の流れや回遊性の向上、滞留できる空間の整備などにより新たな賑わいの創出のために誘客機能を検討
・文化、芸術の拠点となり、市民や来街者が交流できるような機能を検討
・情報発信機能、スペースを検討
スポンサーリンク
スポンサーリンク
この神戸市役所本庁舎2号館再整備基本計画(改定案)の意見募集には正直、憤って都市局三宮再整備課に電話してしまいました。こべるんさんや読者の方も覚えているでしょうが、数年前にこの新市庁舎のあり方についての有識者会議に読者の方々の協力含め意見書を提出した者としてははらわた煮えくりかえる思いです。アクションプランや庁舎概要も発表されているのにいったい何回市民の意見を聞けばいいのか?
職員に質問すると、音楽ホール取りやめのことと市庁舎機能には変更が可能なので市民に新たにコメントを募集するに至ったとのこと。
実際は、変更内容は音楽ホールがなくなったこと、コロナ後を見据え市庁舎機能を変更するのは床を広げ、空調設備を強化することぐらい。あと戻ってくる部局の再配置。
この内容に市民意見を聞くことが必要でしょうか?
庁舎内のフロア構成、部局の配置に関しては詳細を公開しないと職員の利便性は我々の知ったところではい。さらに音楽ホール中止後の床の活用に関しては民間事業者が考えることでこれまた市民が意見することではない。質問した職員もPFI事業である以上、市側は音楽ホールの維持管理費などの削減はできても、事業主体になる民間事業者側が安定した収益が宛にできないデメリットが生じてしまうことが理解できていないようでした。なんとこちらがPFI事業内容の説明したんですよ(笑)
このパブコメ募集を含め、神戸市HPではこの数週間で再開発関連のパブコメ募集案件が続々提出されています。
パブコメ募集に関しては市長の自身の再選に向けたポーズでしか考えられず、いかにこの市長がポピュリズムに左右される人物かが分かります。
完成パースもすでに完成されているのでしょう。新市庁舎は延べ床面積と概要内容から24階建て高さ100~110mぐらいの規模を想像します。ですが完成パースを披露しないことは大幅な変更が可能なことを示唆します。
事業の是非は完成後の運用の出来不出来です。
設備投資において、時代遅れになるのは時代の変化・進化に対応する未来予測が入っていないからです。
人口減、企業流失、飲食商業店の廃業多数。この危機的状況でも批判を恐れず事業を貫き通す覚悟ができていないのです。
本庁舎2号館の地下1階の利用法が今一番気になります。
西隣で建設中の中央区新庁舎1階と本庁舎の地下1階は、東町筋に接道します。
今まで東町筋は旧居留地内で最も人流が少ないと言っても過言ではない程、閑散としていました。
この開発で、さんちかから地下道を介してダイレクトで旧居留地に抜けられるようになり、同時に商業施設が誘致されれば、旧居留地周辺への新たなアクセス手段として大きな人流を産出し利便性が向上し、このあたりの風景を一変させると思うからです。