神戸空港

神戸商工会議所が南北アクセス早期整備を構想 来年度事業計画に盛り込む 実現性はどこまで?


神戸商工会議所は神戸空港と新神戸駅間を結ぶ南北アクセスの強化を重要視しており、昨年より神戸市に強い働き掛けを行なっています。2019年度の事業計画でも「陸海空の交通結節機能を高める南北アクセスの強化及び都心再整備の加速化促進」を掲げ、南北アクセス強化の意見具申として、神戸市に対して提出した要望書に「新神戸と三宮、空港間の南北アクセスは大量輸送力の整備が急務」と記載。

http://www.kobe-cci.or.jp/pdf/jigyokeikaku_2019.pdf
神商議 2019年度事業計画



更に近頃発表した来年度の事業計画にはこの南北アクセスに地下鉄構想を組み込む等、攻めの姿勢を鮮明にしています。しかしながら商工会議所の計画や意向にどこまでの実現性があるのでしょうか。

現状において神戸市は大量輸送を担う交通機関の検討を否定はしないものの、現実的に南北アクセスには道路の改良整備とバスの活用を挙げており、検討はしても、阪急と地下鉄の相互直通運転のように「検討はしたが採算上、却下」となりかねません。まだ策定された事業計画は公開されていないので何とも言えませんが、公表後の内容を精査したいと思います。

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ちなみに2014年には神戸商工会議所を中心とした地元経済界が集う「神戸海港都市づくり研究会」がまとめた三宮再開発案にて人工地盤の整備による空間形成を提言。これに絡めてバスターミナルの再編・整備、JR三ノ宮駅の東改札口の開設・西改札口の整備、インフォメーションセンターの再整備も盛り込まれました。人工地盤のデッキ整備は神戸市が頑なに拒否し、構想は三宮クロススクエアへと発展しましたが、それ以外はどれもほぼ進行中のプロジェクトで実現に向かってはいます。

ちなみに続きですが、2014年当時の神戸新聞の記事に『地元のビル関係者によると、JR三ノ宮駅東側一帯で、大手不動産会社などが大型ビル建設に向け調査を始めた。』と書かれていました。今となってはJR三ノ宮駅東側一帯とは雲井通5・6丁目を指し、大手不動産会社は三菱地所をはじめとするデベロッパーで、大型ビルとはバスターミナルビルである事が分かります。

今後、鍵となるのは神戸商工会議所の会頭を務めるシスメックスの家次会長です。これまで同会議所の会頭は川崎重工と神戸製鋼の二者間で持ち回りが慣例のように長く繰り返されてきましたが、神戸で現在、最も時価総額の高い企業であるシスメックスの家次氏が会頭に就任した事は世代交代として話題になりました。神戸経済界のトップである同氏が強い意志を以って臨むその先に期待できる物は何か。

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POSTED COMMENT

  1. イセ より:

    阪急の西神中央に乗り入れは興味は無いが
    神戸空港アクセス線〔希望的観測〕には期待してました。
    直通運転一旦中止は少し残念ですが、神戸高速を解体して阪急にしたらどうかな?
    駅名も神戸にすりゃいいのに高速神戸って何?神戸市は北神急行を阪急から購入したのだから、三宮から神戸空港までココホレワンワンし、新神戸で阪急と繋げばポートライナーの混雑も解消できるし、大阪、阪神地区、北神、西神からも空港直通できるしね!

  2. S.Y. Kobe より:

    神戸空港の将来に向けた旅客輸送力の増強は5年後、10年後そして関西圏旅客需要1億人に達すると言われている15年後の神戸空港の目標設定に沿って合理的に計画されるべきです。1000万人の空港後背地人口と24時間運航可能な神戸空港は15年後には少なくとも3000万人(圏域旅客総需要の3割)以上の旅客を捌く国際空港としての活用を目指さなくてはなりません。

    これに対し現在神戸市の表明している整備計画にあるBRT導入検討はせいぜい5年後程度の需要対策に留まる姑息で抜本的解決に程遠いものです。そこには将来に向けての展望や都市戦略が一切見えて来ません。

    すべての事に及び腰で当事者意識の希薄な現市長ではこれが限界でしょうか。とにかくこの人は神戸空港設置者である神戸市の代表でありながら懇談会に於いても積極的発言もなく折衝はすべて知事任せで本当に頼りない。つい最近もコロナ感染対策に於いて市民からの多くの批判に逆ギレし、市民に対し暴言をツイードする始末でその幼稚さにも呆れます。ここまで度量が小さいとは・・・、とても市長の器ではないことを暴露してしまいました。

    現市長に阪急線の直通運転や空港アクセス新線など大命題の解決や推進を期待するのはとても無理なので、この人の2期8年は半分諦めるとして、家次商工会議所会頭も次期市長に向けて神戸財界の意思を発信する心境だと思います。

    • 摂津国人 より:

      S.Y. Kobeさま

      記事内でご紹介の神戸商工会議所の要望は南北交通の強化も三宮交差点の人工地盤ももっともな案で、神戸市が積極的に取り入れないのが残念です。
      商工会議所としては三宮にオフィスを早い段階で供給してほしいでしょうが、三宮バスターミナルの遅れや具体的な計画が上がってこないJR三ノ宮駅ビルの件でもやきもきしているのではないでしょうか。
      三宮の再開発が進まなければオフィス街としても魅力に欠け、郊外住宅地の通勤人口を維持することもできませんし、神戸市民の税金で建てた神戸空港も大阪や京都に向かう外国人観光客が利用するだけの空港に成り下がってしまいます。
      2021年には市長選ですが、この市長に投票する(あるいは2期目で投票した)神戸市民は神戸の衰退を望んでいるのでしょうか。
      神戸市民は「騙されていた」と主張するのかもしれませんが、既に2期目でまだ惨憺たる状況ですので、ここまで来ると「騙され続ける神戸市民側に問題がある。暗愚な市民のレベルに合わせた蒙昧な市長が選出されただけ」と他市の市民から言われても残念ながら私は否定できません(辛辣ですみません)。

    • 摂津国人 より:

      S.Y. Kobeさま

      すみません、先のS.Y. Kobeさまへの返信コメントの頭に「同感です」が抜けておりました。
      お詫びして訂正いたします。
      神戸空港や市政に対して、私もS.Y. Kobeさまと同様の考えを持っております。

  3. 区民liketolove より:

    南北アクセスは現実的にバスでしょう。
    バスは路線バス形式なんでしょうか?それとも高速バス形式なのでしょうか?
    前者だと比較的フラットだから乗り降りしやすいのでいいのですが、
    後者だと荷物の上げ下げが苦になろうかと思います。
    それぐらいは分かっておられるはずなのですが
    旅行者にとっては結構な負担ですからね…。

  4. 摂津国人 より:

    神戸空港への交通については、短・中期的にはバスの増発で対応し、神戸空港の発着数・発着時間の規制が大幅に緩和された際に鉄道を検討するのが妥当と考えます。
    バスから鉄道への移行の判断は、「神戸空港の発着数・発着時間の規制緩和がいつなされるのか」にすべてがかかっていると言っても過言ではないでしょう。

    地下鉄など鉄道ですが、速達性・大量輸送性に優れているのはもちろんですが、現在の発着数規制80回/日では採算が取れないでしょう。
    以前から「鉄道案」を主張するときは大前提として「神戸空港の発着数・発着時間の規制が緩和されたのち」と考えていたのですが、きちんと表現すべきでした。
    鉄道反対をご主張の方の中には神戸空港の利用者数が伊丹や福岡などよりも少ないことを理由に反対なさっての方をお見受けしますが、神戸空港の利用者が少ないのは発着数・発着時間が規制されていることが原因です。
    「規制緩和による利用者数が増えたのちを目処に」と前提を明確にすれば「あ、そういう前提ならOK。確かに大幅な規制緩和後にはバスの輸送量では対応できませんしね」と賛成してくださる可能性は高いと考えます。
    想像でしか申し上げられませんが、伊丹空港の発着数のおよそ2/3に当たる250回/日ぐらいに規制緩和されれば採算性が出てくるのではないでしょうか。
    逆に言うと前提とする規制緩和がなされないうちは実現は難しいでしょう。
    大幅に規制緩和された後はバスの輸送量では賄いきれず自ずと鉄道が必要になるでしょうから、規制緩和がいつになるかが重要です。

    次にバスですが、現状、新神戸→神戸空港が7本/日、神戸駅→神戸空港が4本/日です。
    1日当たりの本数です、1時間当たりの本数ではありません。
    バスによる新神戸・三宮と神戸空港の接続については臨時的な措置として一定の評価はしていますが、これだけ本数が少ないのではだれも乗りませんし、認知もされませんよ。
    神姫バス
    https://www.shinkibus.co.jp/highway/category/limousine/ukb.html
    バスの利点は初期投資が少なくて済むことと、他の路線に転用しやすいことです。
    このため、前述の鉄道が完成に至るまで臨時の措置としてバスをせめて1時間に3、4本程度の頻度で運行し、鉄道が完成した暁にはバスをそのまま京都、大阪、奈良、姫路などの各地への直行バスとして転用するのがいいでしょう。
    最小限の費用で、拡張性が高く、効率的な手法であると考えます。
    ここで間違って連節バスを導入してしまうと、いすゞと日野が昨年から国産連節バスを発売し始めたものの大半が外国製で初期投資が大きくなりますし、道交法など法律上の特例措置を受ける必要が出てきます(それでも神戸市は「やってる感」を出すために連節バスを導入する可能性はあります。連節バスは目立ちますので)。

    神戸空港の所有やコロナウイルスによる航空需要の低減などまだクリアすべき課題はありますが、それはまた別の機会に。

  5. S.Y. Kobe より:

    (追伸)摂津国人様の「バスから鉄道への移行の判断は、神戸空港の発着数・発着時間の規制緩和がいつなされるのかにすべてがかかっている。」とのご意見はどなたにも解りやすいと思いますし私も賛同します。

    昨年度の神戸空港旅客数320万人は現行規制でがんじがらめの条件下での実績であり実需に基づく結果ではありません。実際は数倍の潜在需要があり、また世界的に増大している国際便旅客需要があります。次代神戸市長には将来を見据える想像力や戦略性を是非持って頂きたいし、都市経営には不可欠な事だと思います。

    そして現行の全く無意味な規制ですが、複数空港を持つ世界の先進大都市圏では空港の選択は市場原理に任せており、利用客目線と航空会社の就航希望に沿う政策で運用されています。勿論国際線も当たり前に各空港に就航しています。それに対し関西圏では発展途上国でもあるまいし時代遅れな基幹空港理論と地域エゴにより市場原理を無視していつまでも不合理な規制を続けています。世界の目線からはまさに異常な事です。市場原理に沿わなければ成長や成果は見込めないのは言うまでもありません。

  6. イセ より:

    あくまでも妄想です。
    東からは阪急を新神戸まで延伸
    西からは地下鉄山手線
    東西を繋ぐ新三宮駅

    新港町

    ポートアイランド大学前

    神戸空港
    で完結。

  7. 摂津国人 より:

    S.Y. Kobeさま

    > 関西圏では発展途上国でもあるまいし時代遅れな基幹空港理論と地域エゴにより市場原理を無視していつまでも不合理な規制を続けています。
    仰る通り、関空に閑古鳥が鳴いていた時代の、あまりにも古い時代の価値観で生み出された規制が続いています。
    私見ですが、関空のハブ・スポーク型の航空路線運用への強い固執が神戸空港への規制の存続に影響しているのではないかと思います。
    LCCの登場によって掘り起こされた航空需要は、ハブ・スポーク型の路線運用を否定するとともにポイントtoポイント型の路線運用を可能にしましたので、関空がハブ空港であることに拘泥する理由はすでにありません。

    以前であれば地方など航空需要が少ない空港へはハブ空港からの乗り継ぎ便での対応するハブ・スポーク型を前提としていましたので、関空がハブ空港である必要性が当時はありました。
    ところが現在では、LCCの登場によって航空運賃が安くなり、これまではそれほど需要があると思われていなかった地方の航空路線でも安い運賃ならば利用したいという需要があったことが明らかになってきました。
    ハブ・スポーク型の路線運用は航空需要が少ない場合は効率的ですが、航空需要が多くなってくるとハブ空港への路線集中がキャパシティオーバーによって非効率になります。
    このため近年の航空路線運用はハブ空港を介さないポイントtoポイント型にシフトし、かつてのハブ空港への旅客集積を緩和するとともに乗客の乗り継ぎの不便さが解消されました。
    航空路線需要が大きいアメリカ合衆国などでは上記ポイントtoポイント型の航空路線運用は普通になっていますし、ボーイング社も中規模の地方空港にも就航しやすい中型の航空機の開発・販売に注力しています。
    近畿圏は、拡張性の高い海上空港である関空と神戸空港に集中し、伊丹を廃港にすることで両空港への内陸からの侵入経路を確保するとともに、中央リニア新幹線と北陸新幹線が乗り入れる新大阪での高さ規制を撤廃して高度利用を可能にすれば近畿圏の経済はまだまだ伸びしろがあると私は考えております。

    関西空港の長距離路線が増加中!アジア依存脱却に向け路線網の拡充が進む
    https://saitoshika-west.com/blog-entry-6794.html

    総じて、現在の神戸空港への発着数・発着時間規制は時代遅れであり、速やかな規制緩和が望まれます。


    イセさま
    阪急による新神戸・三宮ー神戸空港間の接続は神戸にとってまさに理想的であると私も考えております。
    歴史的な観点からも、阪急は大正時代に王子公園と新神戸のちょうど中間に「(阪急)神戸駅」(後の上筒井駅)を設置していた経緯がありますので、自然な流れであると思います。
    課題があるとすれば、
    1.神戸空港の発着数・発着時間規制で利用者の確保が不確定なこと
    2.先の神戸市営地下鉄西神・山手線との接続の検討の際阪急は三宮接続を望んだこと
    3.既に数十年にわたって神戸市と交渉で渋られて阪急側はへそを曲げているかもしれないこと
    の3点が考えられます。
    しかしながら阪急もまた営利団体です。
    神戸空港の発着数・発着時間が規制緩和されて利用者さえ確保されれば神戸空港接続線はドル箱路線になり得るので、阪急の気持ちも変わるのではないでしょうか。
    神戸空港への接続を阪急に期待するのも、やはり規制緩和にすべてがかかっていると考えて問題ないでしょうね。


    お二人とも貴重なご意見くださいましてありがとうございました。
    今後もご懇意にしていただけますと嬉しいです。

  8. イセ より:

    摂津国人様

    仰るとおり神戸空港の発着規制が緩和されないと進みにくいと思います。
    でも現状、ポートライナーだけでは捌けないので神戸市の東西北側から阪急、地下鉄を直通運転させ南側へ繋げるのが空港緩和以外にも既に新港地区では再開発が始まり、湾岸東側がこれからヒトが集まるでしょう。そのため新港地区に新駅はいると思う。
    また大学や市立病院の利用者で既にポートライナーの乗客がパンクしてるのし
    またこれからできる新線の阪神高速湾岸線がポートアイランド西側を通過することもあり、大学付近はさらに開発が進むと思われるので、まさに新駅は必要でそのまま南下して神戸動物王国付近に駅を作るかどうかは今はなんとも言えませんが神戸空港まで延伸すればあらゆる点が線になります。


    妄想ばかりですみません。

  9. S.Y. Kobe より:

    摂津国人様 

    関西ブロック経済圏の盟主ではない神戸が将来も現在の都市力を維持してゆくには神戸という座標(立地)に優位性(アドバンテージ)が無ければ叶いません。

    座標の優位性とは圏域の陸海空のマルチゲートシティであり続けることであり、そのリーディングプロジェクトが交通インフラを劇的に改善する大阪湾岸道路西伸や神戸空港国際化だと思っています。そして都市力維持の指標は市内雇用の維持だと考えます。

    神戸空港国際化は都市基盤・ビジネス基盤を強固なものとし、外資系企業を始め国内外企業の誘致やビジネス交流人口の増加、市内雇用の増加に繋がります。それゆえ神戸空港の動向に大きな注目をしていますし、また大きな期待もしている次第です。

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