神戸ファッションプラザ内のアトリウム広場リニューアル取材時に再発見を探る為、六甲アイランドシティ内の各商業施設巡りをしてみました。前回は神戸ファッションマートの巨大アトリウムの壮大さと斬新さを改めて実感した事をお伝えしましたが、今回は市内唯一の外資系ホテルブランドの冠を有する「神戸ベイ・シェラトンホテル&タワーズ」の内部をお伝えします。
同ホテルは1993年の開業時から2005年まで積水ハウス他の保有、JTBの子会社が運営していましたが、その後、ローンスターグループを経て、現在はホテルニューアワジの傘下に入り、運営も同社が行なっています。ニューアワジ保有に切り替わってから、敷地内で温泉を掘削し、施設内で温泉スパイが楽しめるシティホテルへと生まれ変わりました。
ニューアワジに運営が変わって以来、ホテルの稼働率は向上しているようです。
施設内の上品さは開業当時から変わっておらず、ホテル前に関空リムジンバスが停車する為、欧米を中心とした訪日客やビジネス客にも重宝されてきました。
特に近接して立地していたP&G本社が極東拠点だった頃はこのホテルの最盛期だったと言えますが、震災後に同拠点がシンガポールに移転してからは不振に陥りました。
この施設低層部にも見事なアトリウム空間が設けられています。それもその筈。この施設、神戸ファッションマート、そして神戸ファッションプラザの3施設はいずれも昭和設計が設計を担当しています。
どの施設もそれぞれに趣向を凝らしたアトリウム空間を擁し、その贅を尽くした造りには目を見張るものがあります。この空間と商業施設は合わせてシェラトンスクエアと命名されています。
しかしどの施設も商業テナントは不振です。これら六甲アイランドの施設だけでなく、新神戸コトノハコ、ハーバーランドセンタービル、プロメナ神戸等、80年代後半から90年代初頭に掛けて出現したバブル期の巨大なアトリウムを持った商業施設はことごとく商業フロアを活用出来ていません。
今回の神戸シェラトン訪問で、初めて訪れた場所がありました。アトリウム2階レベルを抜けてホテルを出ると、なんと更に新たにゴージャスで天然採光のアトリウムが再び現れました。
アトリウム内に広がる半屋外のショッピングゾーンです。
六甲アイランド、新神戸、ハーバーランドの大型複合施設は奇しくも、いずれもアトリウム・商業施設・ホテルという組み合わせです。そしていずれもホテルの稼働は比較的好調で、商業施設が不振となっています。商業以外の用途転換がやはり不可欠です。完全に都心でも郊外でもない中途半端な立地が仇になっているのは、神戸市の都心機能分散化政策の失敗です。
神戸ベイ・シェラトンホテル&タワーズのアトリウム空間を愛でる
スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク
「完全に都心でも郊外でもない中途半端な立地が仇になっているのは、神戸市の都心機能分散化政策の失敗です」仰る通りです。
以前と言っても随分前、震災前の話ですが、神戸市役所の発表では、「神戸市に相応しい人口規模は180万人」とありました。コレは誦じて言えるほど、頭に残っています(笑)。その内100万人が旧市街地、それ以上は面積から言ってムリ、80万人が郊外(北区、西区、垂水区の一部)という筋書きです。「たった180万人か」とその時はおもいましたが、到底届きません(笑)。例えば神戸市営地下鉄の駅隣接SCは、名谷、妙法寺、学園都市、西神南、西神中央、新神戸と有りますが、開設から40年前後経っても「一応健闘している」のは、名谷、西神中央ぐらいでは無いでしょうか?神戸ぐらいの規模なら、何か所もターミナルに繁華街を分散させても、何処もが中途半端になる。
またその数年後の経済紙の報道では、「百貨店が存続出来るのは人口100万人に1店舗」と言われた時代もありました。今や200万人に1店舗ではないでしょうか。勿論、商業集積の割合なので、単純な人口割にはなりません。集客力のあるターミナル駅ソバなら、2店舗、3店舗でもやっていけるでしょう。神戸市ならギリギリ2店舗でしょうね。でも、どちらも三宮、元町地区の超一等地にあるわけで、郊外はなかなか発展しませんでした。コレは大阪や京都、横浜にも言えます。
神戸の郊外の例で言えば、神戸北のモール・アウトレットでも、私から言うと遠すぎて行く気にならない。あそこはもう神戸三田市ではないでしょうか(失礼)。都心に人が集まるのは感性豊かなモノ、ハレ型の普段では無い買い物が出来るからだと思います。つまり、私は「ジスイズ神戸」というのは、新神戸から三宮・元町、ハーバーランド、神戸駅、神戸空港までであり、それでヨシだと思います。
基本的には今後の投資は都心65、それ以外の拠点35の割合で割り切っていくべきかと思います。世界的に見ても百貨店は既にオワコンですし、都心ターミナル店しか生き残る事はできません。大抵の百貨店の利用者が高齢者がメインである以上、演歌と同様の末路が見えています。