熊本

地域探訪: 熊本・サクラマチクマモト Part2 日本最大の規模を誇るバスターミナル「熊本桜町バスターミナル」から学べる事は?



熊本市中央区桜町の熊本交通センター跡地に開発された大型複合ビル「サクラマチクマモト」における中核施設が、「熊本桜町バスターミナル」です。路線バスと高速バスが発着し、バース数、路線数、乗降客数の全てにおいて日本最大のバスターミナルとして運用されています。



バスは施設の南面・熊本城ホール真下の1階から出入りする構造になっています。

高速バス、路線バスの双方含めて一日4,300便が発着し、約4万人が利用する日本最大のバスターミナルです。



北海道や沖縄とは異なり、本州とは陸路で繋がっている九州には、政令市や中核市も多く、観光名所や自然も豊富な上、九州自動車道が南北に縦断しているので、高速バス路線網が発達していると言えます。その中でも熊本は九州の中央部に位置し、九州の玄関口である福岡のバスターミナルと共に充実した施設を整えています。



ターミナル内のマップです。バース数は全29。緑の24〜29の計6バースは降車専用。浮島のような中央部の青バース、そして右側の縦長に配置された赤バースという配置になっており、行き先や用途によって色分けされています。

雲井通5丁目プロジェクトは、あくまでも各社高速バスの発着地を集約しようとするもので、路線バスの新ターミナル発着は明示されていません。しかし路線バスも駅周辺にかなりの停留所が散在している印象です。熊本桜町バスターミナルのように、路線バスの新ターミナルへの一定の集約を進めるべきではないかと思います。



ターミナル内の様子です。その非常に大きな広さに驚きます。



4,300便/日が運用されていても降車は6バースのみで事足りるようです。

三宮の新ターミナルでは、現在のミント神戸1階にある三宮バスターミナルを降車専用バースとして活用する計画です。既存のターミナル施設を活かすという主旨のは分かりますが、利用者にとって(特に初めての来神者)乗降場所が異なると、迷う原因にならないでしょうか。



待合内の様子です。視認性の高さを意識し、シンプルな造りとなっています。バースの用途・行き先を色による識別で分かりやすく管理しています。



浮島の待合スペース。上階の商業ゾーンからエスカレーターで直接、アクセスできる為、利便性は非常に高いと言えます。



赤ゾーンの待合スペース。デジタルサイネージも多く配置されています。ただ通路幅は思っていたよりも広くないので、ベンチや椅子の数は多くありません。またターミナル内に待合室は存在しません。



乗車ドア周りの様子です。自動ドアはバス乗車時のみ開きますので、待合スペース内への排気ガスは最低限に遮断されています。

何故か名古屋駅前に整備された名古屋駅バスターミナルは待合とバス停の間の間仕切り上部が空いていました。



しかしいくら排ガスを遮断していると言っても扉が開いている間の流入は避けられず、待合内の天井に設けられている空調周りは排ガスで黒ずんでしまっています。それだけ空調がしっかりと稼働している事の裏返しですが、やはり空気環境は上階に比べると劣っています。

雲井通の新バスターミナルでは待合エリアにいかに浄化された空気環境が保てるかを追求して欲しいです。



バスの電気自動車化やバイブリット化が促進され、ターミナル内の内燃気走行が規制されれば、このターミナル内の空気問題は解決しますが、これはバスを製造しているメーカーの技術革新と車両価格の低減、そして運行するバス会社や自治体がこうしたバスのみを積極購入すれば換気の問題はクリアできる課題です。しかし歩車分離は安全性の観点からも重要です。



商業ゾーンの2階に設けられた「サクラマチスクエア」。バスターミナル利用者のためのサテライト案内所です。



乗車券や定期券の販売、カウンターでの乗車案内のバスに関する総合案内所です。サクラマチモトマチ館内の総合案内所であるインフォメーションカウンターやトラベルカウンターとも統合されています。また奥のスペースにはくまモンの限定グッズの販売やくまモンカフェも併設。



こうしたスペースが設けられている事は予想していましたが、バスターミナルの規模から考えると、思っていた以上にこじんまりとしていたのは意外でした。



雲井通の新ターミナルの構想では、高質な待合空間、快適なパウダールーム、シャワールーム等を整備し、中長距離バス利用者に向けて充実した付帯設備を設ける事が計画されています。このターミナル内にも女性用パウダールーム「SACRAGE(サクラージュ)」や荷物預かり・荷物配送ブース、コインロッカーも備わります。



2階の商業ゾーンの中央にある吹き抜け通路「サクラマチコンコース」の両サイドにバスターミナルへアクセスするエスカレーターが備えられています。



バスターミナルと上階の商業ゾーンを結ぶエスカレーターです。



1階については、商業ゾーンからダイレクトに待合空間へとアクセスできます。



この施設には、旅行者に嬉しい地下階のフードコートや飲食店街、カフェ、ドラッグストア、コンビ二等の利便施設が整っている他、バス利用者以外の来館者もターゲットとした商業ゾーンも非常に充実しています。

施設館内におけるバスターミナル利用者とそれ以外の来館者の動線をしっかりと考える必要がありますが、この施設はこの点についてもシンプルな造りで、初めての利用でも分かりやすい構造になっています。

次回はバスターミナルと密接な関係にあるサクラマチクマモトの商業・公共ゾーンにスポットを当てたいと思います。

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