熊本

地域探訪: 熊本・サクラマチクマモト 雲井通5丁目再開発にも大きく類似要素を持った巨大複合再開発ビル Part1 昼夜問わず美しい外観編



GWの九州遠征の目的で最も訪れたかった施設の一つが、熊本市中央区桜町にある大型複合商業・公共施設「サクラマチクマモト」です。バスターミナルや百貨店等から構成されていた熊本交通センターの再開発によって、2019年に誕生した新ランドマーク。19年のGWに訪問した際はまだ竣工前の状況でしたが、この施設については計画概要が出てきた頃から当ブログでも注目していました。



その最大の理由は、延床面積16万平方メートルにも及ぶこの建物の構成用途です。新しいバスターミナル、商業施設、ホテル、公共ホール、オフィス、駐車場が建物の主要用途となっており、まだ概要がしっかりと固まっていなかった雲井通5・6丁目再開発と高い類似性があり、しかも神戸に先行してプロジェクトが進行していたので、大いに参考になる開発計画として見ていました。



実際に施設を訪問し、その運用状況をようやく見る事が出来た事で、雲井通5丁目の再開発に関してよりイメージを深められたと共にプロジェクトに対する期待も高まりました。



サクラマチクマモトはその独創的でランドマーク性の高い外観デザインや規模が特徴であり、これまでの地方都市の再開発の概念を大きく変える第一級・大都市顔負けの複合施設である事を実感しました。



棚田のように分かれた階層は緑化されており、広大な屋上庭園は建物とは思えない大規模なものです。水平方向に幾重にも重なって優美な曲線で構成されたデザインは緻密に計算されて全体像を形成しています。



敷地の南側に配置された地上15階建ての高層棟も楕円形で、棚田の低層棟に開けており、その主要用途であるホテルの客室から屋上庭園を見渡せる設計となっています。



高層棟の南面の見上げです。丸味を帯びた北面とは異なり、ストレートなラインが対象的です。実はこちらのサイドは、分譲マンション「ザ・熊本ガーデンズ」になっており、159戸が供給されました。



建物を垂直に分けて構成や用途を変える建物が殆どの中、この施設は西面をホテル、東面を住宅と分けた珍しい構造です。住宅という用途は雲井通5丁目には無い要素です。



敷地の西側に配置されている熊本城ホールやバスターミナルの入る公共施設棟。構造は低層部で接続・一体化されていますが、上層部は分かれています。



商業施設の屋上庭園の緑は今後も成長し、ゆくゆくは福岡市の公共施設「アクロス福岡」のようになるのではないかと思います。



サクラマチクマモトの開発と共に再整備された花畑広場。地下には辛島町公園市営駐車場やサクラマチクマモトの地下階と公園を経由して向かいのアーケードのサンロード新世界へと連絡する地下通路が構築されました。



エレベーターによるバリアフリー化された出入口です。



サクラマチクマモト方面に見た地下通路。



サンロード新世界方面に見た地下通路。



この施設は昼間のランドマーク性もさながら、夜間はそれ以上の存在感を放ちます。



棚田調の低層部の階層間がLED照明によってライトアップされています。



中央エントランス前の庇の板フレームにも1本1本にライン照明が入っており、事細かい演出が行き届いています。



熊本都心における新時代のランドマークとしての風格と威厳を感じさせる事を意識した造りです。



この照明は時間帯によっては、色を変化させて点灯します。



県内最大のバスターミナルを併設した施設の為、夜間に到着するバス便もあるので、観光・交通拠点として、ダイニングは23時まで、シネコンは25時までの営業を行っており、ナイトタイムエコノミーにも貢献しています。



熊本市内ではこのサクラマチクマモトとJR熊本駅ビルのアミュプラザくまもと、鶴屋百貨店が、主要大型商業として三つ巴になっています。



ここまで思い切ったデザインはまるで海外の施設のようですが、設計を手掛けたのは、日建設計・太宏設計事務所共同企業体です。



この施設は地方都市で行われた優れた再開発プロジェクトとしても大きな注目を集め、「第22回テナントが選ぶディベロッパー大賞・新人賞」、第63回BCS賞、令和4年度(第19回)土地活用モデル大賞 都市みらい推進機構理事長賞、IFLAアジア太平洋地域(IFLA APR)主催「海外のランドスケープ賞」において<Culture & Traditions>部門の最優秀賞等、数多くの賞を獲得しています。



今回の熊本滞在では、この高層棟に入る「KOKO HOTELS Premier Kumamoto 」に宿泊したので、その様子も含めて、これから館内の詳細についても触れていきたいと思います。

約3ヘクタールもある敷地面積の広さを活かして平面型に施設を設計したサクラマチクマモトに対し、雲井通再開発はどちらかと言えば垂直型になる為、構造面を参考には出来ませんが、施設の構成や内容等では参考になる事柄が豊富にあるかと思います。雲井通再開発も同様に多くの受賞を獲得できるランドマークを目指して欲しいと思います。

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