JR九州はJR熊本駅前を新都心としての機能を与える為、周辺開発を一体的に進めてきました。アミュプラザくまもとは、駅前広場を挟んで、南北に熊本駅ビルとJR熊本白川ビルを建設し、商業、業務、ホテル機能を付与して一体運営しています。
地上11階建てのJR熊本白川ビルは、1-3階を商業ゾーンとし、4-11階にオフィスフロアを配置した延床面積約17,400平方メートルの複合ビルです。
商業ゾーンの核テナントとして、1-2階に家電量販店のビックカメラが出店。3階にはバラエティショップのセリアが入っています。
熊本駅前の立地を活かし、オフィスフロアは満床のようです。熊本市内では新築オフィスビルの需要が高まっており、これもTSMCの進出効果でしょうか。
スカイブルーに染まるカーテンウォールのオフィスフロアと熊本城の城壁を模した基壇部が駅前ビルとしての風格を示しています。
JR熊本白川ビルの背後には、JR九州が整備した第2立体パーキングがあります。同社は駅周辺に3つの立体駐車場ビルを建設し、アミュプラザくまもとや新幹線の利用者の利便性向上を高めました。
JR熊本駅ビルと対峙する形で立つJR熊本白川ビルです。
そして同ビルの足下に広がるのが駅前広場。これらのJRビルや九州新幹線の開通と共に建設された新駅舎と共に再整備が行われました。
大きな敷地を活用し、北側にバス・タクシーロータリー、中央部を歩行者空間と広場及び熊本市電の停留所、そして駅ビルの東側まで食い込んだ南側に一般車用ロータリーが整備されました。
特徴的なのは、バス・タクシーロータリーに沿って構築された上屋です。幅も広く、一筆書きのような形状もユニークです。
これからリニューアル整備が開始されるJR神戸駅前広場でも同様にバスロータリーに沿った上屋や歩行者空間が生まれる予定ですので、熊本駅前広場から学べる事は多いかと思います。
バス乗り場の案内表示類はデザインが統一され、デジタルサイネージ化が進んでいます。
グルリと整備された幅の広い上屋はロータリー内の移動の際にも快適性が高く、雨や強い陽射しを遮ってくれます。
デジタルサイネージの案内表示。時刻表、停留所、時計や路線図、広告等、様々な情報を表示しています。
熊本都心部には、サクラマチクマモトという巨大バスターミナルを併設した複合施設(後日レポート予定)がありますが、主要玄関口である熊本駅前も大きなターミナル性を有しています。
駅前広場には珍しく公共トイレも整備されました。上屋の下に丸い形状・コンクリート打ち放しのお洒落なトイレです。
中央部はバス・タクシーの待機エリアです。
バスロータリーの上屋とは連結していませんが、熊本市電の熊本駅電停もホームから駅ビルまでを繋ぐアプローチには全て上屋が整備されています。
この乗り場も案内表示のデジタル化が行われており、来街者も迷う事なく交通機関を利用できるように配慮されています。
日本の気候はこの10年で大きく様変わりしており、特に夏場の陽射しは大きな障害になりつつあります。駅前の移動はなるべく陽射しを避けて行える事は利便性の向上にも繋がります。
これまでは単なる交通玄関でしかなく、来街者も地域住民も通り過ぎる空間でしかなかった熊本駅前は、訪れる場所・滞在する場所に変貌を遂げました。駅前広場の再整備のみだけでは、継続しての集客効果は見込めないので、広場と共にその周辺の再開発による相乗効果によって活性化が図られなければならない事を示していると言えます。
地域探訪: 熊本・JR熊本白川ビルと大きな上屋付きの再整備された駅前広場 神戸駅前のリニューアルでも参考にしたい
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