九州新幹線の全線開通に伴い、新幹線駅の新設と共に在来線駅も高架化されたJR熊本駅は今春、その駅舎を一新しました。建築家・安藤忠雄氏が設計した新駅舎はこれまたやはりシンボルである熊本城をデザインコンセプトとして採用。
熊本城の石垣に用いられている「武者返し」を駅舎の壁面で表現しています。神戸とは異なりこうした和のシンボルが存在する都市はその街の「らしさ」を具体的に表現しやすく、また素直に受け入れられる点はアドバンテージかと思います。
建設中の駅ビルにも共通し、エントランスもシンプルでシックな装いです。
そして駅にもその人くまモンは健在です。ここまで定着したご当地キャラは未だかつて存在しないでしょう。くまモンが使われなくなるという事も、もはや考えられません。
コンコース内も随所に熊本城から派生した和のテイストやアクセントが散りばめられています。
駅ナカ商業施設は肥後よカモン市場と名付けられ、7,500平方メートルの床面積に全60店舗が出店。物販、飲食、土産物、サービス店舗が集い、観光拠点としての機能を色濃く反映しています。
観光総合案内所も整備されています。壁面も熊本城を意識したデザインです。
やはり新幹線の開通は地域経済に力強さを与えます。九州も金沢も新幹線によって大きく変貌を遂げ始めて、そのアクセス性の良さが更にインバウンド需要を高めている形です。首都圏一局集中に変わりはありませんが、地方都市も座して衰退を待つのではなく、攻めに転じられる環境が整いつつあるのです。
こうした傾向は特に西日本の都市に顕著に表れています。
5年後にはこの熊本駅周辺がどう変わっているのかを想像すると楽しみです。しかし多くの都市で起こり得るのが、駅周辺の拠点性が強まると、離れた既存中心市街地に大きく影響を与えるという点です。競争力に劣るこうした中心街が対抗するにはやはり再開発によって巻き返しを図る以外に方法はありません。時と共に街の中心が移る事は不可避です。地域探訪・熊本シリーズの最終回は既存繁華街にスポットを当てたいと思います。
地域探訪: 一新されたJR熊本駅 熊本城をイメージした内外装を纏ったターミナル
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今まで見たもので1番現在の熊本の市街地再開発を紹介して頂いていると思います。
現地で働く者としてありがたいです
個人的な感想を少し。
①鉄道ファンでもあるのですが、新熊本駅は少々地味な印象でしたただ、駅ビルが少々派手な物になると聞いていますので、バランス的には良いのかなと。飽きが来ないとも思えます。
②持続するため、他の施設が競争のため再開発を行うのは当然なのでしょうが、人口減少の時代に出来ることは限られて来ますので、各施設の接続時間を短縮することで共存を図った方が良いと考えます。具体的には市電の輸送力アップと熊本駅中心市街地間を白川沿いにバイパスして時短など。
③肥後よかモン市場はとても良いスタートをきったと思います。何度か利用しましたが、人気店は遅くまで賑わっており、従来の駅の雰囲気を一変することが出来ました。今後もテナントのテコ入れや駅ビルとの連携で滞在型施設を目指して欲しいと思います。