名古屋市の都心商業地・栄地区は錦三丁目25番街区で始動した大規模再開発プロジェクト。名古屋市が保有していた土地の高度利用を進める為、民間事業候補者を募り、三菱地所を代表企業とし、日本郵政不動産株式会社、明治安田生命保険相互会社、株式会社中日新聞社が構成企業とする企業グループを優先交渉権者に選定し、同コンソーシアムによる再開発が着工しました。
計画されている建物は地上41階 地下4階 高さ211mの超高層ビルで、地下階から低層部に大丸松坂屋百貨店による商業施設、4-6階にシアター、9-25階をオフィス、7-8階と26-36階を外資系高級ホテルという複合タワーとなり、栄地区最高層のランドマークとなります。
低層部の商業施設には「パルコ」による高級商業施設が入居する予定です。シネコンにはTOHOシネマズが進出。最上部のホテルにはヒルトンの中でも最上級ブランドの一つであり、東京、大阪に次ぐ日本三番目のコンラッドが開業します。
栄には大丸松坂屋百貨店の最重要旗艦店である松坂屋名古屋店が立地する他、パルコも複数の建物に分かれて存在し、Jフロントリテイリングの本丸として機能しています。その栄に新たな業態の高級商業施設の運営をパルコが担う事になります。
商業施設の最上部4-5階には商業施設、シネコンロビーと隣接した屋上広場が設けられます。久屋大通公園を望む新スポットになるでしょう。
12-30階を占めるオフィスフロア。 12階は3層吹き抜けのスカイロビーが設けられます。15-30階には総貸付面積約25,000平方メートルが供給され、基準階面積約1,600平方メートルに上ります。名駅エリアに対抗する高グレードオフィスとなるでしょう。
このビルの誕生によって栄地区初の200m級の超高層ビルが聳える事になる他、昨日ご紹介した中日ビルと共に、名駅一辺倒だった名古屋の都心に二つの高層ビル群が出現する布石が次々と打たれています。
(仮称)錦三丁目25番街区計画
事業主体 三菱地所株式会社、株式会社パルコ、日本郵政不動産株式会社、明治安田生命保険相互会社、株式会社中日新聞社
敷地面積 4,866.40㎡
建築面積 4,620.07㎡
延べ面積 109,679.74㎡
最高高さ 211.7m
規模 地下4階 地上41階
構造 鉄骨造(一部鉄骨鉄筋コンクリート造)
用途 オフィス ホテル 商業施設 シネコン 駐車場
設計 株式会社三菱地所設計、株式会社竹中工務店
施工 株式会社竹中工務店
完成予定 2026年3月
この錦三丁目25番街区や中日ビル以外にも栄地区では、複数の大規模再開発構想が進行しており、名駅の勢いに歯止めを掛けようとするが如く、復権に向けての準備を着々と整えています。
名古屋三越栄店の入るオリエンタルビルも建て替えによる再開発を検討しています。
構想中の建物は地上34階 地下4階 高さ180mで、再び三越が出店する他、中層部にコンベンションホール、高層部に高級ホテルの誘致を行う検討をしており、2024年を計画を固める目処とし、2029年までに建て替える方針です。
名古屋・栄の老舗百貨店「丸栄」が閉店し、その跡地には大和ハウス工業が暫定商業施設を開業した他、その隣には栄ロフトやユニクロを中核テナントとした商業施設「スカイル」も老朽化が進みます。いずれはこれらの施設も再開発される事が必然でしょう。
久屋大通にもまだまだ再開発を待っている状態の土地が散見されます。
また「セントラルパークアネックス」も昨年10月に閉館しました。東急ハンズANNEX店や無印良品が入居していた商業施設でしたが、老朽化と競争力の低下から閉店を決断。今後については地権者と協議中です。
名古屋駅周辺ではリニア新幹線の乗り入れ工事も着々と進行しており、名駅の拠点性にますます拍車が掛かる状況ではありますが、栄の巻き返しはまだ緒に就いたばかり。今後の展開次第では名駅を凌ぐ勢いにまで達する可能性も十分にあるでしょう。