JR名古屋駅前に2017年に竣工した「JRゲートタワー」はJR東海が開発した地上46階、地下6階、高さ220.0mの超高層ビルです。延床面積は265,010平方メートルの巨大ビルで、隣接して立つ駅ビルのJRセントラルタワーズと合わせて圧巻のタワーシティを構成しています。
建物は地上15階の基壇部の上にオフィスとホテルから構成される高層棟が乗る形です。この基壇部には高島屋の運営する商業施設「タカシマヤ ゲートタワーモール」や他テナントが営業している他、1階にバスターミナルを備えており、三宮・雲井通5丁目の再開発ビルとの共通点も多い建物です。
1-2階に設けられた巨大なキャノピーの下に地下階との垂直動線が設けられています。
キャノピー下の巨大なサンクンガーデンは半屋内・半屋外のイベント広場としても機能しています。
キャノピーはガラスをメインとしているので、自然光が降り注ぐ明るい空間です。
JRゲートタワーのメインエントランスは2階レベルに設けられおり、同タワーの建設と共に2階レベルでセントラルタワーズとも接続する一体的なデッキが整備されました。
商業施設には地下1階~8階部分に「タカシマヤ ゲートタワーモール」、9〜10階にビックカメラ、11階にユニクロ・ジーユー、12〜13階はJRセントラルタワーと連続した「ゲートタワープラザ レストラン街」が広がります、
オフィスとホテルのタワー部は奥まった位置にあるので、地上から見上げても距離をかなり置かないと見えてきませんが、高さは220mもある超高層ビルです。商業施設の低層部自体の高さが100m近くある巨大な箱です。
見上げる位置を変えると、隙間から聳えるJRゲートタワーのタワー部が見えます。駅の反対側となる太閤通口からは巨大なJRゲートタワーの全体像しっかりと見えます。
JRセントラルタワーズの低層部と一体化されたJRゲートタワー。12-15階は完全にフロアが一続きになっています。それより上階には3つのタワーが載る形状で、ギネス世界一の駅ビルを更に増床した形です。
JRゲートタワーの2階メインエントランスです。3層吹き抜けのアトリウム空間が外から内へと連続します。
エントランスを入ると更に一直線に続く開放的なアトリウム。このまま隣接するJPタワーまで通路は途切れる事なく続いていきます。
両側に商業施設を抱え、空中には回遊動線の渡り廊下が設置されています。
タカシマヤ ゲートタワーモールのエントランスはアトリウム内に2箇所設けられています。高島屋の増床部分ではありますが、テナント構成はアパレルやカフェ等で占められ、上質なファッションビルの様相を呈しています。
15階のスカイストリートまでワープします。商業施設から更に上層階への切り替えフロアとして機能する共用部です。
この階には日本一高い場所に位置するスターバックスコーヒーであるJRゲートタワー店が営業しています。因みに1階にもゲートタワーモール店があるので、同じ建物内に2店のスタバが存在します。
屋内のアトリウム席と屋外のテラス席があり、双方から駅前広場を中心とした地上70mからの名駅の眺望が開けます。
この眺望を楽しむ事を目的とした来館者も多いでしょう。平日はタワー部のオフィスワーカーの利用が中心なのかもしれません。
テラス席は緑の多い心地よい空間です。
その奥に広がるアトリウム空間。屋上庭園もある為、とても15階とは思えない静寂で厳かな雰囲気です。
奥にはタワー部の18〜24階を占めるJR名古屋ゲートタワーホテルへのエントランス。JRセントラルタワーズの名古屋マリオットアソシアも運営するジェイアール東海ホテルズがこちらもオペレーションを行っています。
屋上庭園はホテルの共用施設の一部です。雲井通5丁目のバスターミナルI期ビルも10階に図書館、屋上庭園に面したオフィス・ホテル階へのスカイロビーが設けられる計画です。このJRゲートタワーのような美しい空間になる事を期待したいですね。
中央右手に進むとエスカレーターがカンファレンスゾーンに誘います。300名収容のホールや会議室が備わります。
右手奥がオフィスゾーンのエントランスとのります。この建物は珍しくホテルが中層階、オフィスが高層階に配置されています。
エスカレーターを下ると、レストラン街に直結します。
1階に整備された名古屋市交通局の名古屋駅バスターミナルです。JRゲートタワーと隣接するJPタワー間に跨っています。
バスターミナルはほぼ名古屋市バス専用になっており、中長距離バスは乗り入れていません。雲井通5丁目の新バスターミナルは逆に中長距離バス専用となり、市バスは乗り入れない予定です。
ターミナル内は、待合空間とバス停車場がガラスで仕切られており、ビル内ターミナルで乗客が直接、排ガスや風に晒される事はありません。このターミナルは乗車専用です。
待合空間にはベンチ等が設けられていますが、空調が整備されている訳ではないので、気温はビル内のより低めです。
エスカレーターを上がると、JRゲートタワー内にアクセスします。
神戸市は雲井通の再開発で中長距離バスのターミナル集約化を図りますが、駅周辺に散らばる市バスの停留所についての指針は示していません。バース数としては、再開発ビル内は中長距離バスで埋まってしまうのであれば、別途、市バスのターミナル整備の必要性も感じられます。これはJR三ノ宮駅北側の再開発と駅前広場の再整備で検討すべき課題かもしれません。
JRゲートタワーの北端に市バスターミナルのバス専用出入口があります。この構内に降車エリアがあります。
図書館や大ホール等の公共施設、商業施設の規模を除けば、建物構成としては、このJRゲートタワーと雲井通5丁目バスターミナルI期ビルは多くの共通点を抱えています。
雲井通の再開発ビルの運営状況を想像するのに良いモデルケースになる建物かと思いました。既に開業から早くも5年が経過していますが、まだまだ最新の複合駅ビルとして名駅地区を牽引しているように見受けられました。
JRゲートタワー
所在地 :愛知県名古屋市中村区名駅一丁目1015番15他
事業主 :東海旅客鉄道株式会社 ジェイアールセントラルビル株式会社
敷地面積:11,695.14㎡
建築面積:10,495.49㎡
延床面積:約260,000㎡
構 造:鉄骨造一部鉄骨鉄筋コンクリート造
規 模:地上46階 地下6階
高さ :211.1m (最高高さ220m)
主要用途:商業施設 オフィス ホテル バスターミナル 駐車場 駅施設
設 計:名古屋駅新ビル(仮称)実施設計共同企業(大成建設・日建設計・ジェイアール東海コンサルタンツ・
施 工:名古屋駅新ビル(仮称)新設他工事共同企業体(大成建設・鹿島建設JV)
竣 工:2017年2月
https://www.towers.jp/jrgt-outline/
JRゲートタワー公式サイト