ポートアイランドII期

JUNポートアイランドビルの解体開始と神戸ファッションタウン周辺の将来性


ポートアイランド地区にある「旧JUNポートアイランドビル」。安藤忠雄氏が設計した鉄骨鉄筋コンクリート造4階建てのオフィスビルで、1985年に竣工しました。80年代のDCブランド躍進を牽引したブランドが、神戸のファッションタウンに拠点ビルを構えていた事が往時の勢いを感じさせます。



しかし長年、閉鎖されたままのビルは経年劣化が進んでいました。神戸ファッションタウンの斜陽をある意味、静かに見つめ、体現してきたこの建物と土地を大東建託が取得。解体を発表しました。



同社は、当初、ビルの活用を検討したようですが、経年劣化の進行、耐震性能や長期的な安全性、将来にわたる維持管理の観点から、解体の上、新たな建物の建設を計画しています。



計画される建物は、同社グループが目指す未来を広く発信する情報発信拠点を構想しており、西日本におけるグループのハブ拠点として、住まいや暮らし、まちづくり、環境への取り組みなど、グループが目指す未来を広く発信するとともに、地域社会との接点を創出する場としての役割も担う事を想定しているとの事。

既に東京で、「ROOFLAGルーフラッグ賃貸住宅未来展示場」を運営している同社。賃貸住宅経営の未来に向けた当社の考えや取り組みをショールーム機能を備えた展示棟や、当社賃貸住宅商品のモデル棟、最新の技術を伝える研究展示が特徴の施設です。設計はMOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIOが手掛け、建築としてもかなりの拘りようです。

JUNポートアイランドビルの有していたコンセプトや役割をある意味、継承しながら新たな機能を付与した新拠点として、建築的価値を高めた建物になる事が期待されます。



ポートアイランドはファッションタウン周辺地区を中心に、大手企業の島外移転が相次いでおり、業務地区として地位低下が懸念されています。既にアシックス、サンテレビが都心に移った他、心配されていたファッションタウン内で最大規模の拠点と従業員数を抱える象徴・ワールド本社も移転を決定。既にビル本体は売却済みで、リースバックで賃貸として業務を継続しており、28年には移転を完了させます。しかしこのビルを買い取ったのも大東建託でした。



ワールドという重鎮を欠き、アシックスも抜けたこの業務地区は、既にファッションタウンの名を継続するのは難しい状況となっています。まだJAVAグループが本社やブランドビルを保有していますが、島外移転を実行する可能性はあるのでしょうか。またアパレルではないものの、ファッション関連のノエビアやシャルレ等の企業がどう動くのか。因みにまた少ない事例ではありますが、シャルレは須磨区から寧ろポートアイランドに本社を移転しています。



ただアパレル系企業の退出が続く一方、エリアには食品関連企業の本社も多く存在します。UCC上島珈琲を筆頭に、ユーハイム、フジッコ等の企業はポーアイに根を張っているように見受けられます。アパレル企業ほどイメージ先行ではなく、また工場併設型の本社であれば尚更そう簡単には移転する事はできないでしょう。



企業本社の流出は続いているものの、建物が著しく老朽化を迎えない限り、一定数の企業本社も残り続けるのではないかと思われます。そして何よりもワールド本社ビルを手中にした大東建託が、この高層オフィスビルをどのように活用するのか。近隣に情報発信拠点を整備し、更に周辺の遊休資産を買い取る可能性もあるでしょう。「地域活性化に貢献するような開発を検討している」とコメントを発しています。



先週、神戸ポートビアホテルで食事を楽しんだ際、ホテル内やレストランが非常に賑わっていた事にある種の新鮮さを覚えました。建物外はどちらかと言えば、静けさが際立たますが、内部は非常に活気がありました。



ワールド本社ビルをホテル施設にコンバージョンし、外資系ブランドを誘致する事が可能であれば、ポートビアホテルとの相乗効果で、周辺に活気を生み出すかもしれません。MICE・コンベンション機能の強化がエリアの新たな発展の道筋となるやもしれません。ホテルパールシティのマリオットによるコートヤード化はその流れに乗ったものとも捉えられます。神戸国際展示場の建て替えも視野に入る中、国際カンファレンス都市としての確固たる座を射止めたいものです。

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