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地域探訪: 大阪・梅田3丁目計画(仮称) 日本郵便・JR西日本・JTBによる40階建・延床面積229,000㎡の巨大超高層複合ビル計画

JR大阪駅前の一等地に存在していた大阪中央郵便局。郵政民営化によって日本郵便が再開発の為に同局を移転させ、既存建物を解体しました。しかしその後、着工する機会を逸し続け、東京、名古屋、福岡で各地の中央郵便局跡地を活用してJPタワー/KITTEが開業する中、大阪のみは塩漬け状態を継続し、広場として暫定利用を行う等、今のJR三ノ宮駅を彷彿させるような状況が約10年に渡って続いていました。



しかし昨年9月末、とうとうこの再開発プロジェクトが始動しました。再開発は郵便局跡の東側とJR西日本傘下の大阪ターミナルが保有していた立体駐車場の「アクティ西ビル」跡地、そして大弘ビル跡地を集約した12,893平方メートルもの土地に複合機能を有する超高層ビルを建設する「梅田3丁目計画」として、日本郵便、大阪ターミナルビル、JTBの3社による共同プロジェクトが着工したのです。



1.2ヘクタールの敷地に9,800平方メートルの建築面積を充当し、地上40階 地下3階 塔屋2階 高さ188.0m 延床面積229,000平方メートルの巨大複合ビルが計画されています。建物低層部は商業施設と劇場、中高層部はオフィス、最高層部はホテルという構成です。建物は東西に幅広く、巨大な壁のようなビルで、11~27階を占めるオフィスフロアの基準階面積はなんと4,000平方メートルという驚愕な規模です。



仮囲いに掲示されている建築計画のお知らせです。



完成時のJR大阪駅に面する東側のファサードの様子です。一等地を華やかに彩ります。地下1階~地上6階の低層部を占める商業施設には4.4万平方メートルもの床面積が割かれます。29~38階の高層部には約400室のハイグレードホテルを設けます。誘致されるホテルは未定ですが、外資ブランドのフラッグシップホテルになる事は間違いないでしょう。



商業施設内の中央部に整備される吹き抜けのアトリウム。このアトリウム内にて旧局舎の一部(かつてのロビー部分を含む正面側)を保存・移設したシンボリックな空間が生まれる予定です。



その旧局舎の一部が保存されているのが、上の写真右側にある巨大なブルーの箱です。曳家によってこの保存部をアトリウムが設けられる場所に移設されました。



5~8階に整備される劇場は1,200~1,300席を確保。MBSメディアホールディングスが運営を行い、演劇、ミュージカル、音楽、演芸等、国内外の一流エンターテインメントを届けるシアターを開場します。



この巨大複合ビルの現場は竹中工務店・西松建設・錢高組のJV施工で建設工事が進められています。竹中は近隣で梅田1丁目1番地計画(延床面積260,000平方メートル)も建築中で、関西では巨大ビル施工の先駆者です。多くのクローラークレーンや三点式パイルドライバが投入されています。あちらこちらでケーシングチューブを吊り下げています。巨大な安定液プラントが幾つも見えます。



この計画といい、北側で着工したJR新駅ビルといい、建設がかなり進んでいる梅田1丁目1番地計画、そして遂に始動したうめきた二期も加わり、梅田の独走化がここに来て一気に進んでいます。これらの原動力はまさに昨年まで活況を呈していたインバウンド需要とその延長線上にある大阪万博ですが、これから創出される膨大な床を満たす需要が今後、本当にあるのか、既存施設との競合は熾烈を極めるのではないか、そして大阪市内の他エリアを含む関西一円から需要を吸い上げるのでないかという懸念も感じざるを得ないのも正直なところです。
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