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神戸市は三宮駅南側周辺の再整備の一環として駅や周辺の再開発ビル、既存ビル間の回遊性や動線の改善を目的とした歩行者デッキネットワークの再編を計画しており、デッキ開発を雲井通5丁目再開発のバスターミナルI期ビルの完成に合わせて完成させる予定です。このデッキについてこの度、神戸市は設計者をコンペによって決定する事とし、提案の公募を公告しました。
提案者には「新たな神戸の玄関口にふさわしい上質で洗練された空間をつなぐ歩行者デッキ」をテーマとし、単なる歩行者空間の整備に留まらず、デザイン性や、滞留空間、三宮クロススクエアを臨む視点場、周辺建物と一体となった賑わいを創出するデッキの設計案が求められます。今回の設計競技の対象となるデッキは
- 税関線横断デッキ(フラワーロードを跨いでJR駅ビルと神戸交通センタービルを連絡)
- JR南デッキ(JR駅ビルの南側からミント神戸前を連絡)
- 新バスターミナル前デッキ(ミント神戸前からバスターミナルビルを連絡)
今回のコンペ対象デッキは全て屋根の設置が想定されていますが、中央幹線を跨ぐ二本の橋には屋根は設置されません。デッキの幅員は6mを基本とし、滞留空間の整備に対してはそれ以上の大きさも認められるようです。
地上からデッキへのアクセスポイントです。階段とエスカレーター、一部にはエレベーターの設置も予定されています。
屋根付き駅前デッキの参考例として明石駅前のデッキの様子です。
そして同じく屋根付きデッキの一例として姫路駅前の歩行者デッキです。
デザインデッキとしての参考例として天王寺駅前の阿倍野歩道橋。こちらもデザインコンペで決まった例です。
以前、示されていたデッキネットワークのイメージ図です。まだJR新駅ビルの概要が明らかになっていない事から駅前広場を含めた空間の整備については提案者も空想しながら必要な空間の確保やデッキのデザインを考慮する必要があります。
税関線横断デッキとその他のデッキの間には垂直差が存在します。高さで2階と3階レベルの差となり、この連絡について以前は三宮ターミナルビル前の階段で対応していました。バリアフリー設計が必要になる為、新デッキではエスカレーターやエレベーターでの解消が必須です。また各ボイドにて三層ネットワーク間の移動ができるような設計も求められます。
今後のスケジュールですが、まず設計コンペは1次、2次審査を経て来年5月末までに最優秀提案者が決定します。それぞれのデッキについても着工時期が異なっています。最も早く工事に着手する税関線横断デッキは来年度には詳細設計を終えて、2022年度より着工します。その他のデッキは2023年に着工し、順次、接続予定の建物と共に完成を迎える予定です。デッキの再編と併せて三宮クロススクエアの第一段階の整備工事も着手するものと思われます。これらの整備を進める上でもJR駅ビルの早期計画確定が必要です。せめて敷地計画が確定されれば、少なくとも駅前広場の整備は始められます。さんちかのリニューアルについてもJR駅ビルに設計を左右される要素が多分にある為、同ビルに三宮再整備の進捗が引きずられている様相です。何はともあれ、先行する駅北側の開発に対して、南側でも具体的な工事の着手を早期に望みたいものです。
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三宮駅周辺歩行者デッキのような公共施設の設計競技が公告出来るということは、国交省兵庫国道事務所との協議事項も終了し、水面下では少なくともJR西日本の三ノ宮駅ビル低層部分の建築計画との大まかな擦り合わせも出来ているはずだと思いますので、それ自体は歓迎すべき事です。
ただ今回のコンペでは 「新たな神戸の玄関口にふさわしい上質で洗練された空間をつなぐ歩行者デッキ」 として機能やデザインを要求しながら、結節点としてほとんどのデッキと接続する肝心の三ノ宮駅ビルのデザインや施設内容は公開されず、ベールに包まれたままなのはまことにコンペとして片手落ちです。
コロナ禍で経営環境が激変したJR西日本が今後の事業と資金計画を見直すことは当然であっても、一方ではJR三ノ宮駅ビルは三宮周辺6駅を結ぶ中心施設として大きな公共性を持っています。神戸市に於いては市民や周辺地域のすべての利用者の利便や利益を考慮し、民間企業の事業だとしても長く中断することなく推進出来るよう一定の協力や指導力を発揮すべきです。残念ながら影の薄い現市長を筆頭に神戸市の一連の施策を見ると将来への危機感やそのための都市戦略には疎いと思うばかりです。
将来の成長インフラであるはずの神戸空港へのアクセス(乗り換え利便)も今以上に不便なまま暫く放置されるようなことにでもなれば、神戸市は行政としての無力無能を広く晒すことになってしまいます。願わくはこの設計競技と共に全体事業も短時間での軌道修正で乗り切り、遅れる事無く推進してほしいと思います。
大阪駅北口とグランフロントを結ぶスカイデッキと広場の開放感、一体感が個人的にお気に入りです。
何故、三宮はバラバラにデザインするんでしょうかね。
大人の事情がありそうですが、一体的に取り組んで欲しいものです。