JR・山陽垂水駅の北側で計画されている垂水中央東地区第一種市街地再開発事業。野村不動産が事業協力者に決定し、都市計画決定も済ませ、事業着手に向けて準備を進めてきましたが、8月末に再開発組合が設立され、神戸市がこれを認可しました。2010年の再開発準備組合設立から10年。紆余曲折しながらもようやく来年度の着工に向けてプロジェクトが始動します。
計画では垂水廉売市場や垂水センター街の東側部分を含めた敷地約0.7ヘクタールを対象として、ここに地上30階 高さ102m 延床面積約40,500平方メートルの再開発ビルを建設します。低層部は商業・生活利便施設、中高層部は約280戸の共同住宅が配される構成です。
垂水駅周辺は神戸市が人口減少対策の目玉として進めている「リノベーション神戸」における最重要開発拠点のひとつです。この垂水中央東地区第一種市街地再開発に加えて垂水小学校の建て替え、垂水体育館の建設、駅前広場に垂水図書館の新設等を計画しており、駅前の拠点性や競争力を高めて人口集積を図る狙いです。
垂水駅前では垂水中央東地区第一種市街地再開発地区以外のエリアも小さな木造商店やビルが密集し、防災の観点からも再開発が望ましいとされており、中央東地区の開発の成功後には他地区も追従する可能性が高いものと思われます。
都心地区ではタワーマンションの建設が事実上規制されてしまった神戸において垂水のような郊外拠点での大規模再開発によって新たなタワーマンションの出現エリアがシフトするのかもしれません。ただ集中するとすぐに規制に乗り出神戸市ですので垂水の武蔵小杉化は実現しないでしょう。
再開発組合設立は大きな前進ですが、現状の現地ではまだ具体的な動きは見られません。2024年度の完成には計画通り来年度からの既存建物解体着手できるかどうかに今後のスケジュールが左右されるでしょう。
垂水中央東地区第一種市街地再開発事業 組合設立 来年度にいよいよ着工へ!2024年度の完成予定
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この再開発案件、いくらなんでも時間をかけすぎているように思います。
ここまで来ると、本当に2024年度に竣工しているかどうか疑問です。
商店街は商店街振興組合法で政府から補助金を交付してもらったり、大規模小売店舗法で大型店などの出店を規制させたり、長期にわたって利権の温床であり続けた経緯がありますので、立ち退き依頼も簡単ではないということかもしれません。
また、神戸市が計画しているリノベーション神戸では垂水の住居地域の再整備対象は駅前のこの地区だけのようですが、しん@こべるんさまが仰る通り、この地区の再開発が呼び水となって駅前の他の土地もマンションとして高度利用しなければ焼け石に水になりそうです。
垂水の場合駅から北に住宅地が広がっていて、その住宅地がスプロール化しているのでは人口は増え様がないように感じました。
この辺り、同じく最重要拠点に指定された名谷・西神中央とは大きく事情が異なります。
垂水駅の北側一帯はスプロール現象を解消すべく、区画整理をする必要があるでしょう。
人口も減少していて空き家も増えている昨今ですので、区画整理にはチャンスであると考えることもできます。
垂水駅から北に伸びる商大線は以前に比べると格段に車が通りやすくなっているので間違いなく改善していますが、垂水駅ー高丸ICー舞多聞・小束山ー学園都市の間は路線バスに頼りすぎています。
垂水ー学園都市間の南北の交通量を考えるとせめてBRTかLRTが欲しいところですが、これも難しいかもしれません。
実際、学園都市から舞子まで地下鉄敷設計画もあったようですが、山陽バスなどの反対で頓挫しているようです。
現行で路線バスを走らせている会社からすると既得権益化しているのでしょうね。
同じような例で言うと、神戸商工会議所から新たに敷設依頼されている神戸空港への鉄道も、ポートライナーを運行している神戸新交通からすると「既得権益を阻害する邪魔者」でしかないのでしょう。
南北の交通がだめなら、いっそ東西方向に板宿あたりから地下鉄西神線を分岐して第二神明の下に地下鉄南西神線を通せると、利用客数は間違いなく確保できるでしょうし、沿線駅前にはマンションも建って垂水区の人口も増加するでしょう(垂水区は阪神淡路大震災での人口減から回復できていません)。
垂水区では海沿いに山陽とJRが通っていますが、この2本の路線が近過ぎる上に、いずれの沿線も南側は海で、北側にしか居住地区が確保できていない鉄道の偏在を南西神線で補う案です。
今から計画を考えておけば南西神線完成の頃には自動運転車が実用化されているでしょうから、駅から自宅までのラストマイルも解決できると考えた次第です。
ただ、震災の負債や海岸線の赤字が重くのしかかっていますし、そうでなくてもそこまで思い切った郊外の交通網改良は今の神戸市政に期待できそうにないのが残念です。
神戸の有権者も弱気で海岸線のような失敗を強く恐れています。
この神戸の様相は、市営地下鉄ブルーラインの延伸を計画している横浜市とは対照的です。
実は規模縮小の代替案として「高丸ICから舞多聞・小束山の間を起点にして三宮まで直通の高速バスを走らせてはどうか」と書こうとしたところ、既に似たような高速バス路線が存在していました(笑)
本数も多いし、バスと電車を乗り継ぐことを考えると料金も妥当で便利ですよね。
やはり第二神明沿線はJR・山陽からも、地下鉄西神線からも遠いので、三宮への交通需要は大きいです。
そういう意味でこの地下鉄南西神線案は夢物語ではなく、上記高速バスでの供給が追いつかなくなったころには、上記の南西神線も検討されるかもしれません。
当初私も「まあ、夢想程度に」と考えていたのですが、調べていくと「今は無理でも、震災の負債や海岸線の赤字が解消したころには十分にあり得るな。高倉台、塩屋北町、ジェームス山、神陵台…なんぼでも需要あるわ」と考えるようになりました。
三宮へは高速バスで!(山陽バス)
http://www.sanyo-bus.co.jp/highway/direct_sannomiya.html
いずれにしても郊外の交通網の改良普及は、「三宮に居住させたくない。郊外のに居住しろ」と主張する神戸市の責務であると考えます。
三宮など市街地のマンション建設を規制しておきながら、郊外への誘導を怠っていると、人口は西宮や明石に流れていくだけです。