都心風景

元町商店街4丁目から見えたポートタワーについて

元町商店街4丁目付近の南北を貫く裏通りからポートタワーが見えなくなった件について取り上げたいと思います。老朽化した雑居ビルを高さ45mの賃貸マンションに建て替える建設工事が進行中です。以前の建物よりも倍以上の高さになる為、これまで見えていたポートタワーが隠れました。



今でも道路の左端に寄ると半分程、ポートタワーが顔を覗かせます。

マンション建設がスタートしたばかりの頃に撮った以前の様子です。浜手バイパスに塔の一部は遮られていますが、ある意味奇跡的に通りの中央部にタワーが聳えていました。通りからタワーが見えていた事実は素晴らしいのですが、通り自体は景観云々を語れる程、褒められたものではありません。幾多もの電線によってタワーが遮られてもいました。



今回の件でまた景観条例の厳格化や追加施行を目指すようなおかしな風潮にならないか心配です。点で景観をコントロールする事の不合理性はこれまでもヴィーナステラスやしおさい公園を眺望点とした高さ規制にて口を酸っぱくする程、述べてきました。今回、当該マンションを建設している事業者には非はありません。



私は寧ろポートタワーが見えなくなった事よりもタワーを見えなくさせる存在が賃貸マンションである事に懸念を覚えます。界隈では少なくとも4棟の賃貸マンションが同時に建設されています。この界隈を賃貸マンション街へと急速に変貌する事を許容し続けている市には一定の責任があると思います。



みなと元町駅の西側出口も第一銀行の保存外壁の背後に賃貸マンションが建設されました。このマンションは1階にパティスリーカフェを入れた物件なので、街の賑わいに貢献していますが、そうでない賃貸物件が乱立しているのが乙仲通、栄町通界隈です。建て替えられた後の建物が低層の店舗ビルであればタワーの姿を継続して望む事も出来たかもしれませんが、そうした建物では採算が合わない街・エリアになってしまっています。

タワーが見える事を売りにしようとしていた商店街の方々には気の毒ですが、ただ街は生き物です。このマンションも数十年後には再び取り壊される日が来ます。大都市の一定期間の中であれが見えなくなる、これが見えなくなると言い出せばもうキリがありません。



タワーマンション規制によって都心の住宅街化を抑制すると神戸市は意気込みますが、そもそもタワーマンションによって居住区化された都心の市街地面積と賃貸マンションによって占められる面積を比較すれば、自ずとどちらが都心の賑わいを住宅化によって奪っている存在なのかは一目瞭然でしょう。



今回、話題となった通りの一本西の通りの歩道にはポートタワーを彷彿とさせる形状の鉄製のポールが立ち並んでいます。



ちなみにこの通りからはポートタワーは見えません。厳しい景観条例が街の景観を保ち美しく変える事に本当に効果をもたらしているのかには疑いの余地があります。特に高さ規制はその急先鋒です。
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POSTED COMMENT

  1. kkbb より:

    京都では先日、大文字の送り火が催されましたが、実は町中からは送り火が見えにくいのです。
    戦前の京都の街並みだったら簡単に見えたでしょうが、いくら高さ規制しても周囲の山並みが低山なので人混みができると、見物客が歩道から溢れて危ないです。
    町中から景観を唱えると都市計画で見え方が変化していくことを将来考えないといけませんね。
    ちなみに大文字の送り火が見えにくいのは数十年前からです。

  2. 摂津国人 より:

    神戸と同じく港町として栄えてきた香港では超高層ビルが立ち並んでいて、香港島から見たビクトリアピークの稜線を超えるビルも存在しますが、それが景観を乱しているとの指摘は聞いたことがありません。
    「ポートタワーが見えないのが問題」との指摘があるようですが、ポートタワーは建造されてからわずか50年少ししか経っておらず、平安時代の大輪田の泊から現在まで神戸の歴史の中でポートタワーが存在しない期間の方が圧倒的に長いです。
    ポートタワーが見えることは、都市としての新陳代謝と発展よりも優先しなければならないほど重要なものなのでしょうか。
    記事内でも仰ってですが、都市はその時代に合わせて変化していくものなので、現状維持は神戸の新陳代謝を阻害し衰退を許容することにつながります。

    以前も申し上げておりますが、神戸の場合高さ規制よりも、看板などの規制や電柱・電線の地中化を進めことをご提案申し上げます。
    既に神戸市でも看板規制がされていますが、記事内の写真の「カギ」の看板などはさすがに景観によくないように思います。
    例えば私が京都在住時によく行っていたバーではこのような看板を用いています。
    https://tabelog.com/kyoto/A2601/A260201/26001147/dtlphotolst/4/smp2/
    おそらく神戸でも同じような看板が景観の向上に貢献するのではないでしょうか。
    栄町通りのカフェでも景観を乱さないように、小さいもののオシャレな看板がよく設置されています。

    電線については、同じく京都では景観の保持のために先斗町の電柱を取り払い、電線やガス管などを地中に埋設しています。
    新工法「小型ボックス活用埋設方式」を採用した「先斗町通無電柱化事業」の状況(Re-urbanization 再都市化)
    https://saitoshika-west.com/blog-entry-6200.html
    ヨーロッパでも同様で、現在日本でも国土交通省が地中化を推進しています。
    https://zaitech-life.com/pole-underground/
    https://minimalist-blog.com/telephone-pole

    旧居留地など神戸には景観の向上に成功している地区もありますので、そこでのノウハウと外国の例を広範囲に生かしていければ神戸の景観は飛躍的に向上するのではないでしょうか。

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