先週、神戸市役所で行われた「第1回都心三宮再整備推進会議」。この会議はこれまでの抽象的で具体性のないコンセプトを語り合ったり、机上の空論的な論議ではなく、整備が決定しているバスターミナルビルの検討状況や三宮クロススクエアと命名された「えき≈まち空間」基本計画の素案の発表等、報告会としての位置付けが色濃いです。
三宮クロススクエアは三宮交差点を中心にフラワーロードの南北と中央幹線の東西をトランジットモール化する事業ですが、この歩行者空間を軸に6つの駅にまたがる動線や駅前広場を再編、新設し、交差点を囲むビル群や周辺の老朽化した再開発ビルの建て替えによって風格のある表玄関の景観形成を構築する壮大な構想です。また分散するバスターミナルも集約/再編し、三宮の抱える構造上の問題や課題の解決を一挙に試みます。
三宮交差点を象徴空間として整備する他、十字の各部分にコンセプトと整備目的を持たせるようです。
最も注目を集めるのがその整備方法とそれに要する期間です。段階的な整備を念頭に置いているという触れ込みでしたが、今回、計画を3段階に分けて進める案が提示されました。
第1段階としては以下が盛り込まれています。
①神戸阪急ビルの建て替え、阪急東口-JR西口コンコース再編、阪急-地下鉄連絡路再整備、阪急駅前広場の再整備
②JR三ノ宮駅ビルの建て替え、南側駅前広場の再編
③中央幹線の車線規制/歩道の拡大
④雲井通5丁目の再開発/第I期バスターミナルビル建設
意外だったのは中央幹線の幅員縮小から着手する点です。交通量から考えると、フラワーロードの南側から始めるもの思っていました。フラワーロードの交通規制は毎年の神戸まつりでも実績があるので、より進めやすいはずです。それでも中央幹線を先行させるのは、JRの新駅ビルが現在の駅前広場西側に建設される事や、沿道沿いの建物建て替えの促進、そして中央幹線を迂回する流れを全面通行規制前に予め作っておきたいという狙いがあるものと思われます。
第2段階としては以下が盛り込まれています。
①中央幹線の完全通行規制+JR三ノ宮駅南側駅前広場の再整備
②JR三ノ宮駅東改札口+駅前広場新設
③阪急神戸三宮駅西口南側駅前広場新設
④雲井通6丁目の再開発/第II期バスターミナルビル建設
⑤フラワーロードの車線規制/歩道の拡大
第1、第2段階の完了までに要する時間ですが、もしバスターミナルビルの整備を尺度に当てはめた場合、第1が7年後の2024年、第2が11年後の2028年といったところでしょうか。
全体的な整備概要は上記となります。東口及び北側の駅前広場新設や拡充には用地買収・取得が必要となるので、完全な完了時期を読むのは難しいですね。またフラワーロードを縦断するLRTやBRT等の新公共交通の整備時期もどの段階で着手すべきか。第2段階で三宮と新港地区を結ぶ線の部分開業まで漕ぎ着ければ、まずは上出来でしょうか。
クロススクエアを囲む4つ角ですが、高層部をセットバックさせたゲートタワービルを想定しているようです。少なくともJRの駅ビルとそごう本館跡地には高層ビルが建設される事は既定路線と考えて良いでしょう。神戸マルイのある三宮南西街区も高度利用が期待されます。敷地面積的に高層化が難しいのは交通センタービルですが、背後に立つ神戸阪急ビルのホテル階からの眺望を遮る事のないよう60m程度に高さを抑えたモダンクラシックな建物への建て替えが良いかもしれません。各建物の低層部はピロティを設け、建物内外の賑わいを連続させるような設計が求められるようです。
これらの構想が実現すると、三宮はまさに玄関口に相応しい風格と賑わいを手に入れる事になります。息の長いプロジェクトではありますが、いざ進み始めたら加速度的に進行していくような気もします。三宮の駅前再開発はさんセンタープラザの建て替えまで波及する模様で、そうなると三宮センター街の再編や三宮中央通りも含めた再開発が進行していく事になるでしょう。この三宮の動きに対抗する為、大丸を中心とした元町エリアの再開発も活発化する事も予想されます。今後10年〜20年に掛けて、神戸の中心商業地区は根本から作り変えられていく可能性が高まってきました。
この写真はドイツのフランクフルト市中心部です。ツァイルと呼ばれる車の乗り入れが規制されているショッピングプロムナードです。三宮クロススクエアのイメージはこんな感じになるという事でしょうか。30年ではなく、遅くとも駅南側のトランジットモール化は10年で完成されるべきです。
「えき≈まち空間」基本計画 素案
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軒線規制(高さ31m?)は必要なんですかね・・・
歴史的外観&景観を保存する為に云々、というのが元々の趣旨のように思うのですが、ここはどちらにも該当しないような・・・
まあ今からそういう方向に持っていくというなら理解出来なくもないですが、
これまた自縄自縛に陥ることになるような気がします。
もし海外旅行客を当て込むのなら、思い切って和風に振るのも有りだと思います。
実際にこの構想通りに計画が進むと、日本初の大都市での本格的なトランジットモールの完成となるでしょうね。この成否が今後の日本の都市計画に大きな影響を与えるエポックメイキングな出来事になるはずです。骨抜きにならないよう行政、経済界ともスピード感を持って推進してほしいものです。
ただ先行される中央幹線の車線縮小に伴う車での通行への影響が気になります。これにうまく対処しないと完全トランジットモール化が絵に描いた餅になりかねません。今現在その具体的な対策が見えませんので、今後きっちり議論してほしいところです。
神戸は東西の流れで成り立っています。東西の大動脈を封鎖することにいろんな面から心配しています。代替道路はどうするんでしょう。
広場の開放感や四角の建物のデザイン統一を図りたいのだとは思います。御堂筋や丸の内がイメージでしょうか。軒高は60m位にはセットが必要だとは思います。駅南側ですでに日生ビルや三宮ビル北館で60mラインが形成され始めているので。
中央幹線を走行する車の車種や用途のリサーチが必要ですね。物流系の車はあまり通行していないので、自家用車や営業車でしょうか。ただ三宮-西元町間は信号も多く、ドライバーとしては三宮交差点を過ぎると運転しづらい感覚があります。今、JR高架を挟んで南北の道路を一方通行化していますが、これらを双方通行に戻す事も検討しても良いかもしれません。
神戸市の建築物等の誘導基準は弊害が大きすぎますね。特に60mを超える建築物の幅は40m以内とする。という規制はバカげていると思います。だから、バスターミナルビルもツインタワーになっちゃう。規制の趣旨を考えると同一敷地でツインだと景観が余計に悪くなる可能性もある。投資する側の費用対効果を考慮してもマイナスが大きい。その他の再開発に付いても同じことがいえます。
神戸の珠玉の地、第一突堤入札の参加企業が何故1社だったのか?なぜ大手企業が来なかったのか?
福岡と比べるのを嫌う人もいますが、参考に記事貼ります。
http://qbiz.jp/article/113436/1/
神戸市は、民間の投資意欲に対しての見方が甘すぎるのではないでしょうか?福岡市は、民間の意見・動向に敏感に反応し規制緩和の効果を最大限j引き出すべく動いているのがよく解ります。他にも国内外の著名建築家の設計する建物にも優遇措置もあったと記憶します。神戸市に活力がなくなった原因の一つが都心部への民間の大型投資が無い事じゃないでしょうか?大企業・投資家グループをボランティア団体と勘違いしていませんか?当然のことながら儲けを生まない場所には大きなお金は落ちてきません。神戸市に今一番欠けていることだと思います。
sirokumaさんのおっしゃるように、神戸市は民間企業との関係を上下、主従としてしか考えてないのでしょうか。
多くの地方自治体が民間企業を呼び込もうと奔走している中で、意義が不鮮明であり、且つ投資意欲を削ぐような規制を設ける様は、もう哀れとしか思えません。
この先数十年間の神戸の繁栄を左右する分岐点になるであろう今回の三宮再開発です。
住む人、働く人、学ぶ人、そしてただブラリと散策する人が多く集う街に変貌するのではと、夢を見れるような計画にしてほしい!
わたしこの会議傍聴してましたが、一部ハコモノ行政に疑問をもつ、あるいは駅前広場立地に困惑いている協議会の意見を除いてはまちづくり協議会、経済界などほとんどの意見者はとにかくスピード感を持って早く施行してほしいという概ね賛成意見ばかりでしたよ。景観審議会とは違い、こちらの学識者は仮囲いされることは街が進化することでいいことなのだから規制緩和を願うと訴えていましたし。
わたしらみたいな都市計画好きは数年前からクロススクエアのことを知ってて今さら感がありますが。今回神戸新聞の記事も取り扱いも小さく、一般市民はまだほとんどこの開発のことを知らないんじゃないでしょうか?都市景観条例の眺望高さ規制さえもあることを知らない市民が大多数でしょう。こういった施策情報も保守層が多いfacebookやHPで発表されることが多く、しかも神戸新聞は保守誘導報道している関係上、市民は置いてけぼりにされています。
恣意的に行政が行われているようで、なにも変化がないのは規制にがんじがらめにされていたことに30年後に気づく。それは地元企業にも市民にも不幸な状況だと思います。
市のトップが全てだと思いますよ。
地味に見えますが未だ神戸市は民間人のトップを頭に据えたことがありません。
この70年間に溜まりに溜まった膿を一気に吐き出しましょう。
大阪市を未だに関市長がやってるような感じですから。
兵庫県はあの方がやってますし、神戸だけでも変える時期です。
昨年(2016年)1年間の訪日客数は2403万人で、13年前(2003年)の521万人の実に4.6倍となっています。国別に見れば、1位は中国で637万人、2位は韓国で509万人、3位は台湾で416万人、4位は香港で183万人と、この4カ国で全体の72%を占め、2003年の5.9倍と伸びが著しくなっています。特に中国は14.2倍の大幅増です。人口で見ると、韓国が5000万人、台湾が2300万人、香港が700万人であることを考えると、13億人の人口を抱える中国はまだまだ伸びることが考えられます。
神戸空港が国際化されるなら、神戸はこれらの巨大な経済圏と直結することになり、その巨大な人の流れの出入り口の一つとなります。(神戸空港が建設された本来の目的はそこにあった。)神戸空港の立地条件から考えると、日本の主要な出入口になる可能性があります。そうなれば、それらの人々のためのホテルやショッピングの場が必要となるし、神戸に拠点を置く事業所も再び集積しはじめると考えます。
https://www.jsce.or.jp/journal/konohito/200602.pdf#search=%27%E7%A5%9E%E6%88%B8%E7%A9%BA%E6%B8%AF+%E7%AC%B9%E5%B1%B1%E5%B9%B8%E4%BF%8A%27
日本国内では「人口減少社会」と言われますが、海外に視野を広げると、様相は全く異なってきます。それにもかかわらず、近年の神戸市役所は、市街地のビルの高さを制限することに執着したり、地方の小都市の施策の模倣であったり、視野が狭く、縮小志向が見受けられます。
矢田市長はなぜこんな悪条例の制定を認めてしまったのでしょうね。福岡は何をすべきかを明確に理解し、それを実行している事が奏功しているのだと思います。神戸市は気づかないのか、気づいているのにやらない、できないのか。
独りよがりが痛々しいですね。民間企業から影で笑われて、そっぽ向かれている事になぜ気づけないのでしょうか。
スピード感をもってとよく言いますが、スピード感ではなく、スピードを上げて進めて欲しいですね。スピード感があってもなくても30年掛かるのであれば結果は同じです。
この秋の市長選に民間からの立候補者は出るでしょうか。
これだけの巨大市場の玄関口の1つとなれれば、神戸のポテンシャルは高まりますね。観光地としては大阪、京都には敵いませんが、利便性の高さから宿泊やビジネス拠点という位置付けでの発展は望めそうです。
この話題にはどうしても敏感になってしまいます。
どう考えても車利用者を犠牲にしすぎてませんか・・・という話です。
神戸は細長い街で南北のスペースがなく、プラス結構ワンウェイ道路が多いので、ズドンと長距離走れる幹線道路は少ない!
東西を走る道路で交互通行で片側2車線以上あるのは山手幹線と2号線と春日野で分岐するもう一つ2号線だけです。中でも高速道路などがないオープンなのは山手幹線と駅前を走る2号線の2つのみなんです。その内の一つを閉鎖するんですから相当の影響が出るのは目に見えてます。渋滞といった物理的面と精神面の両方です。間違いなく渋滞は増えるでしょうし、すすんで43号線のような高速道路側道を走りたい人はあまりいないと思います。暗くて空気も悪く、騒音もうるさい。印象良くないです。クロススクエアでクローズすれば山手幹線かこの高速道路側道に一気に流れ込みます。
南北の道路も同じような状況になるんではないでしょうか。街中心で今あるのはクロススクエアで閉鎖されるフラワーロードとあえてカウントすると生田川側道の2つのみです。しかし生田川側道は新神戸トンネルや阪神高速3号線利用者で込み合ってますし、なんかごちゃごちゃしててあんまり利用したい道路ではないと思います。となると気持ちよく走れる道路はフラワーロードだけなんですよ。それをクローズするんですよ。
仮に利用者が少ない道路で、プラス他に幹線道路が十分あるなら犠牲は少なく済むかもしれませんが、2号線もフラワーロードも決して空いてる道路ではないですし、他の幹線道路も前出とおりですので、かなりの影響だと思いますよ。山手幹線のアンダーパス化とか言ってますが、そんなことしたって次の信号で余計に混んでしまうだけでしょう。山手幹線と生田川側道の交差点なんか今でも結構混んでるのに、それぞれの交通量増しにプラスアルファで手前にアンダーパスですよ!オーマイガッドです。
人によって感じ方は違うかもしれませんが、僕は交通便が悪いところには行きたいと思いません。一度でも強いストレスを感じてしまうと、いくら魅力がある場所だとしても、相当の理由がないともう行かないと思います。こんな風に感じる人は結構いるんじゃないでしょうか。このストレス時代に分かっててわざわざストレスを感じに行く人は少ないでしょう。結局はマイカー利用者の足は遠のく可能性が高い。いくら特定の場所と人に魅力を感じさせても、それじゃ元も子もないように思えます。
なんとか目を覚ましてやめてほしいです。
KOBE, BE EVERYBODY’S KOBE!
私も最初は東西方向に走る幹線道路の閉鎖に懸念を抱きましたが、中央幹線は考えれば元町からは双方向ではないです。なのでほぼ車は必然的に東から西に抜けるのみです。これらの車両は都心をスルーするものが大半で、少なくとも神戸の中心部に用がある訳ではありません。またクロススクエアが完成しても2号線で少なくとも三宮駅前までは来れるのです。勿論、現状は通行量は多いですが、閉鎖となれば水が流れを見つけるように自然と他に流れるでしょう。海岸通りにはまだそのキャパはあると思います。
それだったらいっそのこと元町までクローズにするべきですね。高架下沿いにいい雰囲気になりそうですけどね。
高架下沿いとさんセンタープラザの両サイドが汚らしく、景観を損ねていますね。これが改善される事を早期に望みます。