既存ビルの解体工事が進行中の神戸阪急ビル東館建て替え計画ですが新・神戸阪急ビル東館計画のより詳細な内容が明らかになりました。上記は新ビルの四方向立面図です。これまで公開されていた完成予想パースでは東面+北面の様子しか分かりませんでしたが、立面図によって西面や南面の様子も見て取れます。
北面の西側はホテルフロアも含めた全階層に渡ってアルミカーテンウォールが取り付けられますが、これはこの部分に最上階の29階にアクセスする為の専用エレベーターが設置される為です。ガラスのシースルーで眺望の優れたエレベーターになることでしょう。
南面は4-15階がオフィスフロアとなりますが、南にエレベーターが縦列設置される他、神戸交通センタービルとお見合いするので小さな明かりとりの窓以外は開口部のない外壁となります。しかしオフィス部分の塔屋は三角に切り取られたような形状のデザインとなっています。
西面はオフィス階の一部を除き完全に外壁のみとなります。
尚、初代神戸阪急ビル東館を模した低層部ですが、高架軌道を跨ぐ形でパースが描かれていることに驚かれた方もいるかと思います。2021年の新ビル竣工時はこの部分は建設されませんが、阪急としては高架の大規模改修が必要とされる際には完全体にしたいという想いがあるようです。
夜間照明演出のプラニングです。三宮駅前の新たなランドマークとして昼夜問わず、存在感を示して賑わいに貢献します。建物頂部は暖色系のライトアップを外壁四方に実施。同様のライトアップをオフィスフロアとホテルフロアを隔てる機械室階の16階外壁にも採用。イメージとしてはJR東京駅前の新丸ビルのような感じでしょうか。シースルーエレベーター横にはLEDで黄色の水平照明が点灯。オフィスフロアの照明は明度を落として明る過ぎないようにするようです。低層部はアイマークとなるシリンダー部をはじめ、各ディテールに異なる照明演出が施されます。夜間もランドマークとしてシンボル性の高い存在になりそうです。
賑わいや回遊性を高める施設計画として新ビル1階は重要なポジションを占めています。3方向の動線はこれまでと同様ですが、吹き抜け空間を大きく設け、交通拠点としてスムーズでバリアフリーな通行を可能とする他、コンコース内でのイベント開催や待ち合わせが可能になるようさんきたアモーレ広場と一体感を持たせるようです。この実現に現在の地下鉄東5番出口は閉鎖して駅ビル内からエスカレーターで地下鉄駅コンコースへ直結する動線が新設されます。
最上階やホテル階へアクセスするエレベーター乗り場は1階西端に整備されます。
地下1階は地下鉄コンコースから新駅ビルの店舗フロアへ直接入れるようになります。物販や飲食店の出店が見込まれますが、メインは阪急の食品スーパーが出店するのではないかと思われます。2階は改札コンコースとなりますが、現在の低い天井の解消や天井パネルや柱を含めた改修による美装化は実施されるでしょうか。JRと阪急間に存在する段差の解消も今回の建て替え計画に盛り込まれています。トイレを含め改札内の改修も同時に進めて欲しいですね。また2階には将来的に北野坂方面へのアクセスを可能にすることを視野に入れて外壁に開口部が設けられるよう設計されるようです。歩行者デッキの整備を考えているのでしょうか。
用途別各フロアの基準階のレイアウトです。オフィスフロアは敷地いっぱいに床を使った形です。オフィス床としては1フロア250坪位でしょうか。3階の南側にオフィスフロアへのエントランスとエレベーターホールが構築され、4-15階の12フロアに延床約11,400平米方メートルのオフィスが供給されます。オフィス階の最高部で高さ60mに達します。
60mより高い位置に配されるホテル階はセットバックしているので1フロア辺りの床面積は縮小されます。東西方向55m幅x南北方向奥行12.5mにシングル11室、ツイン4室、合計15室が基準となり、17-28階の12フロアに計209室が用意されます。既出の通り、阪急の宿泊特化型ホテルブランドのREMM(レム)となる予定です。尚、17階はホテルロビーとなります。
最上階の29階の大部分は展望ロビーとなりL字型のフロアからは東西南北の眺望を楽しむことが出来そうです。個人的にもJRの駅ビルや周囲の再開発の定点観測を行う重要な場所になりそうです。展望レストランは昼夜問わず、人気スポットになるかもしれません。
こちらのフロアレイアウトは前述とほぼ同じですが、17階の詳細が見て取れます。ホテルロビーの他、朝食のとれる宿泊客専用のレストランが開業しそうですね。
広場から眺める1階のエントランス周りの様子もパースで描かれています。現在よりも開口が大きく人の回遊性が良さそうです。大きな庇を設ける事でビル内と駅前広場の一体化が図られています。広場の整備方針は現状復帰でしたが、オープンスペースを大きくとる為には、やはり凸凹山は廃止するべきかと思います。
この超高層ビル計画を推進するにあたって、神戸市の景観条例のハードルをクリアする必要がありました。神戸市内では高さ60mを越える高層建築物の東西方向の幅には最大40mの制約が課されています。今回の再開発ビルをこの制約適用対象から外す為、景観審議会で協議が行われました。
今回の立面図や平面図は実は神戸市の景観審議会のページに掲載されていた資料から抜粋しています(RIKUさん情報提供ありがとうございました)。規定通りにホテルフロアを40m幅にすると同程度の容積ボリュームの維持には高さを140mにする必要があり、阪急側からは幅40m・高さ140m案と採用となった幅55m・高さ120m案が提示されていました。
140mという高さは欲しかった規模ですが、デザイン面では採用案と比較すると、幅40m・高さ140m案は野暮ったい印象です。展望ロビーも無く、1階のオープンスペースも狭い、オフィス階は北面が外壁とデメリットが多い案となっており、幅55m・高さ120m案を通す為の当て馬的に作成された感は否めません。しかしそもそもこの40m幅制限が無ければこのような煩わしい提案劇は不要だったはずです。
この東西幅40mの制約はJRのターミナルビル建て替えにも影響を与える可能性があり、新駅ビルの公共性やデザイン面での貢献を高める事で適用を免れることができるよう図る必要がありそうです。
最終的には現在の東館の敷地のみの活用でのビル建て替えとなりますが、あまりにも制限・制約が多過ぎる神戸市の条例を踏まえた上での今回の新神戸阪急ビル東館のデザインは非常によくまとめられているのではないかと思いました。神戸三宮の新しいランドマークの完成がますます楽しみになってきました。
新・神戸阪急ビル東館の概要詳細
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詳細な情報有難うございます。
あの三宮周辺には場違いのような趣のある意匠はさすがですが、十数年後にはこのビルが周りから浮いた存在にならないよう街が激変していることを祈ります。
ところで初代神戸阪急ビル東館を模した高架軌道を跨ぐデザインを、高架の大規模改修時に合わせて建設する意向との事ですが、それはそれで大歓迎ですが、一方地下鉄との相互乗り入れは事実上断念したということなんでしょうかね?
それとも三宮以西での相互乗り入れを考えているのでしょうか?
表向きは元のデザインを復活させたいとしていますが、本心は地下鉄乗り入れで高架の撤去を望んでると思いますよ。もちろん地下鉄乗り入れ断念となれば可能性はあるでしょうけど、久元市長も乗り入れに前向きですし阪急の角社長も乗り入れは諦めていません。
三宮での地下鉄乗り入れは、阪急にとっても駅前再開発の観点からしても望ましいはずです。
こんばんわ 詳細情報ありがとうございます!我が九州もJR鹿児島中央駅 宮崎駅の再開発計画予定と今朝の新聞に載っておりました。 神戸街並みファンとして 三宮頑張れ!!
なるほど、よく考えられていると思いました。
平面図から東西の妻側がほぼ同じ幅ということが判明したので、
西側の一部は現在の高架の部分に掛かるのでしょう。
現行の東館の敷地のままでは西側が細くなりますね。
景観協議会では、◯産党市議が高さ120mでも今後のために認めるべきではないと吠えてましたね。この党は神戸が発展して欲しくないようです。
超高層ビル至上主義の感が強いですね。
私は超高層ビルは大阪に任せて、神戸はハイセンスな低層ビルでまとめた方がいいと思うのですが。
では別に、このこべるんさんのブログに来なくていいのでは?
超高層ビル・大型開発オタが集まるブログだと認識されていないのでしょうか?
年取ってからわたしは超高層絶対主義ではないのですが、それでも神戸は日本一超高層ビルが似合っている街だと思います。
私もあんまり高層ビルは好きではないのですが、神戸の開発や変化には興味があるのでこべるんさんのブログをチェックさせていただいています。
私も高層ビルは大阪が似合うと思います。
低層でハイセンスな神戸らしい建物が増えることがベストでしょう。
でも、神戸の発展のためには高層ビルも仕方ないのかもしれません。
そういう読者の人もいると思っていたので、そういう思考の人は来なくていいのでは?というコメントにショックを受けています。
こべるんさんが高層ビルがお好きなのは、存じておりますが…。
高層ビルに抵抗のある神戸人も多いと思います。
共産党は神戸とういうか日本自体を廃れさせたいみたいですので。
開発には反対、景観がどーたらなので反対、とどこでも吠えてます。
あいつらの言う通りにしていたら、日本は衰退しますわ。
あいつらがいなくなってくれたらもっとスムーズに事が運びます。
大阪は超高層ビルが群生出来ているからそう思うんでしょう。神戸はタワーマンションが多いから超高層が嫌われるんでしょうね。私もその点は一緒です。わたしが超高層でも、オフィスビルや都市ホテルに拘るのはタワマンが画一的でデザイン性に乏しいからです。
わたしは東京や大阪の方が低層ビルが似合う街だと思っています。
ヨーロッパや京都など歴史ある伝統の低層の街が、たいがい内陸平野部にあるのは、都市計画で区画整理が昔から出来ているからです。なのに経済重視で歴史あるものを壊し、見栄で都市計画を進めているのは残念です。街を歩いていて、低層ビルと寺社・町屋が多いので、抜けるように空が広がる京都の町は、超高層ビル好きのわたしでさえ高さ規制を続けるべきと思います。
対して超高層ビルが似合うのはだいたいウオーターフロントにある街です。これに加えて六甲連山が街に迫ります。神戸で低層ビルが増えると、六甲山が乱開発されるという危機を感じます。もともとポーアイなど人工島は市街地が狭小地のため、土地を作るために山麓が削られて造成されました。なので京都、大阪のように万全の区画整理が出来ていません。今、六甲山を見渡すと中腹まで住宅や低層ビルが覆っている現状を見ると、これ以上、山麓開発が続いて緑が失われるのは見るに堪えられません。見栄えのいいところに山が残っていればいいというものじゃないと思います。垂水、西、北区は開発をやめて山や動物に緑を返してやってほしいと思っています。神戸は、人間の視点だけでなく、動植物、自然と景観を守るためにも超高層が必要と思っています。
神戸でも山側より海側の方が似合いますよね。
何年か前に関西ローカルテレビで布引の山が取り上げられた時に、三宮から歩いてこんな自然豊かな山に行けることにスタジオが驚いていました。
山からの絶景は神戸人が誇れることの一つだと思うのですが、その絶景を見ながら芸人さん二人が山近くの高層ビルを見て
「あれ邪魔やな」
「もったいないな」
といった会話をされていました。
聞こえるか聞こえないかの小さな会話でしたが、私はやはり他の地域の人から見てもそうなのだと思いました。
確かにあの高層マンションが出来て山からの景色は遮られるようになってしまいました。
マンションからの眺めは良いのでしょうが…。
高層ビルを手放しで喜べませんが、建てるなら場所やデザインをもっと考慮して欲しいです。
時が止まったセンタープラザ辺りまで開発が波及してくれないとライトアップが浮いてしまいそうですね。
低層縛りの件ですが旧居留地が延々続くような都市形成も素敵ですが打ち出すには流石に遅すぎたと思います。
この辺りはもうどんどん建つので低層好きの方は特別にラデファンスとして認めるしかないでしょう。近くに低層地区が出来ると期待してもいいんじゃないですか。そのほうが色んな顔のある都市として奥行きが出ますしね。
超高層が好きな方のblogにきて文句言ってる人はなんなんだろ。
世界の流れ見ても日本は耐震をしながらですが、もっと高層化を進めないと。
神戸と同じような環境のところでももっと高層ビルはありますが、それで眺望がだいなしになってることはありません。
良いデザインですね。特にライトアップが温かみと高級感があって都会度を上げてくれそうです。
阪急三宮駅は、震災以降長い間昭和の頃の方が立派というよく分からない状況だったので感慨深いです。やっと150万都市としての本来のポテンシャルを発揮してくれる気がします。自分は物心ついた時にはもう仮設だったので、あのパラボラアンテナに愛着はありますが。
この建物が周りから浮くんじゃないかという意見がありますが、自分としては浮くくらいが丁度いいと思います。三宮の場合、この建物がおかしいんじゃなく周りがしょぼいだけだと思うので、、逆に完成した頃には、今まで神戸がどれだけ遅れていたかという事に皆気付けていいんじゃないでしょうか。
色調や照明、内装が、この駅ビルの明暗を分ける事になるでしょう。
免震は重要ですが、ただ高いだけの建築にならない事を願います。
兎も角、震災から20年以上経過して、漸く三宮の象徴が蘇ることは喜ばしい事です。
土地の狭さ、都市計画が一貫していない事、経済面や集客力から
首都圏(新宿駅や横浜駅など)のような大規模な変貌は難しいかもしれませんが、
案外神戸の復活こそが関西の地盤沈下を食い止めうるかもしれません。
阪神神戸三宮駅の新デザインはホンマに最高!
あとは老朽化したセンタープラザと三ノ宮駅ビルの建て替え
特に三ノ宮駅は神戸の中心駅として200m級のカッコ良い駅ビルにしてほしい