今回は、JR神戸駅の目と鼻の先、かつて「ABCハウジング神戸駅前住宅公園」があった跡地で動き出している注目のプロジェクト、亀喜工業の新本社ビル建設工事についての最新レポートです。
産業用ゴム製品や配管関連機器などの工業資材を広く手掛ける亀喜工業株式会社。同社はこれまで神戸市中央区のポートアイランド(港島中町)に本社を構えていましたが、JR神戸駅前の旧ABCハウジング跡地の一角に、新たな自社ビルを建設するプロジェクトを本格始動させました。

竹中工務店が設計・施工する新本社。建物構造や規模は、鉄骨造 地上4階建て、延床面積 約2,442㎡。オフィス機能だけでなく、作業場や倉庫なども備えつつ、吹抜けや自然エネルギーを活用した環境配慮型の「省エネビル」となる予定です。

三点先パイルドライバとクローラークレーンが投入されて、既成杭の建て込み作業が進められています。

かつて業務集積地だったポートアイランド1期地区のファションタウン周辺は、企業流出が進行し、エリアの再構築が急務となっています。今回、亀喜工業が新本社の地として選んだのは、JR神戸駅から東へ徒歩数分という非常にアクセスの良い場所です。近隣には「神戸駅前JUSTスクエア」(サンテレビジョン本社などが入居)もあり、都心部としての機能が凝縮されています。毎日の通勤はもちろん、全国各地や他都市へのフットワーク、取引先へのアクセスを考慮しても、鉄道・幹線道路の要衝である神戸駅前は、BtoBビジネスを展開するうえでこの上ないロケーションと言えます。

この敷地周辺では、NTT都市開発による地上19階建ての分譲マンション・店舗の複合開発も同時進行しており、エリア一帯が大きく生まれ変わろうとしています。単なるオフィスビル単体の移転にとどまらず、街全体の活性化や賑わい創出に寄与するスポットとして注目を集めています。

そのNTT都市開発の分譲マンションプロジェクトも11月着工予定で、1ヶ月あまりで工事が開始されます。神戸駅周辺は業務、住宅、商業のバランスを取りながらの変化の道を模索しています。
今回の亀喜工業の本社移転は、単なる1企業のビル建設にとどまらず、近年の神戸における「産業・オフィスの都心回帰トレンド」を象徴する動きとしても語られています。しかし近年、人材確保のしやすさ、多様化するビジネススタイルへの対応、そしてスピーディーな情報共有やネットワーク強化の観点から、人工島(ポートアイランドなど)から「三宮・神戸駅周辺といった都心部」へ本社機能を移す大企業が相次いでいます。

道路を挟んで斜向かいの日本郵便が保有する開発用地。現状のままだと、マンション開発が濃厚な選択肢ではありますが、再び人工島からの企業本社移転用の新本社ビル建設地としての活用も検討できるのではないでしょうか。日本郵便は、これまでその駅前一等地に保有する郵便局を活用して、大規模な再開発ビルを全国で建設してきました。その用途は、商業・業務・宿泊が主でした。業務用賃貸オフィスビルの開発と、エリアのオフィスワーカーや地域住民が利用できる小規模な商業空間を有するビルとなれば、業務集積地としてのJR神戸駅前の付加価値は高まるでしょう。現在、ポーアイ1期地区に本社を構える主だった企業は、ワールド、UCC上島珈琲、フジッコ、ユーハイム、ノエビア、TASAKI、JAVA等。

ワールドの移転は既に決定しています。その他の企業も、製造業で本社と工場を併設している場合以外のケースでは、中長期的には島外移転も視野に入っている筈です。かと言ってポートアイランド自体が企業を大きく失っている訳ではなく、南側の2期エリアには多くの企業の進出が続いています。1期エリアでの業務地区はその役目を終えつつあり、衰退ではなく、新たな役割を得る為の転換期に入ったという捉え方が正しいと言えます。
ABCハウジング神戸駅前住宅公園跡地 亀喜工業新本社屋新築工事 周辺は企業本社移転の集積地となり得るか?
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