JR神戸駅前・東川崎町1丁目のABCハウジング神戸駅前住宅公園跡地はNTT都市開発が保有していました。その敷地の南西側にはホテルとオフィスから構成された「神戸駅前JUSTスクエア」が完成し、残る北東側についても開発に向けた待機状態にありましたが、分筆された南側の土地992平方メートルから工事が開始されました。

この土地を取得したのは現在、ポートアイランドに本社を置き、産業界で必要なゴム製品、エンジニアプラスティックス製品をはじめ、工業材料の素材から加工品、各種プラント・工場における搬送ラインなどの物流機器、伝動ベルト・軸受製品などの伝導機器までも取り扱っている亀喜工業。同社が新本社をこの土地に建設します。

設計・施工は竹中工務店が担当。鉄骨造地上4階 延床面積2,442.78㎡の新本社は2027年10月に竣工を予定。規模はそこまで大きくないものの、竹中工務店が手掛ける為、発注側としては安心です。

隣接するJUSTスクエアにはサンテレビが同じくポートアイランドから本社スタジオを移転しました。ポートアイランド1期業務地区からの企業流出・都心エリアへの回帰の流れはもはや止める事はできず、神戸市もようやくエリアの用途転換に向けたまちづくりの方針を掲げました。

高度経済成長期には都心・業務地区を、権利が複雑に入り組む都心エリアではなく、人工島やニュータウンの造成地に拡大・推進する方がてっとり早く企業のニーズにマッチさせる事ができていました。しかしこの開発手法は既に1990年代に終焉していたにも関わらず、HAT神戸にも業務機能を更に付与した事は明らかに失策だったと思われます。

人口減少期に入った現在、都心地区への回帰と利便性の向上という本来、都市が目指すべき姿の追求に軌道修正された事により、人工島や郊外の副都心からの企業移転がうねりとなり、都心開発を促進しています。

亀喜工業の本社ビルの建設されている敷地の北側にはNTT都市開発がタワー型レジデンスの建設を予定しています。ウェリスブランドの分譲マンションになるのではないかと思われます。

敷地面積2,064.05平方メートルの土地に建設される分譲マンションは地上19階 高さ59.9m 総戸数104戸 延床面積10,135.61平方メートルの規模です。JR神戸駅周辺では、神戸市の都心機能誘導地区に指定されている事により、敷地面積1,000平方メートル以上の土地に住宅を建設する事ができませんが、都心でのタワマン需要は根強く残る為、現在、1,000平方メートル未満の土地に地上18-20階 高さ約60mのタワー型レジデンスが3棟も建設中です。

しかしこのNTT都市開発のプロジェクトの場合、敷地面積は規制の倍以上ある為、マンションの延床面積を抑制し、土地に対して住宅機能の容積率を規制上限の400%未満に計画する事で、再び高さ約60mのマンションが建設される事になりました。建物の設計は東急設計コンサルタントが担当します。施工者はまだ未定です。

着工予定は今年11月。亀喜工業本社の着工から遅れる事4ヵ月。これらの建物の着工で、このNTT都市開発が保有していたJR神戸駅前の貴重な開発用地は概ね業務機能を促進する観点においても、有効活用されたと言えるでしょう。しかし結局、NTT都市開発はいずれの土地も自社保有を継続する事なく、売却する事による開発となった事は意外でした。ただ一点、気になるのが、マンション建設予定地に計画される建物の用途は住宅と店舗されている事です。

住宅棟の建築面積は865平方メートル。車寄せや駐車・駐輪場、ゴミステーション等の共用施設に600平方メートルを費やしたとしてもまだ500平方メートル以上の土地が余ります。JR神戸駅へと続く北側の道路に面して低層店舗棟が設けられると、街の賑わい貢献に寄与するでしょう。周辺にはオフィス、マンションも多く、カフェやサービス系のテナント需要もあるのではないでしょうか。

NTTはこの土地の向かいにもビルを保有しています。耐震化工事が施されたので、まだ活用していくものと思われますが、将来的には建て替えや開発の対象とされるでしょう。JR神戸駅周辺では、業務、商業、住宅のバランスを整えながらのまちづくりが進行しています。
ABCハウジング神戸駅前住宅公園跡地 亀喜工業新本社屋着工 NTT都市開発の分譲マンションと同時開発が進行
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