名古屋

地域探訪 -名古屋特集①-

nagoya010.jpg

5年ぶりに所用で名古屋に行ってきました。名駅と呼ばれるJR名古屋駅周辺エリアは東京を除けば今、国内で最もダイナミックな変貌を遂げているエリアだと思います。世界一の自動車企業であるトヨタ自動車のお膝元であり、航空宇宙産業の集積や2027年に控えるリニア中央新幹線の開業等、名古屋経済には明るい材料が目白押し。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで成長を続ける名古屋。そんな名古屋の大規模再開発の現状を目の当たりにしてきました。

nagoya011.jpg

大名古屋ビルヂングはJR名古屋駅前に重鎮する三菱地所が所有する大規模オフィスビルでした。JR東海が名古屋ターミナルビルを、日本郵便が中央郵便局の再開発を発表。駅前に大規模再開発によって超高層オフィスビルが次々に計画されて注目が高まる中、三菱地所も大名古屋ビルヂングの建替に踏み切ったのです。

nagoya013.jpg

新・大名古屋ビルヂングは地上34階 地下4階、高さ174.70m 延床面積147,871.79平方メートルで低層部に商業施設、高層部に業務施設を備える超高層複合ビルとして生まれ変わります。

nagoya012.jpg

全面をガラスで覆われた超高層ビル。このビルのデザイン面での特徴的な点はビルの壁面が平面ではなく敢えてパネルを不規則に取り付けて角度によってその表情を大きく変える事です。

nagoya014.jpg

以前の大名古屋ビルヂングを思い起こさせる低層部。地下1階~地上5階までの4フロアは商業ゾーンとして三越伊勢丹の進出が決定しており、同社の新たな業態である小型店を開業します。5階屋上には屋上庭園が整備される他、地上7~16階の中層階にはLife & Servicesと名付けられた集客ゾーンを設置。金融機関、医療モール、ショールーム等を誘致します。施設の開業は来春に迫っており、すでに名古屋駅前にその全容を現しています。

nagoya015.jpg

JR東海が建設中のJRゲートタワー。名古屋ターミナルビルを最新の超高層複合ビルに建て替える大規模再開発計画です。その規模は地上46階 地下6階 高さ220m 延床面積約26万平方メートルと巨大です。

nagoya017.jpg

完成すると、同じくJR東海が建設したJRセントラルタワーズ、ミッドランドタワーに次いで名古屋で3番目に高いノッポビルとなります。当初の計画では260mと名古屋一を誇る予定でしたが、規模が縮小されました。用途はオフィス、商業施設、ホテル、バスターミナル、駐車場、駅施設を備える複合ビルです。低層部(と言っても地上15階・高さ70mありますが)は隣り合うJRセントラルタワーズと接続します。高層部にはホテル(350室)とオフィスが入居。

nagoya016.jpg

低層部の2~8階はタカシマヤ ゲートタワーモールとなり、JRセントラルタワーズの高島屋が増床する形になります。9~10階はビックカメラ、11階にはユニクロ、ジーユーの複合店が進出。1階はバスターミナルとなる交通拠点でもあります。開業は2017年4月。一連の名古屋駅前再開発ビルとしては最も遅くに完成します。

nagoya018.jpg

JPタワー名古屋は名古屋中央郵便局跡に建設されている超高層複合ビルです。地上40階 地下3階の高層棟と、地上11階 地下1階の低層棟で構成。日本郵政が進める丸の内に続く第二番目の大規模再開発事業です。

nagoya020.jpg

高層棟の地下1~地上3階は商業施設、6-39階はオフィスフロアとなります。オフィスビルとしては名古屋で最大級のフロアを供給します。

nagoya019.jpg

商業施設の名称は丸の内のJPタワー同様「KITTE名古屋」となることが発表されました。2016年6月に開業予定です。また郵便局も入居します。建物の竣工は来月に迫っています。

nagoya021.jpg

林立する名古屋駅前の超高層ビル群。JPタワー名古屋は横に幅広いのでタワー群の中でも一際目を引きます。

nagoya022.jpg

西側から見渡す名古屋駅前に出現しつつある200m級の超高層ビル群です。

nagoya023.jpg

そのスケール感に圧倒されます。日本全国でも200m級の超高層ビルが複数立つのは東京を除けば名古屋のみです。数量的にはまだまだ大阪には適いませんが、高さでは大阪を凌ぎます。

nagoya024.jpg

こんな再開発ビルが1棟でも神戸に建てられればてんやわんやの大騒ぎになることでしょうね。JR駅ビル、アイング三宮パーキング、さんセンタープラザの再開発等でこうした規模の建物が出来ることを密かに期待しています。

正直、名古屋の駅前はこれまで三大都市の一角を務めるには風格が欠けている感がありました。また名古屋都心の超高層化も東京、大阪には遠く及ばない状況でした。1999年に駅ビルのJRセントラルタワーズの出現によって変貌を遂げましたが、それから暫くは大きな変化はありませんでした。2006年以降に駅周辺の再開発が急に進み始め、ミッドランドスクエアをはじめとする超高層ビルが次々と誕生。リニア中央新幹線計画が本格化すると更に今回ご紹介した巨大プロジェクトを続々と誘発。名駅摩天楼の拡大に拍車を掛けています。まだまだ名古屋の勢いは留まりそうにありません。



関連記事
名古屋

地域探訪:名古屋 (仮称)錦三丁目25番街区計画にヒルトン・コンラッドが進出 愛知県・名古屋市は高級ホテル立地促進補助金の補助事業に認定

2021年9月22日
こべるん ~変化していく神戸~
名古屋市は都心商業地の栄地区・錦三丁目25番街区の市有地他の再開発を進める為、事業候補者を募り、三菱地所を代表企業とし、日本 …
名古屋

地域探訪: 名古屋・日本最大級のPark-PFI事業「Hisaya-odori Park」久屋大通公園が賑わいと憩いの商業空間に 東遊園地も参考にしたい

2022年11月29日
こべるん ~変化していく神戸~
7年ぶりに名古屋遠征の取材に行ってきました。個人的にも名古屋を訪れるのは5年ぶり。大きく変わろうとしている名古屋のダイナミックさを肌で感 …
名古屋

地域探訪: 名古屋・JPタワー名古屋/KITTE名古屋 日本郵便の不動産活用プロジェクト第3弾は巨大なオフィスタワー

2022年12月17日
こべるん ~変化していく神戸~
JPタワー名古屋は名古屋駅前の中央郵便局分室跡地を活用して日本郵便が開発したオフィスを主体とする大規模再開発ビルです。地上地上40階 …

POSTED COMMENT

  1. 匿名 より:

    神戸の中心街は海と山がすぐ迫っているし中央区の中心に土地の余裕があるとは思えないので梅田のように箱物を作りまとめて高層化してほしいです
    JR三ノ宮駅ビルの再開発は思い切って名古屋のように250mくらいになってほしいな~

  2. 夢想家 より:

    名古屋は名駅前と、周辺との落差が大きい印象でしたが、この写真だけを見ると、山手線のどこかのターミナルに見えますね。
    三宮ビル北館なんかで喜んでいる場合じゃ無いとも思いますが、こういうものを見せられるとかえって、他所は他所なんで、三宮は神戸らしく身の丈に合った開発でいいような気がします。
    商業施設やマンションはともかくとして、オフィスビルは需要と供給のバランスが肝なんで、でかすぎる物を建てたところで、持て余しそうです。
    とかく行政への不満が出てきますが、あくまでも民間活力の違いなんで、どうしようも無いですね。
    いまさら言っても仕方ないですが、関空が神戸沖だったらと思ってしまいます。あの判断がターニングポイントでしたね。

  3. とま より:

    昔は駅に高島屋があるくらいで新幹線に乗っていても空地だらけで河合塾がいくつもある印象しかありませんでした。
    都市の発展は運送手段によって影響されます。
    名古屋ではリニア計画が起爆剤になりましたね。
    昔は鉄道や空路でなく海運だった為神戸も栄えましたが今は昔です。
    ということは神戸はどう生き残りをかけるのか?
    大阪のようなビジネスセンター?
    京都のような観光地?
    神戸は医療ビジネス、観光
    そして暮らしやすさかなと思います。
    勿論一棟はシンボリックなビルは欲しいです。
    それはやはりJRになるのではないでしょうか。

  4. しん@こべるん より:

    4Sn8Qhv.さん
    三ノ宮駅前交差点の四つ角をシンボリックに超高層化して欲しいと思います。

    夢想家さん
    >三宮ビル北館なんかで喜んでいる場合じゃ無い
    名駅のビル群を見上げた時の感想がまさにこれでした。ただどう逆立ちしても今の神戸に名古屋レベルの開発を望むことは叶いません。ただ1棟でも立てば時間を掛けてフロアを消費していくんじゃないかと思いもします。神戸には好立地に最新の大型物件が不足していますから。民間が動かないとどうしようもないですねこればかりは。

    とまさん
    どう神戸が生き残っていくべきか。非常に重要なテーマですが、おのずとその道はすでに定まっていそうですね。住がテーマとなると、川崎化や横浜化によってベッドタウン化が今以上に進むでしょうね。ただこれからは人口が増えない都市は税収が落ち込み埋没していくのかもしれないので、どんな形でも人口が増える状況を作っていく必要があります。

  5. いち横浜市民 より:

    こんにちは。横浜の者です。
    引き合いに出されて気分が悪いですね。ガラパゴスの人の気持ちがよく分かります(笑)。
    それはさておき、横浜も神戸も今後高さ100mを大きく超す単体のオフィスビルはやはり望みにくいでしょうね(ホテルや住宅との複合ビルであれば話は別ですが)。
    両都市とも需要があるとすればR&D部門でしょうが、この手だと床面積の広いいわゆるデブビルが好まれるようです。ただ、ラゾーナ川崎隣に出来た東芝のように15階でも延べ床面積が10万平米近いケースもあるので侮れませんね。

  6. しん@こべるん より:

    いち横浜市民さん
    ガラパゴスの人の気持ちというのはよく分かりませんが・・・。横浜化が否定的な意味で使われたと勘違いされていますか?私は肯定的な意味合いで使ったつもりです。神戸は福岡に人口を抜かれるのも時間の問題ですが、今後、人口を増やせない都市は確実に都市間競争に負け、衰退します。法人税によって潤沢な予算を維持できる都市は東京以外にはありません。一定の拠点性を保ちつつ、ベッドタウン化によって人口も増やせる。こんな効率の良い競争力の維持は大都市圏においてのみ可能です。特に横浜は東京という大きなアドバンテージがある。関西の場合、大阪に東京程の力がないので周辺都市が大阪の拠点性を補完させる程の余裕がなく(そういった意味では神戸が独自の拠点性を保ててきた一因ではありますが)、関西の経済規模が縮小している現実上、経済資源は大阪への一極集中が更に進んでしまい、周辺拠点都市はよほどの独自性がなければ(例えば京都のような)衰退してしまう一方です。従って市内一定地域のベッドタウン化は大阪の一極集中の力を別の形で享受し、更にそれを活力に転換する=拠点性を強める有効な手段になり得ると思います。横浜は寧ろそれを体現していると思っています。

    オフィスビルについてですが、それでもみなとみらいには業務集積が進んでいる点は羨ましい限りです。一部の大型ビルに計画縮小が見られましたが、今の神戸では考えられない程の床が供給され続けています。R&D機能に限らず今は1フロアの床をいかに大きく取れるかが企業の移転における大きな物差しになっていますね。効率化を図るのが移転目的の一つなのであればその理由としては妥当なのですが、デブビル増加の一途を辿る大きな一因となっています。海外ではデザイン性が機能性を凌駕しているケースが多々見受けられますね。日本の市場が効率性をより重視する程、成熟しているとも言えますが。

  7. 通りすがり より:

    全く何の関係もない遠方の人がこのブログを見続けキレたりしてるってのはなかなか面白い
    よほどのコンプレックスがないと見続けることなんて無理でしょうね

  8. 匿名 より:

    ちょっと待った 横浜はむしろここ10年はオフィス人口、就業人口共に増加傾向にあり、昼夜間比率も上昇してきていますよ。今度の国勢調査で大阪市の昼間人口を抜くのはほぼ確実でしょう。近年の横浜の中核機能の向上はめざましいものがあります。こっちに住んでいれば肌で分かると思うんですが…
    (みなとみらいの就業人口もやっと10万人に届きそうな状況です)

  9. 匿名 より:

    三宮は名古屋並に大規模な巨大再開発をしてもらいたい

いち横浜市民 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です