今月上旬にH2Oリテイリングへの譲渡契約が正式に締結されたそごう神戸店。この契約内容にそごう神戸店の建物と土地の一部の譲渡という文言が入っていましたが、これが現在、そごうが保有する不動産の何処までを含むのかによって、今後の建て替えや再開発を左右します。この建物と土地にはそごうが保有している三宮の全ての不動産を指しているとの情報を頂きました。
そごうが所有している物件は本館中央部(写真の波状パネルとガラスで覆われた部分)がまず挙げられます。本館以外の物件も見てみましょう。
本館の南側に位置する商業ビル「そごうWing館」。1989年竣工の地上7階建てのテナントビルです。この建物は譲渡されても現状のまま維持されるのではないかと思われます。
そして今回の譲渡劇で個人的には最大の関心事であったアイング三宮パーキングとして使用されてきた立体駐車場棟のあるこの土地(約3000平方メートル)の行方ですが、こちらも譲渡対象のようです。
これら不動産及び百貨店運営権の最終的な譲渡額は未公表ですが、数百億円以上に上ることは間違いありません。さて今後、検討される老朽化した本館の建て替えですが、そごうが昨夏まで検討していたリニューアル構想はこの土地の活用を柱としたものでした。
百貨店の建て替えを考える際、完全に営業を停止して、複数年に渡る工事に入る事は基本的に自殺行為です。震災時はそごう、大丸の双方が営業停止に追い込まれましたが、復興開発においてそごうは早期の営業再開を最優先としたがために、コンセプトから練り直した大丸に地域一番店の座を譲り渡すことになりました。
本館の建て替え及び屋号の変更にはやはりこの土地の活用を図って進める事が最有力案ではないかと思います。
従って建て替え計画は複数のフェーズに分けて進められるものと予想します。第一段階として、まずアイング三宮パーキングの土地に地下階は駐車場、低層階に商業と一部駐車場、中高層階にオフィス、ホテルを入れた高層複合ビルを建設。この低層部に阪急百貨店もしくは阪神百貨店を開業させます。この開業を機にそごう神戸店を閉店。本館の既存建物解体と新築建物の建設に着手。
第二段階となる本館跡地に建設する建物は低層部に百貨店、高層部をオフィスとした高層複合ビルとし、完成後に第I期ビルの低層部で営業してきた百貨店を新ビルに移転開業させます。第I期ビルの低層部はその後、新たにテナントを募ってリニューアルするか百貨店の別館とします。
さて残る課題は現在、そごうの新館となっているKSビルとS・ヨシマツビルの2棟の建物です。そごう神戸店がH2Oリテイリングに譲渡された段階で、そごうとの契約はスライド的にH2Oへ同条件で移行するものと考えられますが、その契約が満期を迎えた際、双方が契約更新を行うのかどうか。また新館の大部分を占めるLOFTはセブン&アイ傘下の企業です。しかしこの新館2棟は現在のそごう本館とそれぞれに空中及び地下連絡路によって連結しています。本館建て替え時にはこれらを切り離さざるを得ません。
LOFTが継続して出店を続けていくのかも定かではありませんが、現状の契約形態によってはセブン社が別途、これらの2棟のビルと個別に契約を更新して、営業を継続する可能性もあります。またS.ヨシマツビルに至っては1階にSMBC信託銀行神戸支店、コメ兵、サーティワンアイスクリーム、9階にメガネの三城等、そごう以外のテナントも営業しています。最近では外壁の改修工事を実施し終えたばかりでもあります。
従ってH2Oが新館の2棟と建て替え計画について、すんなりと合意形成できるのかどうかには疑問符が付きます。
新館を取り込めるとすれば、現在、梅田の大阪神ビルと新阪急ビルの建て替えで活用された手法となる道路上空を跨いで建物を連結させる一体化プロジェクトがこの三宮でも実現可能ですので、ぜひとも採用して欲しいと思います。よって第三段階にて建て替えられる百貨店の完成形となります。
もし第I~Ⅲ期で建設された建物の商業フロアが全て百貨店に充当されれば、売場面積では大丸を凌いで70,000-80,000平方メートルクラスとなる神戸最大級のマンモス百貨店となる可能性もあります(H2Oとしては梅田と三宮の東西二大ターミナルの双方に1000億百貨店を構えられる体制が整う)。もしアイング三宮パーキングの計画を日生三宮駅前ビルと一体的に考えられるとすれば、可能性は更に飛躍する事でしょう。これまではJR駅ビルの建て替えが三宮再開発の本命馬だったはずですが、そごうの建て替え計画が寧ろダークホースとして浮上する可能性が現実味を帯びてきました。ただこんな構想が実現すると、大丸を中心とした元町の弱体化が懸念されます。Jフロントが「目には目を」的な力による対抗措置を講じるのかどうか。隣接するGSパークの再開発や旧居留地内のパーキングビル建て替え等、色々な憶測を巡らす事が可能です。
そごう神戸店の不動産譲渡と今後の建て替え計画構想
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KSビル・ヨシマツビルとは、本体譲渡契約時までに合意形成済みじゃないでしょうか?
建替えにより現在とは1階の利用法も大きく変わるでしょうね。南東方面へ玄関が新設されると大きく人の流れは変わりアイングも存在感が増すでしょう。北は阪急・JRの駅ビルとの連携が可能で駅からのクセスが非常に良く、南東側に玄関を設置すると周辺店舗との連携でエリア全体の底上げが可能。面開発による効果で将来、阪急が大丸を上回る可能性も出てきますね。
個人駅にはKS・ヨシマツ両ビルの同意が取れるなら真ん中の道は南側に付け替えもしくは廃道で敷地一体利用を目指してほしいなぁ。
アイングパーキングの開発が思わぬ形で動き出しそうですね。
こべるんさんご推察の通りの構想で進むとすれば、これはかつて阪急が梅田に作り上げた「阪急村」が三宮にもできることになりそうです。
阪急、JRの駅ビルの建替え、バスターミナルビルの建設と今後10数年間、神戸の開発は三宮に集中することが予想され、現在商業シェアで大丸のお膝元の元町に、後塵を拝している三宮が一気に形勢逆転する目が出て来ている情勢で、これに乗じ神戸での覇権を奪おうとするH2Oの戦略がはっきりとして来ましたね。H2Oには文字通り神戸の商業地図を塗り替える志を持って事業を推進してほしいところです。
これからのシナリオはいろんなケースが考えれると思います。勿論こべるんさんの描いたシナリオも素晴らしいと思います。ただ、百貨店の仮店舗をアイングパーキングに持ってくるのには難点も有ります。
まず、立地ですが阪神、JRの駅からかなり遠くなり、また地下もダイレクトに繋がっていないためかなりの売上ダウンが予想されます。また、アイングパーキングの再開発ビルが竣工後、そごうを建て替えとなると完成までかなりの長期的計画になりかねません。
私のような何の事情も契約も分からない素人の意見としましては、現状のKSビルとS・ヨシマツビルにそごう本館の売り場を移し、1期として本館を建て替え、2期としてKSビル等を建替え、アイングパーキングはホテル、オフィス等をメインとしたビルを最初から設計したほうが良いように思います。もちろん、ロフトや他のテナントが円満にどこかに移転できるとしての話ですが。
どちらにしましても、大変夢の有る話で、この件で今後皆さんのいろんな意見、提案が交わされることが楽しみですね。
JR新駅ビルに仮店舗を設けることが出来るとベストですが、流石に難しいですかね。
個人的には、東側に大規模商業施設を設けると求心力が希薄化すると思います。
ジョーシンの位置ですら、商業2層+オフィスorホテルくらいが限界では?
まあ、センター街の時間が止まっているのに業を煮やしての意見だとは思いますが・・・
三宮再整備を考える時、そごう建て替えもそうですが、既存入居店舗の振り替えはどうするのかなあと思います。それなりのスペースがどこにもないし駅前一等地のため退去するのもかなり勇気がいりますよね。現にJR三ノ宮ターミナルビルもちょっともめてるようだし、早めに次々ビルの更新が起きて入居先が決まらないと転居しづらいんじゃないでしょうか?
アイングパーキングは北側の日生ビルと雑居ビルが同様に再開発され導線ができればミント、JR、バスタと直結できますが、都心の孤島の雰囲気があって、ホテルかオフィスでなければ商業店舗ビルの立地としては苦しいような気がします。中央区役所移転の件と同じで、仮店舗貸しして新ビルができればまた出て行かれる方はどうすんねんということにもなりますしね。
再整備で車が通れなくなるんだから周辺駐車場、とくに磯上通8丁目磯上モータープールは解体の手間がない分、早めに超高層再開発ビルを建設すればいいと思いますがね。
> KSビル・ヨシマツビルとは、本体譲渡契約時までに合意形成済みじゃないでしょうか?
そうだと話が早くて良いですね。今後の建て替えにも期待が持てます。
> 建替えにより現在とは1階の利用法も大きく変わるでしょうね。南東方面へ玄関が新設されると大きく人の流れは変わりアイングも存在感が増すでしょう。
葺合54号線の商業街区として生まれ変わって欲しいですね。駅前超一等地なのに現状は勿体無いです。
> 個人駅にはKS・ヨシマツ両ビルの同意が取れるなら真ん中の道は南側に付け替えもしくは廃道で敷地一体利用を目指してほしいなぁ。
これが可能ならベストの選択肢です。
> まず、立地ですが阪神、JRの駅からかなり遠くなり、また地下もダイレクトに繋がっていないためかなりの売上ダウンが予想されます。
建て替え中の売上減は折込済だと思われます。阪神、JRからの距離ですが、建物北側は実はそんなに離れていません。あくまでも心理的な距離かと思います。この心理的距離を埋めるには葺合54号線の整備が重要になります。ウミエは距離や動線を指摘され続けてきましたが、結局、施設に魅力があれば、人は集まる物です。
>また、アイングパーキングの再開発ビルが竣工後、そごうを建て替えとなると完成までかなりの長期的計画になりかねません。
KSビル、Sヨシマツビルの建て替えでもこれは同様です。寧ろ、ロフトや他テナントの退店を考えるとすぐには着手できない分、より長期化するかもしれません。
いずれにせよ非常に楽しみな計画ですね。
アイング周辺は東といっても駅前広場の真南にあたる地域です。ミントよりも西です。今回を機に駅前超一等地でありながら葺合54号周辺エリアは裏通りに甘んじている現状から脱却して高度利用された商業街区として生まれ変わるべきだと思います。
>現にJR三ノ宮ターミナルビルもちょっともめてるようだし、早めに次々ビルの更新が起きて入居先が決まらないと転居しづらいんじゃないでしょうか?
もめているんですか?相手はOPAでしょうか。計画の遅れに繋がらなければ良いのですが。磯上通8丁目磯上モータープールの再開発も非常に期待しています。個人所有でしょうか?
JR三ノ宮新駅ビルの低層部に百貨店を移転する方法を考えています。JR三ノ宮新駅ビルを渋谷スクランブルスクエアと同規模(230m)を建設し、低層部に阪急百貨店を開業する。同時に、そごう神戸店と神戸国際会館をヨドバシホールディングスに売却し、一体再開発を行う。再開発ビルは高さ240m、地上45階B6階を想定。低層部にヨドバシカメラと商業施設(Loft再出店)、劇場、中高層部にオフィス、最上部にホテルが入る複合ビルにする。
また、磯上通8丁目磯上モータープールやWING館がある街区に神戸国際会館を移転する。(高さ約180m)
さらに、アイングパーキングのエリアに商業施設とオフィス、ホテルが入る複合ビルを建てる。(高さ約180m)
また、大型シネコンの導入も行い、栄の角地に建設される超高層ビルをイメージする。
超高層ビルのフロア構成
35階〜45階:高級ホテル
34階:機械室
14階〜33階:オフィス
13階スカイロビー
11階、12階:機械室
6階〜11階:大型シネコン(12スクリーン約1900席)
B2階〜10階:商業施設(ヨドバシカメラ、飲食店、物販店)
B3階〜B6階:駐車場
B7階:機械室、駐車場